第92回:トビタテ!アフリカ留学特集!第9弾: 梅原悠季さん【ウガンダ牛女物語】

2021年8月30日

吉田
吉田
こんにちは!トビタテ8期・事務局インターンの吉田梨乃です。

トビタテ!アフリカ留学特集!第9弾の今回は、東アフリカに位置するウガンダで「牛×獣医×国際協力」をテーマに留学されていた梅原悠季さん(9期・理系複合コース)です!

野生動物の保全と人々の生活向上のため、獣医師になることを夢見た梅原さん。
しかし、学生時代のウガンダ留学をきっかけに進路転換。

北海道の獣医学生がウガンダになぜ渡ったのか?
留学を経て、どう変わっていったのか?
梅原さんによるウガンダ牛女物語🐮のはじまりはじまり。

野生動物と人々の生活を守る獣医師になりたい

吉田
吉田
本日はよろしくお願いします!ウガンダで牛女になったお話楽しみです!

こちらこそよろしく😊
梅原
梅原

吉田
吉田
北海道で獣医学生をされているんですね!獣医を目指されたきっかけは?

ロールモデルに出会ったのが大きなきっかけかな!もともと小さい時から自然や野生動物が大好きで、動物奇想天外っていうテレビ番組をよく観てたんだけど、そこでアフリカがよく特集されててね。ある時、お父さんから「牛の獣医をやる傍、ケニアでアフリカ象の保護活動をマサイ族のコミュニティでする活動をする方」を教えてもらって…「私が目指す姿はこの方だ!」と思って、獣医師を目指すようになったんだ!
梅原
梅原

吉田
吉田
素敵な方ですね!それで、獣医師になるために大学進学を決めたんですね。

そうなの。でも実は入学して半年で現実を知って(笑)もともと私は、野生動物を治療することが自然界にいいと思っていたんだけど、治して野生に戻しても生き残れる割合が低いし、自然環境が根本的に改善する方法ではないなって気づいたんだよね。もちろん密猟者から傷つけられた場合は意味があるけれど…獣医として野生動物にどう関わっていけるのかを模索するために、色んな国に行ったんだ。
梅原
梅原

吉田
吉田
どちらに足を運んだんですか?

マレーシアのボルネオ島と東アフリカのケニア!どちらも野生動物や自然の保全活動をするNPOのスタディツアーだったんだけど、特にケニアは印象的だったなあ。アフリカゾウの研究をされている方に地元のコミュニティを案内してもらったんだけど、現地の人が野生動物とものすごく近い距離で生活されていて「昨晩イボイノシシ狩って食べたよ〜」みたいな会話が日常的にあるんだよね(笑)
梅原
梅原

吉田
吉田
日本で生活していたらほぼ聞かない会話ですね(笑)

そうだよね。生きてきたバックグラウンドで考え方や捉え方が全く違うことを学んだな。それと、私は現地の人と関わるまで「動物を傷つける人は悪者だ」と思ってたんだけど、中には経済的な理由で動物を傷つけなければいけない人も多くいて…野生動物の保全よりも先に、「人の生活が安定すること」が求められてると思ったの。経済格差や、先進国が密輸入している経済の構造について考えることは、野生動物と関わる上で必要不可欠だと思って…
梅原
梅原

吉田
吉田
人を支えることが結果的に動物保全に繋がっていくんですね。

そうなの!あと私は動物は好きだけど、人も好きで。「顔の見える誰かのために何かをやりたい」って思いがその時に芽生えて!帰国して早速「ウガンダミルクプロジェクト」というものに関わることになり、1年間ウガンダに留学することになったんだ。
梅原
梅原

ウガンダの人々とともに:現地に根ざした活動

吉田
吉田
「ウガンダミルクプロジェクト」ってなんですか?可愛い(笑)

大学の研究プロジェクトで、ウガンダ南西部のムバララ県で農家さんに対して牛の①病気予防や②栄養管理、そして③繁殖管理を行うプロジェクト!
梅原
梅原

吉田
吉田
へえ!

ムバララ県が牛の放牧に適した場所で、酪農は盛んな産業ではあるんだけど、牛1頭が1日に出す牛乳の量が10-20Lなんだよね。日本は1日30-40Lくらいは出しているからウガンダは少なくて。そのためには餌の改良だとか、繁殖の仕方、病気の予防など改善できるところがたくさんあるの。牛乳の生産量と質をあげる技術支援を目的にしてるの!
梅原
梅原

吉田
吉田
なるほど!それを通してウガンダに1年間滞在されたんですね!現地ではどのようなことをされたんですか?

