第122回とまりぎインタビュー:原田怜歩さん【トイレ留学】

みなさん、こんにちは!トビタテ高校生コース3期積千夏です。今日はアメリカアラバマ州に長期留学していた原田怜歩さんの記事です。

トビタテ!留学JAPANでの留学

原田怜歩さん
高校5期
アカデミックロング

トイレ留学とは

積)留学をしたきっかけを教えてください!

原田)小学生の頃の親友と久しぶりに話したときに、その子からカミングアウトを受けたことがLGBTについて知ろうというきっかけになりました。当時はLGBTって言葉は聞いたことあるけれどあまり身近に知られてはいなくて…その友達に「LGBTという理由で何か大変なこととか困っていることある?」って聞いたら「トイレ」って言われたんです。正直、トイレって聞いたときに驚いて…トイレは日常生活の中の唯一のプライベート空間で、憩いの場でもあり、どこにでもある。この3つを満たしたものこそがトイレだと確信していたので。それがきっかけでトイレ留学を決めました。 

積)だからトイレ留学なのか!現地ではどんな活動をしていましたか?

原田)通っていた高校にLGBTコミュニティがあったので、留学テーマの1つでもある「ジェンダーフリートイレを日本に普及する」ことについて話し合いました。ジェンダーフリートイレとはすべての性に対応したトイレで、北欧やアメリカなどの地域で普及しています。

また、現地の高校で生徒会長をしていたので、学校代表で地域のボランティアや、州の数学オリンピックにも出場しました。

積)テーマだけではなく、幅広く活動されていたんですね。

原田)テーマも突き詰めていましたが、生徒会長やってみない?ってオファーを頂いたので引き受けました。

積)心に残っていることはありますか?

原田)友達がDSD(性分化疾患)という障害があって、男性なんですけど生理がきたりするんですね。そういった障害を持つ人がいるとうことはテーマをやっていく中で知っていましたが、実際に生活すると、やっぱり大変なんですよね。戸籍上、男子だけれど生理がきちゃって、生理用品貸してって言われたりして。私が、そのことに対して嫌だとかいうわけでは全然なくて、そういった友達と過ごした日々は、言葉では表せないのですが、印象的でした。

積)たまたま学校で会った友達が、DSDだったのですか?

原田)そうですね、仲良くなった友達がそうでした。貴重な体験だったと思っています。

学校のホームカミングパーティーで仲良しだった先生との写真

友達が交代でご飯を持って来てくれる日々

原田)残念だったことですが、ホストチェンジをしました。それで、高校も変わっています。最初の高校では、黒人の友達と仲良くて、7人くらいで楽しくしていました。でも、白人のホストファミリーが、私が黒人の友達と仲が良いことをよく思わなくて留学してから3ヶ月間くらいご飯を出してくれず…

お昼は学食でしたが、朝ごはんも夜ご飯も一切出してくれませんでした。

積)え…! 

原田)私の留学していたアラバマ州南部は古くからつづく白人至上主義が根強く残っていたので。でもやっぱり、その時に支えてくれたのは、その黒人の友達たちでした。「はい!これ今日のご飯!」って友達たちが交代で私の朝ごはんと夜ご飯を用意してくれたんです。留学生という立場上、交通手段がなくてスーパーに買いに行くこともできなかったので、その友達の優しさに心を打たれました。 

ようやく、ホストチェンジできることになったのですが、新しいホストファミリーの家は場所的に学校を変えなくてはいけなくて、その友達と急に離れることになったのは、すごくショックでしたね。 

積)三ヶ月もご飯出さないホストファミリーっているんだって思っちゃいました。友達たちもすごく優しいですね。

ホストチェンジ後のファミリーにプレゼントした壁飾り、次は日本で会うことを約束。

プロジェクトの立ち上げ 

積)現地の活動が今にも活かされていることはありますか? 

原田)2つあります。留学ってもちろん1人で飛び立つと思うんですけど、日本にはそういう自分を応援してくれている家族とか友人とか、自分の応援団がいてくれるんだなって思いました。現地でも、わからないことや困ったことをサポートしてくれる友達がいて、そういう方の大切さをすごく感じました。留学って個人戦ではなくて、1人だけど、本当は団体戦なんだなって思いました。

今は、「日本にインクルーシブトイレを導入しよう」というテーマのもとPlungerというプロジェクトを進めており、発起人を務めています。そのプロジェクトは私のアイデアや思いからスタートしたプロジェクトですが、学校の先生だったり、企業、チームメンバーやトビタテも巻き込ませてもらって、大きくなってきました。それは、自分のアイデアを形にしてくれたり、アドバイスしてくれる仲間があってこそだと思います。そういう人たちの大切さを本当に感じました。

積)そのプロジェクトは帰国後に始めたんですか?

原田)帰国前に方向性は決めて、帰国後に始めました。週に1回オンラインミーティングでメンバーと話し合ったりしています。

日本にインクルーシブトイレの導入を目指して 

積)そのプロジェクトではどんな活動をされていますか?

原田)大きな目標は、日本にインクルーシブトイレを取り入れることです。観光地にポツンとあるよりも公共の男女トイレのように設置を増やしたい、そう思っています。Plungerとしての活動は短期的なプランと長期的なプランに分けて考えています。というのも、インクルーシブトイレを取り入れることは、時間もお金もかかるので長期的にみないといけないですからね。

短期的なビジョンとして、LGBTを強調しすぎないけれど、みんなが使いやすいトイレを目指して、現在ジェンダーフリートイレや男女共用トイレのある店舗の店頭に貼れるステッカーを考えています。

店頭に「こういうトイレありますよ」と貼ることで使いたい人が一目でトイレの存在を認知することができます。さらにそれは集客という点でお店側にもメリットがあるので双方のニーズを満たしていると思います。そういったトイレをもっと身近に検索できるインクルーシブトイレのマップも開発しようと考えています。

積)今後の目標はありますか?

原田)日本にインクルーシブトイレを導入することです。それを導入することでセクシャリティとか性自認に関わらず、みんなが同様に使えるトイレ空間の実現を目指しています。またトイレのみならず、私たちの暮らしから「男/女らしい」という概念が脱ぎ捨てられ、「ワタシらしい」を自分で表現できる暮らし。

そして、誰かと同じでなければいけない、という近年の集団主義の柵から解放され、「みんな違って、みんないい」とそれぞれの多様性を分かち合える社会。

この目標に向けてPlungerを通して貢献できたらと思います。

編集後記

実際にプロジェクトを立ち上げて、行動されている原田さん。留学での活動が活かされていることが伝わりました!心の底から応援しています。