第65回とまりぎインタビュー:若木 志郎さん【分野外の研究に飛び込んだことよって、別視点で物事を捉えられるように!】

2020年1月17日

若木 志郎さん(5期・地域人材コース)

留学先で研究する若木さん

こんにちは、事務局インターンの若林です!今回の主役は、トビタテ5期生としてイギリス・ケンブリッジ大学に留学されていた若木さん。留学先大学の自由な文化から、博士修了後なさっているちょっと特殊なお仕事まで、面白いお話をたくさん聞かせていただきました!

インタビュイー

若木 志郎(わかき しろう)さん
出身:長岡技術科学大学 工学研究科
留学先:イギリス(ケンブリッジ大学)
留学期間:2016年12月~2017年3月

 

専門を超えて、視野を広げるために!

若林)本日はお忙しい中ありがとうございます!どうぞよろしくお願いします!

若木)よろしくお願いします!

若林)若木さんが留学されていたのは3年ほど前になるんですよね?

若木)そうですね!

若林)早速ですが、まず留学を決めたきっかけを簡単に教えていただけますか?

若木)お金がとれたから、というのは大きいけれど、レオロジーっていう分野を研究する中で、視野を広げてみたいと思ったからです。この分野は機械、物理、化学、数学とかいろいろな研究者に研究されているのですが、自分の一つの視点からだけじゃなくて違う方向性からどう見ていくのかを知ってみたかったので。

若林)訪問先の研究室はご自身で探されたんですか?

若木)自分で見つけました!教授の周りに研究の対象が近い先生がいればお願いしようと思っていたんだけど、いなくって。それで、よく読む論文の先生とかをあたっていく中で、ケンブリッジの先生にアポイントメントがしっかり取れたのでここに決めましたね。

若林)専門ではどのようなことをされているんですか?

若木)専門は流体力学なので、液体や気体の流れ方を研究をするといった感じです。特に僕のやっているレオロジーっていう分野は対象がかなり複雑で、例えば水とか空気みたいなものではなくて、クリームとかマヨネーズとか液晶とか、そういう混ざり物を含んだ流体の粘性とか弾性とかの物性や,混ざってる粒子とかが流れ方にどう影響を与えるかとかを研究しています。

若林)なんだか難しそうですね…。

若木)例えばマヨネーズだったら、チューブから出すときには流れて出てくるけれど、お皿に乗っけた状態だと固体みたいに形を保持できますよね。そういう風に流体に与える変形のスピードによって粘り気が変わるような流体について研究をしています。

若林)なるほど!ちょっとイメージが湧いてきました!

若木)特に、ケンブリッジでは薄膜の乾燥過程について研究していていました。コップからコーヒーの液滴が垂れたときに、乾くとリング状の跡になると思うんですけど、それは乾燥によって液中にあるコーヒーの粒子が移動していくからで、そういう現象を調べていたんです。乾燥によって中に入っている粒子が移動するとき、例えば均一な膜を作るにはどうしたらいいかとかを考えるテーマですね。

若林)そういうことかぁ…!面白いですね!!

 

ラボのメンバーと

 

進路は研究者ではなく…?

若林)ところで、若木さんは今どんなお仕事をされているんですか?

若木)4月から市役所で働いています!

若林)そうなんですね!!博士課程を修了されているので研究職かと…。

若木)研究の方も継続はしてはいるんだけど、基本的には市役所勤務ですね。新しく大学を作るっていう話が市役所の方で上がっていて。これは市のプロジェクトなんだけど市の中に工学系がわかる人材がなかなかいなくて、例えば工学的なカリキュラムを作ったりとか、どういう機械を導入するかとか、そういうのを決める仕事をしています。いろんな企業を回って協力してくださいっていうような話をしたりとか。

若林)なるほど!でも、なんで市役所で働こうって思ったんですか?

若木)別に市役所でなくても良かったんだけど、大学を作るっていう話にすごく興味があって。大学を作る話は実は前からあって、その検討委員会に自分の研究室の教授が入っていろいろやっていたんですよ。それで博士の学生をやっているとき、大学を作るにあたって市役所に工学がわかる人が欲しいのだけれど、やってみないかっていう話になりまして。もともとアカデミックに残りたいっていう気持ちはあったけれど、なかなか大学を作る仕事に携われることはないだろうなと思っていたので、やってみますと言いました。

若林)すごいですね!大学を作るって、なかなか聞いたことがないです!ちなみに、いつ頃できるのかとかちょっと気になるのですが…。

若木)厳しい状況ではあるけれど、うまくいけば2021年の4月から開学できるような形で進めています。

若林)1年半後くらいですか!本当に大変な作業だとは思いますが、楽しみですね!!それから、先ほど研究も続けていらっしゃるとお聞きしましたが、今も大学に行かれているんですか?

