第1回:佐藤慶治さん(多様性人材コース 1期生) 後編

2021年10月26日

現在の活動について

齋藤) 留学を経て、現在日本ではどういった活動をされていますか?

佐藤) 仕事とは別に、現在は週2回、20代から40代を対象にした夜間のスポーツサークルを運営しています。「脱成長型」をキーワードにして、成長を求めず、幸福度を上げていくことを軸にスポーツの環境を提供しようとしています。

齋藤) その脱成長型を軸に置いたきっかけは何だったのでしょうか?

佐藤) それはまさにフィンランドに留学した時の経験が大きいです。フィンランドのスタイルを参考にしていて、競技性ではなく、リフレッシュ効果や健康増進など自分の人生をより豊かに健康的に過ごすためのツールという点に重きを置いているところに影響を受けました。そういった要素をフィンランドから持ってきて、今のスポーツサークルに生かしています。

齋藤) すごいですね!このサークルというのは全部自分で立ち上げたのですか?

佐藤) 立ち上げは全部1人でやりました。去年ぐらいから、移住してきた同世代の若者何人かを引き込んで、事業を拡大しています。今年で4年目の活動です。

齋藤) 自分の仕事とは別にやっている活動にしては、とても長いですね。

佐藤) そうですね。震災の影響を大きく受けた宮城県の南三陸町で、公園すらできていない町ですが、同世代の若者が入ってきて色んなフィードバックをもらえるので、活動内容も充実してきました。

齋藤) 4年ほど、このスポーツサークルを続けてきてよかったことはありますか?

佐藤) 脱成長とはいいつつも、各々の持つ目標数値を設定することが必要なことに気づき、例えば、バレーボールだったら、トス10回繋ぐとか、課題を設定して皆で目標に向かうと一体感が生むように努めたりとか。ダラダラスポーツするのではなくて、皆が感動体験を掴める環境を作ることを意識するようになりました。ただ人を集めて、「これやろう」ではコミュニティは続かないことが分かったのが学びでした。

齋藤) この一体感を作ろうという目標は、とりわけ震災後のコミュニティ復興を狙っているのですよね?

佐藤) まさにそうです。参加者でいくとUターンや移住してきたIターンの若者が多くて、南三陸町に来たはいいけど、なかなか友達が出来なかったり人との繋がりを持つ方法が分からなかった人が参加し、そこに地元の30-40代の人たちが入ってくる流れです。活動後のアンケートだと、そこで交流が生まれたり、友達ができたりすることに満足している人が多いです。家庭や仕事以外の第三の場所として、コミュニティに属すことができるというのが大きいようです。

写真:夜間のスポーツサークルの様子

留学と現在の活動との関わり

齋藤) もしフィンランドに留学に行っていなかったら、このコミュニティを作るのに苦労したと思いますか?

佐藤) 苦労したどころの話じゃなかったと思いますね。留学があってこその今の活動があると思います。私のサークルが掲げている理念としては、地域スポーツを通じて関わった人たちが、生活の質向上を実感してくれるかどうかを重要視していて、それはフィンランドでの留学を通じて、スポーツがもたらす人生の楽しさに気付いていたからこそ生まれた理念です!

齋藤) まさかここまで留学が現在の活動に影響を与えるとは思っていませんでした。

佐藤) 実際、未だに留学中とっていたノートやアンケート資料などを今でも見返すときがありますよ!現地での感動や一時一時の感情を含め、留学の経験を意外とよく覚えていて。。

齋藤) それは同感です。

佐藤) 以前のノートを振り返りながら、辛かった思い出や勉強になったことを噛み締めて生きている感じがします。

齋藤) いやぁ、これは船橋さん*とか聞くと相当喜ぶと思うよ。

*トビタテ!留学JAPAN プロジェクトディレクター

写真:南三陸町ビーチアルティメットの様子

編集後記

お互い留学を経て4年間が経過し、久々に同期の現況を聞いたのですが、留学経験が現在の活動にここまで活きているトビタテ生には初めて会いました。佐藤さんの場合、留学で培った経験や学びを直接副業に生かしており、それが自分の起業にも繋がってくる。こういった留学経験は人生においてかけがえのないものになっていることがよく伝わってきました。

同じトビタテ1期生として、佐藤さんの活躍を嬉しく思い、ほっこりした1日となりました。佐藤さんのスポーツサークルについて、ご興味がありましたら、以下のFacebookページ(生涯スポーツサークルあくてぃぶ!)ご覧ください。(https://www.facebook.com/active.m3r/)

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