【報告】新大久保K,D,C,,, × トビタテ!留学JAPANコラボイベント 〜海外事例から学ぶ 日本におけるフードダイバーシティの未来〜 海外経験者と食ビジネスのプレイヤーで考える日本の課題と解決策
2022.04.23
こんにちは、トビタテ!留学JAPAN事務局インターンの藤澤みのりです!
3月29日(火)に新大久保K,D,C,,,とトビタテ留学Japanのコラボイベント、「海外動向から学ぶ日本におけるフードダイバーシティの未来」を開催しました。
目次
なぜ今日本でフードダイバーシティについて考える必要があるのか?
観光庁の調査によると、訪日外国人へのアンケートから、以下の声が上がっています。
- 日本はベジタリアン・ヴィーガンに対応した飲食店等の数が少ない
- ネットでの情報発信や店舗内外での表示が少なく、飲食店がベジタリアン・ヴィーガンに対応しているかどうか分からない
- 日本で食べたかった食べ物のベジタリアンオプションがなく、食べることを諦めた
また、ベジタリアン・ヴィーガンだけではなく、宗教やアレルギーを持つ友人からも、食の選択肢が少ない、友人とご飯に行く時に困る、食べたいけど諦めざるを得ない、という意見が出ていました。このような現状に対して、イベントを通じてフードダイバーシティについて学び、日本でどのような意識・行動が必要なのかを議論する機会となりました。
本イベントでは前半に、K,D,C,,,関係者の方と海外在住のトビタテ生から、それぞれフードダイバーシティに関する知識や海外の事例をインプットをしていただきました。後半では、K,D,C,,,に入居されている食ビジネスを行う方とトビタテ生が一緒になり、海外視点とビジネス視点、両方から日本におけるフードダイバーシティの未来について議論を行いました。今回はそのイベント当日の様子をお伝えしたいと思います。
当日の内容
- オープニング・チェックイン
- 2名のゲストによるインプットセッション
- トビタテ生とK,D,C,,,メンバーの混合チームでディスカッション
- 過去にフードダイバーシティを感じた経験の共有
- なぜ日本でフードダイバーシティが浸透しないのか?海外との比較やビジネス視点からも深掘りする
- 日本でどのようにローカライズできるか?を考える
インプットセッション
〜登壇者紹介〜
- 岡根谷実里さん
世界の台所探検家。1989年、長野県生まれ。東京大学大学院工学系研究科修士修了後、クックパッド株式会社に勤務、その後独立。世界各地の家庭の台所を訪れて一緒に料理をし、料理を通して見える暮らしや社会の様子を発信している。クックパッドニュース、日経DUAL等で記事やレシピを連載中。また、全国の小中高校への出張授業も精力的に行なっている。訪問国/地域は60以上。
- 中小路葵さん
トビタテ3期・イタリア家庭料理研究家。東京大学卒業後、新卒でクックパッド海外事業部に勤務。その後、コンサル会社のグローバル戦略部にて日本企業の食の海外展開支援。現在はイタリアのボローニャ大学に留学中。複業でイタリア家庭料理研究家として活動。50カ国旅をして、それでもイタリアが好き。各地の家庭で料理を習う「#マンマを訪ねて3000里」挑戦中。モットーは「迷ったら前へ」
岡根谷さんからは、フードダイバーシティとは何か?、どのような種類があるのか?という基本知識に加えて、岡根谷さんならではの視点から各国のフードダイバーシティ事情を共有していただきました。世界の食事の制約のおもな理由は、宗教・菜食・健康(病気)であり、その中でも、菜食は、宗教/健康/動物愛護/環境など、複数の理由が入り混じっているそうです。また、宗教ごとの食事について、それぞれルールは定められていますが、「宗教的禁忌」は個人の信条によって幅があるため、一人一人の基準が違うということもおっしゃっていました。
中小路さんからは、海外のフードダイバーシティの事例として、イタリアにフォーカスした事例を紹介していただきました。イタリアにおける食文化の多様性や、イタリアに暮らす人たちがどのようにフードダイバーシティを実現しているかについて、中小路さんの専門である歴史も交えてじっくりお話ししていただきました。地中海に面し、小国の集まりだったイタリアだからこそ生まれたフードダイバーシティがあり、地域ごとに特色ある郷土料理に巡り会えるそうです。
ディスカッションセッション
トビタテ生とK,D,C,,,の方の混合チームとなり、日本のフードダイバーシティについて議論するディスカッションセッションでは、以下のトピックについて議論を行いました。
- フードダイバーシティに関する経験の共有
- 日本におけるフードダイバーシティの課題と解決方法
【課題】海外との比較や過去の経験、ビジネスの視点から掘り下げてみましょう。
【解決方法】フードダイバーシティを日本にローカライズさせた形で実践していくには?
