トビタテ生がつくる“教育ローカル”これからの日本を変えるコミュニティの可能性
小学校教員、まちづくり活動家、そして国際交流の通訳。3つの顔を持ち、それぞれのフィールドを有機的に繋げながら活躍しながらとまりぎ 教育ローカルでも活躍するトビタテ生へ今回インタビューしました。
大学院時代の中国・広東省での実習経験はいかにして彼のキャリア観を変え、現在の多岐にわたる活動へと導いたのか?
「日本という枠だけで考えるのは時代遅れ」と語り、トビタテコミュニティを日本の未来の資産と捉える彼の、国境も職種も越境する働き方をご紹介します!
中国の小学校で学んだ「協働」のリアル

お世話になった1学年部の先生たち(2019年11月11日,中国広東省)
モトイ:
はじめまして!とまりぎ広報チーム(トビタテ9期生)のモトイです。
今回は特定のテーマというよりも、トビタテ同窓会組織「とまりぎ」で熱く活動している“人”にフォーカスを当ててインタビューを行いたいと思います!
ゲストにお迎えするのは、「教育ローカル」の中心メンバーとして精力的に活動されているケンタさんです。 ケンタさん、本日はよろしくお願いします!
さっそくですが、ケンタさんのトビタテ生としての原点を知るために、まずはトビタテ留学の概要から教えていただけますか?
ケンタさん:
よろしくお願いします!
私は大学院に在籍していた2019年9月から2020年1月まで、中国広東省にある小学校で教育実習を行いました。
現地の学校で、周りに中国の教職員、子どもたち、保護者しかいない環境の中で、中国の教育を体験的に学ぶことができました。
モトイ:
ご説明ありがとうございます!もともと中国での留学に興味があったのでしょうか?
またトビタテで留学をすることにした動機を教えてください!
ケンタ:
この実習先の小学校は、私が以前に訪れたことがある小学校でした。私自身、トビタテでの留学は、2回目の中国留学です。
1回目は学部時代の交換留学で、その時は広東省珠海市にある大学に行きました。トビタテで実習に行った小学校はその附属学校です。学部留学学時代から何度か訪れたことがあり、その学校の校長先生も教職員のほとんどが顔馴染みでした。1回目の留学は期間が2〜3日と短期間で深く学ぶことができず、より深く中国の教育現場で学びたい、普段の様子を知りたいと考えているときに大学の勧めでトビタテを知りました。
トビタテの留学は、実習(インターン)に重点が置かれているので、私の留学スタイルに合っていると思いトビタテでの留学を決意しました。
モトイ:
大学でご縁があった留学先でより深く学びたいという想いとトビタテの出会いで2回目の留学が実現したんですね!
トビタテでの留学を通して得られたことや印象深いエピソードを教えてください!
ケンタ:
留学を通して得られたことは2つです。
1つ目は、自分自身の価値観を大きく変えていくということ、2つ目は異なるバックグラウンドをもった他者と協働することの大切さです。
1つ目の自分自身の価値観を大きく変えていくと言うことについてですが、日本と中国は隣国であり、文化的にも非常に近い国だとされています。
ただ、教育の領域だけで見ても大きな違いがあります。その一つが学級担任制か教科担任制の違いです。
日本では一般的に小学校は学級担任制である一方で、中国は小学校から教科担任制です。そのような違いのそれぞれの良さを見付け、両者の良さを取り入れながら自国の教育文化を発展させることが大切であるということを学びました。
もう一つの異なるバックグラウンドをもった他者と協働することの大切さについて私が経験したエピソードなのですが、実習先でお世話になった小学校では毎年11月に大きな文化祭を行っています。
日本の学校では図表を使いながら、実施計画などを作成します。一方で、中国はほとんどの項目を文章で書き、例えばステージイベントのマイクの受け渡しなどついて全て言葉で表現された文章でした。これでは忙しい当日に資料を見てもよく分かりません。そこで私はExcelで使用するマイクの一覧表を作り、出し物ごとにどのマイクを使うのか一目でわかるものを作成しました。
このような経験から、それぞれの強みを活かして、チームとして前に進んでいくことの大切さを学びました。
モトイ:
確かに日本と中国は地理的に近いにもかかわらず教育現場ではそんなにも違いがあるんですね。
気になったのですがケンタさんの考える日本と中学校の教育現場のそれぞれの良さについて教えてください。
ケンタ:
日本の学級担任制だと一人の先生が児童と長い時間を過ごすため、勉強以外の面も含めて、その子の良さを多面的に見付けられるという大きなメリットがあります。
中国の小学校は「教科担任制」で職員室まで教科ごとに分かれています。国語の部屋、算数の部屋といった具合に専門性を突き詰められる環境があり、先生同士でうまく業務を分担していました。その結果、先生の負担を分散しつつ、一回一回の授業のクオリティを非常に高く保つことができていました。
最近では日本でも、小学校高学年を中心に教科担任制の導入が進んできています。
教室、まちづくり、国際交流。すべては有機的につながっている

