第4回 田中麻理子さん(1期 理系、複合・融合人材コース)前編

2019年4月23日

皆様、こんにちは。トビタテ留学JAPAN1期生の齋藤です!トビタテ生の同窓会組織である「とまりぎ」のHPにて、インタビューを通じたOB・OGの活躍を紹介しています。4回目のインタビューは現在、東京急行電鉄株式会社(以下東急電鉄)で働く田中さんです。わざわざ午前休を取って、インタビューに参加してくれました。田中さんの専門は都市計画で、「日本のまちづくりに北欧の風を」をテーマに、所属大学の提携先であったスウェーデン王立工科大学に都市計画を学びに留学されました。現在はまちづくりを実際に行う立場で、歌舞伎町の開発に日々取り組む田中さん。留学内容、現在の仕事、留学と今の仕事の関係について聞いてみました。

(トビタテ1期生で理系、複合・融合人材コースご出身の田中さん)

齋藤)お久しぶりです!今日はわざわざ、トビタテ事務局まで来ていただきありがとうございました。毎回インタビューする度に聞いているのですが、どこで一番初めに会ったか遡ると、確か昨年のトビタテ第1期生の同窓会がきっかけですよね。会場にあるテーブルごとにグループが決まっていて、たまたま同じグループに配置され、初めの挨拶が私の「田中さんは事務局の人ですか?」というコミュニケーションから始まったのを覚えている(笑)

田中)よく覚えているね。本当に失礼な話よね(笑)

齋藤)大人びていて、とても同期には見えませんでした。すいません(笑)
それ以外にもヨーロッパ留学フェアのトビタテブースでもご一緒し、色々と接点はありますね。事前・事後研修では同じ日程ではありませんでしたが、同窓会のおかげで田中さんに知り合うことができ、本当に嬉しく思っています。今日は簡単に、留学内容、現在の仕事、留学と現在の仕事との関わりについて、聞いていきたいと思います。

* 留学前後の研修。事前研修は派遣留学生間の連帯感醸成、留学計画見直しやリーダーシップ養成を、事後研修は留学の振り返り、キャリア形成やリーダーへ向けた意識転換を目的に1泊2日で開催される

(トビタテ事務局までわざわざお越し頂きました。左:田中さん 右:齋藤)

留学内容

齋藤)留学に至った背景と留学内容について、簡単に教えてください。

田中)元々在籍大学でまちづくりを勉強していて、日本での学びを生かして、様々な国から来ている学生と考えを共有することを目的に、スウェーデンに留学しました。

齋藤)田中さんの留学大図鑑を拝見したのですが、福祉的・持続的観点で北欧のまちづくりを学びにいったみたいですね。

田中)まさにそうで、例えば日本では視覚障害者向けに点字ブロックを整備しているけれど、実は車椅子利用者には不便。デンマークでは曲がり角で、天井の高さを変えることによって、壁からの反響音の大きさを変え、触覚ではなく聴覚で曲がり角に気づけるような仕組みをしている。これは視覚障害者と車椅子利用者のどちらにも対応したデザインで、そのようなユニバーサルな北欧のデザインに興味を持ちました。

齋藤)興味深いですね。そういったまちづくりのデザインを座学で学ぶのが留学の軸だったと思うのですが、実践活動は何かしましたか?

田中)現地の先生と一緒にCPTED(Crime Prevention  Through Environmental Design:防犯環境設計)という概念について文献やアンケートの調査をすることで、防犯につながる安全・安心な街の設計手法について学んでいました。また、履修した授業の一貫でストックホルム北部のウプサラという学園都市を訪問。自治体の方にお話を聞いたり、現地見学をすることで都市の課題を分析し、マスタープランという将来計画をまとめました。他にもGIS(地理情報システム)を用いて、地理的特性や人口分布、公共施設の場所などを把握し、どこで自転車に一番乗るかを考えて、レンタサイクルのシステムを提案しました。あと、1期生には自作した名刺を100枚配るというミッションが与えられてたの覚えているかな?

齋藤)100枚配らないといけないプレッシャーがあったのが懐かしい。名刺の裏はどういうデザインにしました?
田中)日本のまちづくりの概念を名刺にしてみたんだよね。名刺を渡した外国人の中で40人ぐらいから日本へのメッセージをもらって、その中でも印象的だったのは建築の先生からもらったもので、「新しいものを建てていくと同時に古い文化を残していって欲しい」というメッセージだったなぁ。

配布した名刺。日本の「まちづくり」について紹介。


齋藤)ちなみに北欧の中でもどうしてスウェーデンを選んだのですか?

田中)交換留学先のスウェーデン王立工科大学は、在籍する大学の中でも建築・都市計画分野で最も人気があり、世界中の理系大学の中で最も多人種であるということから、様々な国の人の考え方を聞いて自分の視野を広げていきたいなと思い、選びました。

齋藤)卒論や修論には留学経験は活きてきました?

田中)直接影響はしていないです。論文の内容は研究室の助教のテーマで一緒に書かせて頂き、都市計画学会から年間優秀論文賞の表彰を受けました!

齋藤)お〜。おめでとうございます。内容はどういったものを書いたのですか?

田中)内容としては「市民主体のハード整備をともなう公共空間活用の課題と意義」というテーマで書きました。例えば、道路や河川敷に何か物を設置するという行為は基本的に道路法や河川法などで制限されていますが、掃除などソフト面の取り組みだけでは地域住民の一体感や街への愛着は生まれにくい。そこでいかに公共空間で活動する地域団体が資金を獲得し、地域らしい活動をすることによってコミュニティを形成し、街の持続的な活動につなげていくかが鍵になってくる。その実態を分析するため、全国の地域団体にアンケート調査やヒアリングを行い、調査結果をまとめました。論文の内容はどちらかというと今の仕事に大いに関係しているね。

*ハードとは物理的なもので、目に見えるものをさし、その対義語はソフトで勉強会やイベントなどを指す。

(授業でのプレゼンの様子@スウェーデン王立工科大学)
(スウェーデンナショナルデーにて)

後編につづく。