第51回とまりぎインタビュー:赤尾紀明さん【社会で活躍するには、あえて空気をよまないことが大事??】

2021年10月27日

皆様、こんにちは。トビタテ留学JAPAN1期生の齋藤です!トビタテ生の同窓会組織である「とまりぎ」のHPにて、インタビューを通じたOB・OGの活躍を紹介しています。今回のインタビューは大手総合商社で働く赤尾さんです。社会人生活2年目ももうすぐ終わるタイミングでトビタテでの留学時代を振り返ってもらい、留学の経験がどのように今のキャリアへ影響を与えているか教えてもらいました。

齋藤) お久しぶりです。今日は木曜日の朝という貴重なお時間をインタビューのために割いてくれてありがとう。
赤尾)いえいえ。
齋藤)そもそも、赤尾君との出会いはどこだったっけ?あまり記憶になくて。。。
赤尾)おそらく、トビタテ1期生の同窓会、もしくは商社会?
齋藤)商社会だね。商社の中でもとても近いビジネスをやっていて、こうやって横につながりができたのは嬉しかった記憶があるな。
赤尾)その他にも共通のトビタテの友人を通して、代々木公園でピクニックしたり、小さいけど接点はあるよね。
齋藤)ただこうやって深く留学経験とかキャリアとか聞くのは初めてだね。今日はよろしくね。

 

留学内容

齋藤)まずは留学背景や留学内容について、簡単に教えてください。

赤尾)多様性人材で採用されて、アフリカ4ヶ国でインターンをしてきました。アフリカに数回行って以来、アフリカで起業することに興味があって、当時あった人脈を生かして、NPOや民間企業・省庁でインターンをしてきました。

齋藤)アフリカ4カ国にインターンする留学計画はなかなかないだろうね。それは一番倍率の高い多様性人材コースに採用されるよね。

赤尾)いやいや。元々、途上国のBOP層(Base of the Economic Pyramid層 )を対象としたビジネスに興味があって、理論的には正しいけれども実際はどうなのか見てきたかった。そういったことも含めて一度アフリカで働いてみたいと思ってアフリカ4カ国に留学をすることを決めました。

齋藤)アフリカ4カ国はどこだったの?

赤尾)マラウィ、タンザニア、マダガスカル、ザンビアで、順に何をしたか説明するね。元々、マラウィにはトビタテでインターンする前から行ったことがあって、そのため一番思い入れもあり3ヶ月滞在しました。マラウィでは観光省でインターンを、タンザニアでは「タンザニアを知るための60章」の著者に接触をし、民間の観光エージェントでインターンをしました。マダガスカルでは公用語がフランス語なので会話が理解できない中、カメラやドローンを使った写真撮影や動画編集を手伝い、広報の仕事を担当しました。


(一番思い入れがあるというマラウィにて)


(マダガスカルの会社にてインターン)

齋藤)観光関連のインターンが多いね。

赤尾)ただ、ザンビアではBOPビジネスに取り組むNGOにインターンをしました。ザンビアでは栄養失調が問題となっていて、低身長の方が非常に多い中、スピルリナと呼ばれる栄養価の高いサプリメントの普及に関わりました。JICAから委託を受ける中で認知度を高めるためにマーケティングに携わりました。

齋藤)ちなみに合計でどれぐらいアフリカ4カ国にインターンをしたの?

赤尾)マラウィ以外は1ヶ月の滞在だったので、合計で半年間滞在しました。

齋藤)ちなみに、その半年で最も大変だった経験は何だったのかな?

赤尾)一番驚いたのは、駐日マラウイ大使館の大使と一等書記官に観光を学ぶなら、と紹介されたマラウイ観光省で出迎えられたのは良かったものの、あまり優しく受け入れてもらえなかったこと。業務内容もはっきりしない中、急遽「観光省で何ができるかプレゼンして」と言われ、徹夜でプレゼン資料を作成したのは一番こたえたなぁ。

齋藤)それは大変だったね。ちなみにどのようにして、このアフリカ4カ国に絞ってインターンをしようという発想に至ったの?

赤尾)将来アフリカで起業を考えていたから、アフリカの色んな国を回ってそれぞれのカラーを知りたいなと思っていた。また、インターン先に人脈があったこともこの留学計画作成を後押ししてくれたかなぁ。

歩んできたキャリア

齋藤)話は変わるんだけれども、今はどういった仕事を担当しているの?

