第105回とまりぎインタビュー:1期 井上琢斗さん(前編)【徳島に井上琢斗あり!研究開発の道から地方で場づくりに挑戦するようになったワケ】

2020年9月29日

トビタテ5期生・事務局インターンの福永夏輝です!

第105回とまりぎインタビューではトビタテにおける「地域活性化のパイオニア」(と私が勝手に仰ぐ)、1期生の井上琢斗さんにお話をお伺いしました。

一度は感染症を起こしにくい機器を開発する「研究開発者」の道を志した井上さんが現在は徳島県三好市でゲストハウスWAKUWAKU HOUSE MATABIを拠点に「若者がチャレンジできる場をコーディネートするインターンシップコーディネート業」を手がけるに至った理由は…トビタテ留学での「ある気づき」にあり!?

徳島生まれ、古民家宿「WAKUWAKUHOUSE MATBA」代表、徳島県立池田高等学校非常勤講師。日本三大秘境と呼ばれる地で、「泊まれる観光案内所」をコンセプトとした古民家宿を運営。その他、教育研修プログラムの企画・実施のほか、地域の企業や団体の課題解決や新しい挑戦をピックアップし、若者がチャレンジできる場としてするインターンシップコーディネート業に従事。

「何も起こらないことがゴール」感染症対策プロジェクト

福永:トビタテ全期生FaceBookグループで井上さんの投稿を何度か拝見して、実は徳島県旅をしたいという気持ちを密かに募らせていました(笑)本日はよろしくお願いします。現在は徳島県で地域に根付いた活動をしていますが、トビタテでの留学テーマははどのようなものでしたか??

井上:トビタテでの留学テーマは「感染症対策」です。カンボジアの国立病院で ①医療スタッフの感染症についての基礎知識および具体的な予防 ②感染症対策のマネジメントを向上させることを目的にプロジェクトを立ち上げました。

福永:私はTHE・文系の人間なので、理系の人の留学テーマを聞くと「かっこいい!!」と惚れ惚れしてしまいます(笑)留学のテーマは大学での学びとの関係が強かったのでしょうか?

井上:大学では感染症の菌に関する研究をしていましたね。当時僕が描いていたキャリアは今とは全く異なるもので、手術室で使うカテーテルなどの医療機器を作る企業で「感染症が起こりにくい機器の開発」に携わりたいと思っていました。

薬に抵抗力をもつ感染症原因菌がどのように抵抗力をつけるかについての研究をしていた

ただ、当時描いていたキャリアに進む上で先端技術教育学部という工学系の学部にいたこともあり医療の現場を全く知らないと言う問題がありまして…。実際の医療機器を見たこともないし、現場の人たちがどのようなことで困っているのかということについても知らなかったんですよ。

福永:確かに、現場のリアルを知ることで初めてわかることってたくさんありますよね。

井上:現場のリアルを知らないで進路決定をすることにすごく違和感があったので、医療との接点を作るために病院でのボランティアを始めたのですが、結局そこでも二次情報にしか触れることができず、リアルを感じることができませんでした。

特に国内では医療機器を使う現場を見ることが厳しいと言うことがあったので、海外で現場に携わる機会が欲しいと言うことで、留学をすることに決めました。

福永:そこからトビタテでの留学に繋がるんですね!

井上: 留学を決意したものの、そこから先が山あり谷ありでした(笑)まず、受け入れ先を探しているときに新興国の医療支援をしているNGOを見つけ、その活動先であるカンボジアに私を派遣してほしいとお願いしたのですが、 医師や看護師などのプロフェッショナル職の海外派遣はしていても、学生を連れて行くことは出来ないと言われました。

それでも海外の医療現場で学びたかったですし、諦めきれなかったので、たくさんの医療職の方に相談してプロジェクトを企画した上で再度「行かせてください!!!」と無理を言ってお願いして飛び立ったという経緯になります。

福永:今さらりとおっしゃいましたが、めちゃくちゃすごいです!!!

井上:あとは大学側との交渉も本当に大変でしたね。所属大学では海外長期インターンシップでの休学は認められていなかったので。何度も交渉をする中でようやく認めてもらい、結果として単位認定なく休学できる仕組みがつくられました。

留学を決意したものの、そこから先が山あり谷ありでした(笑)まず、受け入れ先を探しているときに新興国の医療支援をしているNGOを見つけ、その活動先であるカンボジアに私を派遣してほしいとお願いしたのですが、 医師や看護師などのプロフェッショナル職の海外派遣はしていても、学生を連れて行くことは出来ないと言われました。

福永:飛び立つ前から、パワフルすぎます!!!大学まで動かしてしまうなんて…。やっぱり最後に人を動かすのは熱意なんですね。

現何も起こらないこと」がゴール

福永:飛び立つ前から濃いエピソードをお聞かせいただきましたが、次はいよいよ留学での活動についてお聞かせいただければと思います!

井上:留学でのテーマは感染症予防なのですが、そもそも僕が持っている価値観の部分について少し触れておこうと思います。

僕、実は人がすごい好きなのに、人とコミュニケーションするのは嫌いなんですよね(笑)なので、表舞台に立つというよりあくまで黒子みたいな存在になれたらいいなって思っていて、特に表立って干渉するわけではないけれど、「気がついたら変わっていた!」みたいなのを理想としています。

福永:「何も起こらないことがゴール」…???

はい、例えば人々は感染症対策のために努力をするけど、そこから得られるものはプラスではなく、マイナスをゼロにすることですよね。その人たちが頑張っている先にあるのは人々が過ごす日常であって、感染してしまうとその人たちの日常が壊れてしまう。

病院スタッフへの院内感染予防レクチャーの様子

なので、僕がやりたいことはその人の日常に彩りを与えるというよりかは、その人の日常が変わらないように、落とし穴にはまらないように先回りして埋めることです。

福永:なるほど!!だから感染症対策がテーマだったんですね。井上さん哲学がひしひしと伝わってきました。

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