第20回:向地 由さん(新興国コース 4期生)

2021年10月26日

みなさんこんにちは!トビタテ6期の遠藤恵子です!今回はルワンダに留学した向地 由(むこうじ ゆい)ちゃんにインタビューさせていただきました。平和学を学ぶ彼女がルワンダの大学で経験したことや、帰国後の進路など必読です!!

 

実際に現地に行って自分の目で見る

遠藤)由ちゃんこんばんは!今日はよろしくね!

向地)こちらこそよろしく!

遠藤)由ちゃんはどんなテーマで留学してたの?

向地)「ヒロシマ×ルワンダ×平和学」でルワンダに約一年間留学してたよ。広島生まれということもあって、私は平和構築に興味があったの。Protestant Institute of Arts and Social Sciences (ピアス大学)という大学に留学していて、現地では紛争を経験したルワンダや周辺国からの学生たちと共にルワンダの実社会で和解などの草の根の平和構築活動がどのように行われているのか学んだり、ワークショップやピース・クラブでの活動に参加したりしてたよ。

遠藤)戦争や平和構築ということに興味を持ったきっかけは?

向地)小学生の時から広島の原爆のことや太平洋戦争のことを学ぶ平和教育を毎年受けて受けていて、戦争や争いではお年寄りや子供たち、女性など一番弱い人たちが犠牲になることを知ったの。今自分が生きている日本では戦争でそういう経験することはないけれど、同じこの時代でも生まれる国が違うだけで戦争の被害にあう人がいることなにんとなく「違和感」を感じたんだよね。

遠藤)どうしてルワンダに留学しようと思ったの?

向地)広島生まれで平和教育を毎年受けてきたという原体験から、実際に現地に行って自分の目でジェノサイドという大きな悲劇を経験したルワンダで、紛争を解決するための根本的原因にアプローチする方法を現地の学生と一緒に学びたいと思ったからだよ!現場の目線から「平和」や「開発」を考えたかったんだ。

遠藤)私もフィリピンに行っている時は現場からの目線を大切にしようと思ってたな〜!

向地)そうだよね!あとは私が生まれた1994年にルワンダでの内戦が起きて、今でも加害者・被害者が同じ社会にいる中でどうやって経済発展や平和を保っているのか?っていうところにも興味があったんだ。そういういろんな人の努力によって成り立っていることって現地で生活しないと見えてこないんだろうなって思っていたし!

遠藤)留学中の印象的なエピソードはある?

向地)現地の学生と広島についてのプレゼンを準備している時に「日本人って原爆を落としたアメリカと仲良くしていて、なんで赦すことができるの?」と言われて、今まで「赦す、赦さない」という基準で考えたことがなかったからすごくびっくりした!日本とアメリカは国と国同士で争っていたのに対して、ルワンダは同じ国の中で元々同じルーツを持っていた人たちが家族や友達を殺めてしまったという違いはあるけれど、「赦す」とか「謝る」ことに関して感覚が違うんだなって感じることができたよ。

遠藤)なるほどね!

 

 (友達とガールズパーティーしたときの一枚)

 

就活の迷いを超えて

遠藤)今はどんな仕事をしているの?

向地)今は車のメーカーで働いていて、財務・経理領域の部署にいるよ。入社して2年間はいろんな経験をしてほしいということで、教育出向という形で工場のラインだったりディーラーに車売ったり経理したりって様々な場所で働いているの。

遠藤)ルワンダでの留学を経験して進路選択は留学前と留学後で変わった?

向地)そうだね〜。留学前は就活か大学院進学を考えていたよ。王道だけど平和構築や紛争解決学とかを国と国との関係で研究もしたいなって覆っていたの。だけど留学中に学んだ経験・気づきを得て帰ってからは就活することにしたよ!良くも悪くも知識よりも、実践できるスキルとか経験とかすごく足りてないなってルワンダで感じたんだよね。

遠藤)就活の軸はどんな感じだった?

向地)それはすごい迷ったんだよね。力をつけたいっていう観点で見ればベンチャーもいいなと思ったし、規模感の大きい大手だとお金も良く回っているしたくさんの人がいて、多様な環境の中でいろんな人から学べそうだなって思ったんだよね!今思えばすごい短絡的だけど(笑)

遠藤)私も同じこと考えてた!それぞれいいところがあるもんね!

向地)結局内定をもらった会社で勤めることにしたの。大学生の時はそれまでに学んだことが活かせるような会社に行くと思っていたけど、自分がたくさん迷って考えた結果下した決断や取った行動は評価すべきだなと思った!

 

現場の感覚を持って仕事に取り組む

遠藤)ルワンダでの経験が現在の仕事に活きていると思ったことはある?

向地)「適応力」、「コミュニケーション能力」、「実際にフィールドに足を運んで自分で情報収拾する力」が今の仕事でも活きていると思う。まず、「適応力」は会社や取引先など多様な価値観を持つ人と接する中でも、自分らしく振る舞いながら相手との関係を構築していくという点で役立っているよ!

遠藤)なるほど!じゃあ「コミュニケーション能力」はどんな時に活きているなって思う?

向地)私の所属している財務。経理部門での仕事は幅広い部署と関わることが多いんだよね!だからコミュニーケーションをとって、仕事をする上で良い関係を築くようにしているよ!

そして留学中はフィールドワークをよくしていたこともあって現場に出ることの重要さを知ったね!ディーラーとして車の売り上げを上げるためには、お店で働く人がどんなことを求めているかを現場に行って聞かないと知ることはできないよね。そういう現場の感覚って「国際協力」とジャンルが違っても活きる場面があるんだなって思う。大切にして自分なりの問いを持って仕事に取り組んでいるよ。

 

(ピースクラブで行った地元NGOとのサッカー親睦会イベント)

 

今までの過去とつなげて考える

遠藤)今は仕事上いろんな経験をしていると思うんだけど、今後どうしていきたいか教えて!

向地)グローバル規模での販売・普及・展開に関わるために、ヒト・モノ・カネの流れをしっかり学んで経験を積んでいきたいって考えてるよ!日々の業務の中で。目の前の仕事を今までの過去とつなげて考えていけたらなって思う!

遠藤)最後に、途上国での留学経験後に就職するか、大学院進学かで悩む学生は少なくないと思うんだけど、ゆいちゃんからそういう学生に向けてのメッセージをお願いします!

向地)私も就活中たくさん迷ったんだけど、悩んだり誰かに相談する中で納得いくまで考えぬくことが大切だと思う。たくさん考えるっていうプロセスを経て自分が選んだ選択だったら自信を持っていいんじゃないかな!後になって、それまで自分がやってきたことと繋がってくると思うし!それで最終的に自分自身に素直になって、やりたいことにチャレンジしてほしいです!

遠藤)いいメッセージだね!これでインタビューは終わりです。協力ありがとう!

向地)こちらこそありがとう!

 

 

編集後記

国際協力・国際開発系の留学をしていた私にとって、ゆいちゃんの就活中の悩みなどとても共感しました。また今回のインタビューを通して、留学で培った「現場感覚を大切にすること」という経験が、就職してからも会社でそのように役立てることができるというのは意外で、先を行く先輩からたくさん学ぶことができました!ゆいちゃんは迷いながらも、その迷路さえ楽しんでいるそうです。皆さんも迷路を楽しんで自分の道を進んでみてはいかがですか?