赤尾)今は取引先の完成車や部品の対ロシア向け輸出を担当しています。トレーディングと現地の事業会社経営に携わっています。加えて、自動車本部の新規事業開発チームにも加わって、コネクテッドカーやシェアリングビジネスといった最新の動きを掴み事業を創造するためにニュースの収集・提案もやっています。

齋藤)1年目も同じような仕事を担当していたんだっけ?

赤尾)いや、2年目の6月ぐらいに担当業務が変更になったんだよね。1年目は違う取引先の完成車・部品の対サウジアラビア向け輸出を担当していました。具体的には船積手配といったトレーディング業務メインに取り組んでいました。サウジアラビアは市場が大きく、商社毎の競争も厳しい中で刺激的な環境ではあった一方、商社としてどこに価値を出せるのかといったところに危機感を持っていた時でもありました。ただ、1年目でもワクワクしていた時期もあって、アフリカでインターンするに当たってコンタクトを取っていた会社を上司に紹介し、部署の違う人とコミュニケーションを取ったり、そのチームにアサインされたりしたのはいい経験でした。

齋藤)留学の経験が生きてくる瞬間だね。

赤尾)そうね。他の新入社員ではそういう人はいなかったと思う。

齋藤)ちなみに今までのキャリアで大変だった経験は何かな?

赤尾)二つあって、2年目からロシアの事業会社の財務諸表のチェックや予算作成も担当することになったんだけど、「もうわかるでしょ?」といったプレッシャーの中、いきなり数字を理解し説明するのに苦労しました。上司が自分より知識がある中で、説明し説得するのは大変だった。二つ目は新規開発の話で、答えが見えない中、画期的なアイデアを出して考え続けることはきついなぁと思っている。


(東京の職場で奮闘する赤尾さん)

 

留学とキャリア

齋藤)アフリカでのインターンを経て、今まで歩んできたキャリアにはどういった影響があったのかな?

赤尾)アフリカ4カ国を回ってきて、どこでも生きていけるなと思いました。

齋藤)そりゃそうよね。(笑)

赤尾)出張が来週に決まりましたってなっても、物怖じすることはなく、「よし行こう」となるし、フットワークが軽くなったかなと。商社の人は出張中に現地の日本人社員と過ごす時間が多いと思うけれど、積極的にナショナルスタッフとコミュニケーションを取ろうとしたり、街を歩きにいったり、あえて空気を読まない力が自然について気がする。

齋藤)事前研修でも「大人を信じるな」って言われるもんね。そういった意味で単刀直入に物事を言えるようになっているのかもね。

 

トビタテコミュニティに期待すること

齋藤)アフリカが好きということで、トビタテのアフリカ関連の集まりには顔を出すの?

赤尾)facebookのトビタテグループの記事に目を通すぐらいかな。ただ、そうやってスレッドを確認する中でトビタテ生の活躍を見ると危機感が出てきたりとかとかモチベーションアップとかには繋がるね。

齋藤)今後のトビタテコミュニティに期待することは何かあるかな?

赤尾)ある一定の人たちが留まる組織ではなくて、出入りのしやすい環境になってほしいなぁ。行きづらい、抜けづらいといった印象がなくなればいいと思う。

齋藤)強制されない組織ということだよね。

赤尾)そうそう。ただ、社会人になると空き時間がなくて、一定の上司や同僚と過ごす時間が多くなる。多種多様な人がいるトビタテコミュニティは貴重で、これからも色んな人が集まるコミュニティであってほしいな。

 

編集後記
アフリカでのインターンを経て国籍を超えたコミュニケーションを楽しむようになった赤尾さん。出張時に、現地の駐在員よりもナショナルスタッフと交流することを優先する姿はトビタテ 生らしいなぁと思う一面でした。
トビタテコミュニティについての話も出ましたが、その魅力はなんといっても留学内容に偏りがないこと。私自身もそうですが、社会人になると固定メンバーと過ごすことが多くなる中、このコミュニティ内で相談できる相手がいることは大事なことだなと思っています。アフリカとの接点でビジネスを考えている赤尾くんにはぜひこのコミュニティを活用してもらって、成功していってもらいたいです。