【SDGs特集 Vol.1(後編)】高木超さん〜自治体とSDGsの繋ぎ人 〜現場の人が悩みながら考えることに価値がある〜(第118回)

2021年1月13日

高木さんインタビュー記事(前編)はこちら!

こんにちは、トビタテ事務局インターンの福永です!

記念すべきSDGs特集第一弾では「行政とSDGsの架け橋」として活躍されている高木超さんをお呼びしました。インタビュー後編では、日本の自治体がいかにSDGsを行政の取り組みとして推進していくことができるのか、国連本部でのインターンの経験と現場の視点を元に語って頂きます。

日本の自治体におけるSDGs浸透具合のリアル

ー 福永:日本の自治体レベルでのSDGsの浸透具合はどのような状態なのでしょうか?

高木:自治体の全体にまたがる計画などを担当する企画部門におけるSDGsの認知度は高いです。また、後述する「SDGs未来都市」の前身にあたる「環境未来都市」に選定されていた自治体を中心に、環境部門においてもSDGsの認知度は高いと言えます。裏を返せば、この2つの部門以外では、自治体職員の中でSDGsの認知がそこまで高いとは言えません。

ただ、全国の自治体からSDGsの達成に向けた優れた提案をした都市を政府が選定する「SDGs未来都市」という制度が設けられたことなどによって、自治体で「SDGs」への注目は高まりつつあると感じます。2020年現在、全国で93都市(94自治体)が、SDGs 未来都市に選出されています。

canva pro

ー 福永:SDGsに取り組まなければいけないという風潮になりつつあるけれど、なかなか動けていない自治体が多い、その理由はどういったところにあるのでしょうか?

高木:SDGsのゴールを見ると「貧困をなくそう」や「海の豊かさを守ろう」といった文言が書かれていて、「自治体にとっても重要なことだ」と思う反面、どのようなことに取り組めば「SDGsに取り組んでいる」と言えるか具体的に書かれていないので、イメージしづらいことが理由のひとつだと感じています。

そこで、自治体がSDGsへの「対応」に追われるのではなく、主体的に「活用」してもらいたいという思いを込めて、これまで2冊の本を出版しています。SDGsにご関心のあるトビタテ生の皆さまにも、図書館で借りてご覧いただければ嬉しいです。

canva pro

SDGsに関することは私たちの身近にたくさんあります。例えば、自治体の広報誌に明朝体が使われていた場合、視覚障害を抱える住民にとっては読みづらく、3と8のような似た文字を誤読してしまうこともあります。

そういった時に、「ユニバーサルデザインフォント」と呼ばれる誰にとっても見やすく読みやすいフォントを使うことで、SDGsのゴール10「人や国の不平等をなくそう」の実現につながります。誤読の可能性を減らすことで、ゴール4「質の高い教育をみんなに」につながる可能性もあります。

このように、身近なところで実践できるSDGsの活用方法を職員の方々に伝えることで、今までの自治体の取り組みをアップデートしていくことができると考えています。

自治体職員にSDGsを活用してほしいという思いを込めて出版した2冊の書籍

「SDGsを使う」という発想

ー 福永:意外と身近なところで実践できることはたくさんありますよね。地方自治体がSDGsという地球規模の目標を地域レベルに落とし込み活用していくためには、どんなことがポイントになってくるのでしょうか?

高木:まず、計画をつくる段階で、住民の意見をきちんと把握することです。自治体の意思決定の場では、年配の男性だけが計画チームの構成員になっていることもあります。

そこで、トビタテ生のような若者や、障がいを抱える人、女性、外国籍住民をはじめ、これまで自治体の計画に意見を届ける機会が多くなかった人の意見を反映させることが重要です。

特定の人だけで考えるのではなく、様々な住民が関わることで、「子どもにとって必要なこと」「女性にとって必要なこと」「障がいをかかえる人にとって必要なこと」など、これまで欠けていた視点を計画に反映することができます。

SDGsは、こうした「欠けていた視点」がないか、私たちに気づかせてくれるツールでもあります。

2020年3月に金沢市で開催されたシンポジウム(出典=UNU-IAS OUIKウェブサイト)

ほかにも、東日本大震災に関連して政府が実施した調査では、自治体の防災備蓄用品に、女性の生理用品や子どもの紙おむつ、粉ミルクなどが含まれていなかったことに不便を感じたという声が寄せられています。防災備蓄品を選定する際に、男性の職員ばかりで検討していては不十分な視点もあるはずです。

そこに女性や障がいを抱える方、外国籍の方といった多様な関係者に意見を伺い、アップデートを重ねていくことで、住民の生活の質を向上させることができます。

ー 福永:高木さんのインタビューを通して、私自身すごく勉強になりました!最後にトビタテ生へメッセージをお願いします!

高木:私たちのような若い世代では「未完成力」が重要だと思っています。例えば「今はTOEICのスコアが400点しかないから、800点になったら留学に行こう」という考え方の人もいますよね。でも、このように「やらない理由」を探してしまうと、いつの間にかチャンスは逃げていってしまいます。実際に、数年経ってTOEIC800点になったからチャレンジしてみようと思った頃には、もう留学というチャンスは目の前から無くなっているかもしれません。

自分で「実力不足で不安だな」と思っている時、つまり未完成な状態こそ得られるものも多いのではないでしょうか。

準備をきちんとすることと、全力で取り組んでいることが前提条件ですが、「未完成であること」をもっと前向きに捉えて、チャレンジしてみることをオススメします。

ー 福永:高木さん、最後に素敵なメッセージありがとうございました!

■編集後記:SDGsやサステナビリティーという言葉を聞くと少し身構えてしまう人もいるかもしれないが、「日常生活の中にSDGs達成のための多くのヒントが隠れていて、自分の身近なところから始めることができる」そんなことを考えさせられるインタビューとなった。

自治体がSDGs達成における推進力を発揮することができれば、さらに多くの人が持続可能な社会に向けて一歩踏み出すきっかけが増えていくのではないか。高木さんのこれからの活躍が楽しみです!

▶︎高木さんインタビュー記事(前編)はこちら!