【報告】トビタテ学習PFイベント[勉強会シリーズ]〇〇×サイエンス 番外編「恋バナ形式で宇宙を語る」

2021年2月28日

トビタテ大学8期理系融合コースで台湾に台風研究、ハワイにアウトリーチ活動を体験しに行ってきた細川椿です。

本記事では、5月15日(金) にオンライン開催されたトビタテ学習PF「〇〇×サイエンス」シリーズの番外編、「恋バナ形式で宇宙を語ろう」~あなたも宇宙に恋をする!!?~について報告させていただきます。

今回の企画は、今まで「〇〇×サイエンス」の参加者側であった私がアウトリーチ活動の企画・運営を行い、「〇〇×サイエンス」企画者の井上拓也さんがゲストとして登壇する番外編でした。

リピーターのみならず、今回初参加の方も含め、当日は30人を超える参加者にお集まりいただきました!また参加者の約4割が文系の方で、宇宙やサイエンスに触れて頂くとともにブレークアウトルームやチャットなどを通して交流することができました!

番外編 「恋バナ形式で宇宙を語ろう」〜あなたも宇宙に恋をする!!?〜

今回のゲストは、”宇宙に恋をした男”こと、井上拓也さんでした。井上さんはトビタテ5期でフランスの理工系技術者養成学校にダブルディグリー留学とドイツの宇宙物理系の研究所でインターンシップを行なっていました。今年9月から国立台湾大学にて博士課程に進み、宇宙物理の分野で研究を進めていくそうです。

留学大図鑑の記事はコチラ↓

https://tobitate.mext.go.jp/zukan/detail-1197

本イベントでは、宇宙の魅力やロマンを恋バナのような感覚で参加者の皆さんに伝えていこうという取り組みのもと、井上さんが宇宙に魅了されてきた12年間や、宇宙物理の世界について恋バナ形式で楽しくお話をしていただきました。

当日のコンテンツ

・「宇宙に恋をした男」12年間の奔走物語

・ゲストが語る宇宙最大の魅力

・皆さんを宇宙物理の世界へご招待

当日は細川がファシリテーター、そして科学コミュニケーションの活動もされている若林里咲さん(トビタテ9期)がMCを務め、井上さんの宇宙との大恋愛について追及していきました。チャットの運営は生田大樹さんが行ってくれました。

「宇宙に恋をした男」12年間の奔走物語

井上さんと宇宙の出会いは、井上さんが小学生の頃にまでさかのぼります。初めは科学図鑑などに載っている美しい銀河や星雲の写真に心惹かれていたそうです。これが井上さんの初恋に当たります。そんな姿を見ていたお母さんが井上さんにくれた一冊の本『宇宙への秘密の鍵―ホーキング著』がきっかけで、井上さんの宇宙への思いはますます募ります。高校時代はガンダムの世界に憧れ、宇宙エレベーターを造りたい!宇宙開発をしたい!という夢を心に持ち、大学では機械工学の道に進みました。大学に入り、国際協力が必要な宇宙開発をするためには様々な分野の知識と海外経験が必要だと考えた井上さんは、ジェネラリストになるために2年間のダブルディグリー留学をすることを決意しました。

留学中にインターンシップの機会が与えられ、宇宙物理を本気で勉強したいという思いでマックス・プランク研究所の門を叩き、宇宙物理の世界に飛び込んだのです。これまでの12年間を振り返り、一度も浮気をせず、宇宙が「好きだから」という純粋な気持ちで宇宙との恋愛に人生をかけて努力を続けてきた井上さんの健気な姿を垣間見ることができました。