前任校での研究会(2023年11月18日,新潟市立上所小学校)
モトイ:
留学を経たケンタさんの現在の活動について教えてください!
またその活動のやりがいや面白さも教えてください!
ケンタ:
現在私が主に取り組んでいる活動は3つあります。
1つ目は本業である。小学校教師としての教育活動、2つ目は地元新潟市のまちづくり活動、3つ目は中国や韓国との国際交流活動です。
一見すると、それぞれの活動が独立していて様々な活動に取り組んでいるように見えます。ただ一方で、物事の進め方やそれぞれの分野で得た知識、人とのつながりなどは有機的に繋がっていて、それぞれの活動に生きています。
学校教育の現場では、今まさに変革期にあり、ICT活用やデジタル化がどんどん進められています。
一方で,学校現場ではその領域に長けた人が多くなく、困っている学校がほとんどです。自分自身が留学し、学んできたICT活用や授業モデルなどをどんどん多くの学校に広めていきたいと考えています。
また、まちづくりでは地道で先の見えない活動が続いています。
地域がどんどん変化し、そこに住む人々の意識が前向きなものになっていく姿を見ると、とてもやりがいを感じます。今は空き家のリノベーションに取り組んでいて、地域の有志のメンバーと協力しながら活動を進めています。
国際交流では、新潟県が長年続けている中国との国際交流がメインです。
校長先生や管理職、現場の先生を始め、新潟大学教職大学院の院生や学部生などが中国を訪問し交流しています。私はその交流に通訳として同行することが多く、参加者の交流を支える立場です。
実際に現地を訪れてみると、日本での報道から受ける印象とは全く違い、現地の方々は非常に友好的です。その温かい交流に触れて、参加者のほとんどが良い意味での衝撃を受けて帰国します。
現地に行くことでバイアスが外れ、社会に対する認識がガラッと変わる。これこそが、国際交流の醍醐味だと考えています。
モトイ:
非常に多岐にわたる活動をされているんですね!
それだけの活動を両立させる中で、難しさや課題を感じることはありますか?
ケンタ:
一番の課題はやはり「時間配分」ですね。
1日24時間という限られた中で、どの活動にどれだけリソースを割くか。特定の活動の負担が重くなると、他へ影響が出てしまいます。
そこで大切にしているのが「チームワーク」です。
私は性格的にすべて自分1人で進めてしまいがちなところがあります。
「早く行きたいなら1人で行け,遠くへ行きたいならみんなで行け」の言葉があるように、物事をスピード感を持って進めるには、自分1人で進める方が良いのですが、より規模の大きな活動を成し遂げるには、他者を信頼し、任せることが不可欠だと考えています。

令和6年度文部科学大臣優秀教職員表彰をいただいました!(2025年1月,東京大学にて)
トビタテ生としての「再会」。つながりが「財産」に変わる瞬間

とまりぎ合宿にて,教育ローカルメンバーと(2025年9月28日,文部科学省)

とまりぎ合宿にて(2025年9月28日,文部科学省)
モトイ:
ケンタさんはトビタテのコミュニティ活動にも積極的に関わっていらっしゃると伺いました。
現在どのような活動をしているかについて教えてください。
ケンタ:
現在私は教育ローカルに所属しています。
主にオンラインイベント「Educafe」や「とまりぎ教員コミュニティ」などの運営に力を入れています。
モトイ:
コミュニティに関わる中で、心境の変化はありましたか?
ケンタ:
教育ローカルとして活動し始めたのは、この3年くらいのことです。
社会人としてとまりぎに戻ってくると、また見え方が変わってきます。
教育ローカルという立場では、教育系トビタテ生との繋がりが増え、自分自身が考えを広げるきっかけになっています。
また、とまりぎのメンバーとして活動する中で、高校生コースのイベントや研修会に参加したり、大型イベントの運営に携わったりすることで、より多くのトビタテ生と繋がることができました。
この繋がりは、単にコミュニティ内での楽しさにとどまらず、社会に出た後も助け合える一生モノの「財産」になると確信しています。
モトイ:
そのつながった先では、具体的にどのような相乗効果が生まれましたか?
ケンタ:
例えば、新しいイベントを立ち上げようとした時、すでに似たような活動をしているトビタテ生と繋がって、ノウハウを教えてもらうことができました。
また、単なるボランティア活動にとどまらず、活動のマネタイズ(収益化)を考える場面や、私自身のプライベートな相談事においても、ここで得たつながりが生きていると実感します。
5年後、10年後の日本を変えるコミュニティへ

トビタテ大学生コース11期期集まり(2023年8月26日,文部科学省)
モトイ:
最後に、今後の展望とトビタテコミュニティへの想いをお聞かせください。
ケンタ:
トビタテのコミュニティは、日本では類を見ないほどの「規模」と「質」を誇っています。
「トビタテ生です」という共通言語だけで、居住地や属性に関わらず、世界中の多様な人材とつながるコミュニティに参加することができます。
このコミュニティの中では、多様な人材が、日本にとどまらず世界で活躍しています。
よりグローバル化する社会において、「日本」という枠だけで考えるのはもう時代遅れです。
世界とつながり活躍する人材がこれほど集まるこの場所は、5年後、10年後の日本社会にとって、必ずや大きな価値を生み出す組織になっているはずです。
だからこそ、私はその多様な人材を繋げ、多様な人材がいつでも戻って来れるような場を整備し、発展させ続けたいと考えています。
今はまだこのコミュニティがどのような変化を遂げるのか見えづらいフェーズかもしれません。
しかし、5年後10年後の日本社会にとって、このコミュニティは必ずや大きな価値を生み出す組織になっているはずです!
※画像はすべて本人提供
※2025年12月時点での情報です。
とまりぎでは、様々なイベントを開催しています!
この記事をみて「トビタテ生に久しぶりに会いたいな」、「いろんな人に会って何か刺激がほしいかも」なんて思ったトビタテ生は、ぜひ参加してみてくださいね!
・とまりぎイベントページ:https://tobitate-net.com