現地の獣医学生や専門家と一緒に30件の農家さんを巡りながら調査したり、牛から血液サンプルもらったり、ダニ捕まえたり、農家さんにワークショップしたり…色んなことしてた!
梅原
梅原

吉田
吉田
農家さんと密に関わっていたんですね!ワークショップではどのようなことをされたんですか?

2ヶ月に1度、牛の栄養学や繁殖管理、病気予防の仕方などをレクチャーしてた!全てを日本人である我々が教えるのではなく、現地獣医師や大学の先生、県庁オフィサーを巻き込んだよ。現地の人だけで実践できる継続的な仕組みを作ることが必要だと考えていたんだ!
梅原
梅原

吉田
吉田
持続可能な技術支援をされていたんですね!

そうそう!あとは、私が女性だということもあって、現地の酪農家の奥さんや子供向けのワークショップをして欲しいと言われて、女性向けの活動にも取り組んでいたよ。
梅原
梅原

吉田
吉田
現地の女性の地位って低いとされているんですか?

私も最初はそう思ったんだよね。旦那さんが牛の管理権限を持っていることが多いし。本来は子供の面倒を見る女性の方が牛のお世話は長けているんだけどね。だけど、実際は女性は土地のオーナー権限とか発言権も持ってる方もいて、組織のトップしている女性も多いんだよね。
梅原
梅原

写真:女性へのワークショップの様子

吉田
吉田
すごい!そうだったんですね。日本もウガンダの女性のリーダー性から学ぶことがありそう。

本当にそうだね!ワークショップをして欲しいと頼まれたものの、実際にコミュニティの課題を提起したことで、女性たちが課題に気が付いて、自分たちで組合を作ったんだよね。自発性を生むきっかけに携われて、ローカル目線で活動できてよかったと思ったなあ。
梅原
梅原

吉田
吉田
本当に現地に根ざした活動をされたんですねー!

現地の方との関わりは本当に楽しかったな〜。実は中高吹奏楽部だったこともあって、サックス🎷を現地で購入して音楽教室や教会で教えてたの!結局みんな教わるよりも、私が吹くのに合わせて歌ったり踊ったり、ピアノ引いてくれたり、思い思いの楽しみ方をしてたけど🎶(笑)
梅原
梅原

吉田
吉田
え、私も中高吹奏楽部でサックス吹いてました(笑)

奇遇すぎ!音楽って言語・文化・人種・国籍など様々な壁を簡単に超えちゃう力を持ってるし、何よりも音楽を通してワクワクと高揚感を共有できたのは最高の思い出。
梅原
梅原

孤児院で演奏したこともあったんだけど、言葉でなく、物をあげるのでもなく、音楽でいろんな傷を抱えた子供たちとコミュニケーションをとれたあの暖かい空間は本当に忘れられないな。何度か通って、この子たちの為にできることって寄付や物を与えることしかないのかなとモヤモヤしてたところだったから、余計に嬉しくて感動してしまった(笑)
梅原
梅原

吉田
吉田
音楽って本当にいいもんですね〜私も今度アフリカ行ったら吹きたい(笑)

支援プロジェクトの難しさ

吉田
吉田
ウガンダ留学の1年間をミルクプロジェクトに携わった中で、農家さんたちにどのような変化が見られましたか?

実はこのプロジェクトは3年間に渡るもので、私は最後の1年間の部分だけ携わらせてもらったから、Before Afterを比較してたんだよね。そしたら、乳量と乳質は上がっていたんだけど、ウガンダのバリューチェーンの中で乳質は重要視されてなかったの。だからいくら乳質をあげたところで、意味がなかったんだよね…それを知った時は「今までの農家さんの苦労はなんだったんだろう」って思って悔しかったな。
梅原
梅原

吉田
吉田
なるほど…どこで金額が上乗せされていたんですか?

そう私も疑問に思って、実際にバリューチェーンの仕組みを知りたいと思って、農家さんの家でホームステイさせてもらって、生活を共にさせてもらうことにしたの。
梅原
梅原

写真:ホームステイ先の農家さん

吉田
吉田
現地の人の生活に密着したんですね。何か発見はありましたか?

うん!生産者(農家)はミルクコレクションセンターと呼ばれるところとやり取りをしているんだけど、その間に入る仲介人(ミドルマン)がいたんだよね。乳質は関係なく、そのミドルマンが値段を高騰させてることが分かったの!
梅原
梅原

吉田
吉田
なるほど…他にも見えてきた課題はありましたか?