若木)そうですね。もちろん、今は研究に割く時間はあまりないけれど、後輩たちもまだ研究室にいるので、彼らに指示を出したりしながら一応続けています。随時データをまとめたり、論文を書いたりもしていますし。

若林)仕事をしながらも、自分のやってきたことを続けられるというのは大きいですよね!

若木)うんうん。一回論文書かなくなると手をつけられなくなるよとか、学会に出なくなると結構な期間出られなくなっちゃうよとかも言われているので、ブランクを作らないようにしています。

 

新設大学設置予定の建設現場

 

毎日が、異分野交流!?

若林)留学中、何か印象的だったことはありますか?

若木)ケンブリッジ大学の研究所には色々な先生が集まっているのですが、大学(研究所?)でコーヒーブレイクの時間が設定されていて、その時間になると同じ建物にいる人たちが一斉に一つの場所に集まってお互いに話し合うんですよ。近い分野の人もいれば、全然知らない分野の人もいる中で、意見交換とか情報交換とかができる空間があって、しかもそれを大学側がアレンジしているっていうのがすごくいいシステムだなと思いました。

若林)そんな時間があるんですね!なんだか羨ましいです。学生も参加するんですか?

若木)学部生はわからないけれど、教員だけじゃなくて博士課程の学生とか、ポスドクとかも集まって研究の話から全く関係ない話まで自由にしていましたね。日本だと、研究室に入ってしまったらその中で完結してしまうけれど、そういう自由な交流が異分野との絡みとかに繋がるんだろうなぁって思いました

若林)それって毎日やるんですか?

若木)毎日そういう時間がありましたね。面白い取り組みだし、そういう時間って大事なんだなぁって。

若林)すごくいいですね!楽しそうです!!日本の大学でもやって欲しいなって思ってしまいます。逆に、すごく大変だったこととかってありますか?

若木)分野が全然違うこともあって、英語は大変でした。研究の内容に関して言えば論文を読んでたり、単語を知ってたりするから理解できるんだけど、分野外とか日常会話で苦労しました。そこの研究所で実験をするために必要な安全管理テストみたいなものがとても大変で。化学系の安全管理に関するテストだったんですけど、そもそも自分の分野と全く関係ない話で単語も訳がわからず、再テストを受けさせられたりとか。

若林)うーん、たしかに異分野の専門用語はすごく難しそうですね。それでも海外で研究進めていく中で、何か大きな気づきや学びはありましたか?

若木)やっぱり視野が広がったかな。機械系出身だったのもあって、今までやっていた研究ではマクロな方から物事を考えていたけれど、化学系だと中がこうだからこういう流れ方をするんじゃないか、みたいに考えていて、真逆の視点というか分野によって別の見方ができるんだなあって思いました

若林)博士でありながらも、その視野の広さを持っていられるのは本当にすごいですね!これからもお仕事に研究に、応援しています!では最後になるのですが、これから留学する後輩たちに、何か伝えたいことなどメッセージをお願いします!

若木)博士進学や博士留学をしようと思っている人に言うのであれば、自分の分野を学びに行くのもいいけれど、別分野とかちょっとずれた分野を学びに行ってみるのもいいんじゃないかな。博士って自分の研究をずっと極めて行くから、どんどん視野が狭くなるというか、視野が偏ってしまうから、留学などのタイミングで別の視点も入れつつやって行くのがいいんじゃないかなと思うし。

若林)たしかに留学って、新しいことに挑戦する絶好のチャンスですよね!

若木)そして、できれば長い期間いけるといいですね。僕の場合は3ヶ月と言う短期で、分野も違ったし教授自体が知り合いというわけでもない中で、その後繋がりを続けて行くには何かしらの成果を残さないといけないというのもあったので。それに実験環境を整えてちゃんと実験ができるようになるまで1ヶ月半、予備実験で2~3週間かかってしまったしまったこともあって、最後の数週間で取ったデータを日本に持ち帰ってギリギリまとめることはできたとはいえ、もっと期間があったほうが余裕を持ってできたかなって思います。だから、研究をしに行くのだったらなるべく期間は取ったほうがいいです!

若林)貴重なお話、ありがとうございました!

インタビュアー

若林 里咲(わかばやし りさ)
トビタテ!留学JAPAN 9期生