第149回とまりぎインタビュー:斉藤舞さん【医療の届かない場所に笑顔を届ける】
2021.05.07
みなさん、こんにちは!トビタテ高校3期積千夏です。今日はカンボジアに国際ボランティアコースで留学していた斉藤舞さんの記事です。
目次
トビタテ!留学JAPANでの留学
斉藤舞さん
高校4期
国際ボランティア
自分の目で見て肌で感じたい
積)カンボジアに国際ボランティアコースで留学されていましたよね!どうしてカンボジアを選んだのですか?
斉藤)「医療の届かない場所に笑顔を届ける」をテーマに留学先を選びました!
カンボジアは40年くらい前の内戦の影響で多くの医師や知識人が大量に虐殺されてしまったため、医療が崩壊してしまった国なんですね。その現実を自分の目で見て肌で感じたかったというのが大きな理由です。
積)留学中はボランティア活動に参加されていたのですか?
斉藤)活動拠点は首都からフェリーで10分ほど離れた医師が1人もいない島でした。私たちはその島にある小学校へ出向き、健康診断や手洗い、歯磨きの大切さを教える活動をしました。子供達が衛生的に生活できる環境を整えることが私たちの役目だったので、健康診断の一環として、傷口の消毒や髪を梳かしてあげることもしました。
日本だったら、傷口は清潔にして普通に絆創膏を貼ると思うんですけど、現地ではそういう治療の概念や治療材料が一切ないので、傷口にハエがたかってしまっている環境でしたので衝撃は大きかったです。
積)それは衝撃的ですね。絆創膏もなくて、医師がいない中での活動だったんですね。
子供たちの健康チェック@村の小学校
訪問診療
斉藤)活動拠点の島には当然の如く医師はいませんでした。しかし、地域住民の方々に対して訪問診療をする際は、首都で活動している医師がコーディネーターとして同行してくれたので、一緒に地域を訪問して、血圧や血糖値を測って、お薬を処方しました。
積)小学校でのボランティア活動と訪問診療の活動もされていたんですね。
斉藤)そうです。プノンペンにある国立病院を見学したり、現地の医師にお話を聞いたり、カンボジアの伝統医療についても班員で学びました。
積)様々な活動をされていたんですね!カンボジアの伝統医療って初めて聞きました!気になります。
斉藤)クメール医療と呼ばれているんですけど、本当に医療体制が崩壊していた国なので、例えば、肺の疾患で咳き込んでしまう場合には、ベッドの下に火を焚いて体を温めることで治す、みたいなことが普通に行われていたそうです。でも、カンボジアの伝統医療って、私たちから見ると基本的に間違ったものが信じられていて、そのせいで余計に住民の方の具合が悪くなってしまったことがあるそうです。。
これからは新しい医療技術の導入や治療環境の整備、公衆衛生教育を村の隅々まで普及させていかなきゃいけないと強く感じました。
訪問診療で薬を渡している様子
医療過疎地域であるからこそ
積)現地での活動で心に残ったことはありますか?
斉藤)地域住民に対して訪問診療を行ったことが一番心に残っています。医師が全くいない地域だったので、首都の医師が訪問診療する以外には、医療とか健康について考える機会が全くないので、訪問診療や公衆衛生教育の重要性をとても感じました。
医療過疎地域であるからこそ、治療よりも予防の方が大切だなと感じました。絆創膏を貼らないとか、消毒をしないことで破傷風という恐ろしい病気にかかってしまう可能性もあるので、予防の大切さを身にしみて感じました。
そう言った意味では、現在世界中で蔓延している新型コロナウイルスにどう対処すべきか、先進国も、途上国も分け隔てなく対応に苦戦しています。特に途上国のような物資、医療衛生材料の乏しい国がそれらの脅威にどう対処するかの鍵は、日本では昔から当たり前にやっている「手洗いうがい」などの感染予防にあると思います。ひとは目的や成果がないとなかなか行動しません。まして新しい習慣や行為を定着させるには、公衆衛生に対する子供の頃からの教育がとても大切だと思います。
教育なくして病気の予防は難しいと強く感じました。
積)私が思っていた以上に医療が浸透していないことに、本当に驚きました。
斉藤)カンボジアの首都では医療体制が整ってきているとは思いますが、農村部とかそういう地域では、ボランティア同士が協力して埋め合わせていければいいなって思っています。
僻地に住んでいる方の健康を守りたい
積)現地での活動が今にも活かされているな、繋がっているなと思うことはありますか?
斉藤)今年大学に入学して、対面ではなくてオンライン上でしか人と会っていないということもあると思うんですけど、自分から動かないと、情報が入ってこないことをすごく実感しました。カンボジアで出会った仲間たちとの繋がりのおかげで新しい出会いもあって、世界中の医学生による非政府組織の団体IFMSA(国際医学生連盟)に参加することができました。また、先日のトビタテ同窓会で懐かしい同期と再会し、とまりぎ北信越のメンバーと繋げてもらい私もコアメンバーの一人として参加させていただくことになりました。オンラインではあるんですけども、今できることを勉強して将来に繋げられたらいいなって思っています!
積)IFMSA(国際医学生連盟)って初めて聞きました…!
斉藤)医学生の留学サポートやアジアやアフリカの医療支援などを行っている国際組織です。やっぱりカンボジアに留学したからこそ、途上国の医療への視野が広まったこともありますし、人との出会いが一番かなって思います。
積)人との出会いとか繋がりってすごく大事ですよね。とまりぎ北信越の参加もされると聞けてすごく嬉しいです(笑)エヴァンジェリスト活動とかもされましたか?
斉藤)帰国後に学校で留学報告会を開いて、そこに参加してくれた子たちがトビタテに興味を持ってくれて、トビタテ5期生として学校から4名出ました!
積)4名ってかなり多い!!すごい…!
斉藤)カンボジアに留学した人もいて、繋がっていくとすごく嬉しいですよね。
積)これからの目標はありますか?
斉藤)自分から様々な活動に興味を持って動いていこうと思っています。今は専門科目として医者を目指すための勉強をしています。留学で、公衆衛生学とか予防医学の大切さを実感しました。それは、日本の医療過疎地域においても言えることだと思うので、そこの勉強をしっかりして、医師になったらカンボジアでやったような訪問診療をして、僻地に住んでいる方たちの健康を守りたいなと思っています。
アンバサダー活動として、日本の書道文化でカンボジアの子供たちに笑顔を!
編集後記
医療過疎地域での訪問診療や、ボランティア活動を通して、現実を実際に見て肌で感じてきた斉藤さん。大学でのお勉強も応援しています。インタビューありがとうございました!
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