今回は、トピック2の課題と解決方法について、ディスカッションの中で注目された意見を紹介していきます。
課題:なぜ日本にフードダイバーシティが浸透しないのか?
浸透しにくい理由について、大きく分けて「情報関係」、「意識・文化的背景」、「ビジネス関係」、「技術関係」の4パターンが挙がりました。
①情報関係
- 共通のマーク(ラベル)みたいなのがない。本当は、ビーガン・ベジタリアンみたいな商品が多い
- 認知度が低い。過渡期なのかもしれない
- ベジタリアンっぽいけど、肉を使っていないだけで動物性食材・調味料を使っている食品が多い。(作る側の知識不足か? ターゲットが少ないので美味しさを優先している可能性)
- ハラール認証団体が複数存在している。また、団体によってルールが異なる。
- ベジタリアンやビーガン等各嗜好をクリアーする為の条件を知るハードルが高い
- 商品流通の生産方法等の段階までを明記するのが手間(サイト等には明記されているが情報を追跡するのが大変)
②意識・文化的背景
-
- そもそも課題に思っていない→単一民族国家だったから
- 食事に対して一歩立ち止まって考えてみる感じがない
- ヨーロッパは環境や動物愛護に、オーストラリアでは健康に対する危機感がある
- 日本ではそういった競争意識や危機感が薄いのかも
- カテゴリー名があるからこそ、ゆとりが許容されない感じがする
③ビジネス関係
- 日本食品メーカーがわざわざ作らないのはベジタリアン&Vegan人口が日本では数%(ヨーロッパでは~10%)と需要が少ないから?
- 業界団体からの逆風強め
- 製品が対応しているか調査する事によるコストとメリットが釣り合っていない
④技術関係
- おいしくする技術開発・研究が足りてない
- 代替肉の販売などに関わる法整備が追いついてない(需要と声が増えていけば政府も動くかもしれない?)
解決方法:フードダイバーシティを日本にローカライズさせた形で実践していくには?
解決方法に関しては、大きく分けて4つのポイントで意見が挙がりました。
①情報開示
- 調味料等の食品を選択する際にどの様な事例に対応しているかを記載する
②認知・意識変革を促す
- ピクトグラム等を利用して理解へのハードルを下げる
- 文章にしてルールを明確化するのではなく、サービス利用者が自己主張しやすい雰囲気を作る
- コンソーシアムを立ち上げて民間で少しずつ浸透させる
- 知ることと受け入れること。留学・教育。海外の人と接する機会を創る。そもそもダイバーシティを話す上で食を切り口にするのもより良いかもしれない?(そもそもダイバーシティを必要としている人がいることが知られていない傾向)
③新しいイメージの提供
- 健康志向を推すと広まりやすいのでは(自分事で始めやすい)
- かっこいいに置き換えていく(海外の文化?とかを押しのけがち世代がいるのが事実)
- 美容、健康、環境のため、と目的・付加価値を提供した訴求で需要をUpすることで生産コストを下げる
④日本ならではの素材・食材
- 野菜の種類が豊富なので、加工品ではなく素材を楽しむような菜食の在り方
- 大豆からだしもとれる精進料理が一般にもカジュアルに食べられるように。(現在はお寺メイン、格式高いイメージ)
- 昔からあるものの価値を見出す(マクロビオティック)、日本の昔からのビーガンで美味しさを出していく
- 大豆製品は押せそう
食のチャレンジャーを支援する新大久保K,D,C,,,と高校生・大学生の海外チャレンジを支援するトビタテ留学Japan。両コミュニティのコラボにより、新たな価値創造を目指して今回のイベントが企画されました。新大久保K,D,C,,,ホームページ:https://kdc-foodlab.com/
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