ゲストが語る宇宙最大の魅力

宇宙最大の魅力とは一体何でしょう?実はデートにも欠かせないあるものだったのです!それは「光」です。クリスマスのイルミネーションだけでなく、夕日や虹など自然の光が生む情景も美しいものが多いですよね。「光がなぜ美しいのか」を物理の視点で井上さんが解説してくれました!光といえば、目視できる光を想像しがちですが、私たちの身の回りには見えない光が至る所に存在するのです。電子レンジなどに用いられるマイクロ波は、現在の宇宙を満たしており、なんと宇宙全体は-270度の電子レンジのような状態だとか。このマイクロ波を通して、初期宇宙の様子がわかるのです。井上さんは宇宙初期の光子・陽子・電子の三角関係のお話をしてくれました。また、この世で速さの上限である光速のお話から、七夕の織姫(ベガ)と彦星(デネブ)が実際には15光年離れており、光の速さで進んでも会うのに15年かかることをお話してくださいました。一年に一度会えると思っていたのに、宇宙一の遠距離恋愛はなんだか悲しい現実でした。。。

皆さんを宇宙物理の世界へご招待

最後に、もっと踏み込んだ宇宙物理の世界を井上さんに語っていただきました。宇宙物理といえば、アインシュタインの相対性論を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。今回は井上さんが特殊相対性理論について、小学校で習った「みはじ(はじき)」、中学校で習った「三平方の定理」を用いて解説してくれました。さらに、井上さんがマックス・プランクで行った研究を紹介してくれました。現在加速膨張している宇宙はその構成要素の95%が未だ謎に包まれており、そのうちダークエネルギーは宇宙の加速膨張の謎のカギを握っている存在だとか。大口径望遠鏡により宇宙膨張直接測定計画が進められている中、その精密な観測を行うためには観測を行っている我々の局所運動を差し引く必要性があるそうです。井上さんはこの局所運動を太陽系の相対運動と見なし、銀河系や近傍の巨大銀河との万有引力の影響から太陽系の相対運動を計算して求めました。

今後も宇宙物理を極め、いつかはダークエネルギーの性質を解明したいと語る井上さん。「宇宙」は井上さんにとって「人生」そのものであるのかもしれませんね。

質問コーナー

今回コンテンツの合間毎に質問コーナーを設け、参加者と双方向のコミュニケーションを図りました。参加者の皆さんからは、望遠鏡についてや宇宙移住のお話、そして井上さんおすすめの本の紹介など、たくさんの質問をいただきました。中でも文系の方から、物理の勉強法などの質問が出たのはアウトリーチをする側としてとても嬉しいことでした!

番外編イベントを終えて

今回は、いつもイベントでボケをかましている井上さんが真面目に宇宙への愛を語るというとても素敵な回になりました。参加者の皆さんには宇宙物理の面白さや井上さんの宇宙への深い愛が伝わったようでアウトリーチの重要さを実感しました。今回イベント中は司会進行とゲストが語っている割合が多く、参加者の皆さんとチャットなどを通してやり取りをする時間が短かったので、もっと詳しくお話を聞いてみたい方にとっては物足りない部分があったようです。一方向の情報の伝達ではなく、より双方向のコミュニケーションを活性化させることがサイエンスアウトリーチの要であると実感しました。

今回企画から運営・本番当日まで、ゲストである井上さん含め、MCを努めていただいた若林里咲さん、事務局インターンの生田大樹さんには多くのサポートをしてもらいました。慣れていない私の企画に協力し助言をして下さりありがとうございました!そして、初めてのサイエンスアウトリーチ企画の機会を与えてくれてとても感謝しています。今後に繋がる良い経験になりました!

次回イベント告知

次回は「生活×サイエンス」シリーズ第3弾「おいしさを科学する食パンの達人」ということで、博士課程で食パンに関する応用研究をされ、現在は化学メーカーの食品部門に勤務されているゲストの方をお呼びしてインタビューして行きます。
日時: 5月24日(日) 20時-22時 @zoom

詳細は以下のイベントページでご覧ください!↓
https://www.facebook.com/events/241456443590136/?notif_t=plan_admin_added&notif_id=1589460549617744

最後に

トビタテ学習プラットフォームでは、今後も随時、企画を実施予定です。
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