バリューチェーンとは別に、ウガンダの農家さんが抱える問題の一つに「人不足」があって。ウガンダの一大イベントであるクリスマスに帰省してからスタッフが帰って来なくなったなんて話も聞いたな…原因は低賃金や労働環境の悪さ等々いっぱいあって、すごい根深くて。スタッフの出入りが激しいもんだから、酪農のノウハウを教えてもなかなか定着しない中、その課題をうまく乗り越えてたのがこの農家さんだったの。現地の酪農ビジネスのモデル農家になれる!って可能性をすごく感じた!
梅原
梅原

吉田
吉田
農家さんと近い距離で過ごしたからこそ見えた課題だったんですね。

そうだね!でも、結局「私は獣医として何もできていないな」って痛感したし、現地で関心を持って活動できたのはビジネス領域とか、必要な登場人物を繋げることだったから、そっちに興味あることに気づいたんだよね。
梅原
梅原

ウガンダ牛女、新たな道へ

吉田
吉田
ということは留学後は、ビジネスの道へ?

とりあえず帰国して、就活しよう!と思ったんだけど、ウガンダでの経験とどう繋がるのか悩んで悩んで、やっと1つの企業と出会ったの。日本ならではの「モノづくり」で良質な製品価値を海外に提供したいと思って。あとは細やかな研修制度が整っているのも日本ならではだから、その2つの視点を特別実現できる会社に決めて、内定を頂きました!
梅原
梅原

吉田
吉田
おめでとうございます!でも、獣医師からビジネスへのキャリアチェンジはやっぱり勇気がいりましたか?

獣医分野ではなく、自分のやりたいことの分野でキャリアアップするのは確かに珍しいし、あんまり前例はない(笑)だけど、私が現地の人たちにしたかったのは「応急処置ではなくサステイナブル」なものだったから、それを大きな財源で安定的に動かしていくのってビジネスだなと思ったんだよね。
梅原
梅原

吉田
吉田
なるほど!支店をおけば現地の雇用にも繋がりますもんね。

そうそう!海外展開、特にアフリカ地域で展開したい!って面接の時に情熱的に伝えちゃった(笑)牛ではなく、日本人としてのアイデンティティを生かして「モノづくり」で貢献しながら、現地の人にキャリアと教育の両方が提供できると思って、やっぱりビジネスがしたいと思ったかな。
梅原
梅原

吉田
吉田
日本人のアイデンティティを意識するようになったのもウガンダでの経験が大きいですか?

そうだね。最初は現地の人から「ムズング(白人)」とよく呼ばれてたんだけど、農家さんと触れ合ってたら徐々に「日本人」として認識してくれるようになって。日本に愛着を持ってくれてることが分かったんだよね。それは、やっぱり日本が続けてきた支援への信頼だったの。
梅原
梅原

吉田
吉田
現地に根ざして信頼でつなぐ支援が日本の強みだとも聞きますね。

そうそう。途上国支援には色んな批判があるかもしれないけど、現地の人は「日本の支援はモノを与えるだけではなく、技術を与える」っていう風に口にしていて…現地の人に持続的に役立つためなら、モノとかお金を与えるだけではなく「技術」が必要だって痛感したな。
梅原
梅原

吉田
吉田
ビジネスを通じて「キャリアと教育の両方が提供できる」とはそういう意味だったんですね!

うん!一方通行ではなく、双方通行なビジネスを通じてアフリカに貢献したい!って強く思うよ。牛からビジネスはだいぶ飛躍したけど(笑)農家さんとできるだけ近い視点で関わったからこそ、得られた新たな発見!
梅原
梅原

吉田
吉田
素敵です…!最後に、これからの展望、夢、目標があれば教えてください✨

生産者から消費者まで、商売に関わる全ての人が幸せに働いて消費活動できるサプライチェーンを日本の「モノづくり」で実現したい!さらに欲を言うと、いつか、この夢をキャリアチェンジの原点となったウガンダで実現して、現地の大好きな仲間たちの喜ぶ顔を見たいなと妄想してる(笑)
梅原
梅原

吉田
吉田
留学先で関わった人々の笑顔を思い浮かべなら仕事できるってすごく幸せですねきっと!本日はありがとうございました!牛女のアフリカビジネスのチャレンジ応援しています😆

ありがとう!牛女、まだまだ頑張ります🐮
梅原
梅原

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吉田
吉田
ウガンダ牛女物語、いかがだったでしょうか。過去にもアフリカに留学したユニークなトビタテ生を特集しました!以下の記事は要チェックです👀

吉田
吉田
こんな面白い人たちと繋がりたい!というトビタテ生はぜひトビタテ!アフリカ会へ!トビタテ生によるトビタテ生のためのアフリカコミュニティです!