こんにちは!8期で事務局インターンの吉田梨乃です!
本日は「社会を変える人を育てる教育」をテーマにデンマークとマラウイ🇲🇼に留学された休場優希さん(多様性人材コース・8期)へのインタビューです!
マラウイのNGOでのインターン中に「月経貧困」を目の当たりにし、古着から生理用布ナプキンを作るプロジェクトを立ち上げた休場さん。
彼女が立ち上がった本当の理由は?
そもそもどうしてマラウイへ?留学後の進路は?
などなど、マラウイ留学の秘話に迫ります!

「生理用ナプキンが欲しい」の一言から始まった
さっそくだけど、どうしてマラウイへの留学を決心したの?
昔からあいのりという番組が好きで、ラブワゴンに乗って男女が愛を深めながら旅をする番組なんだけど、そこでアフリカ大陸を回る特集がされていて。そこで子供が貧困に置かれている現状も映されていたんだよね。もともと子供や教育に関心を持っていたこともあって、関心を持ったの。大学ではアフリカの地域開発ゼミに所属するほど、ずっと現地に行ってみたい!って思ったんだよね。
あいのり私も好き(笑)それで実際に自分の目で見てみたいと思ったんだね。
そうそう。行ったことないのに、学校だけでアフリカの未来について議論するのは机上の空論だと思ってね。特に貧困率が高いサブサハラ以南アフリカには、在学中に足を運びたいと思ったんだよね。
サブサハラ以南アフリカで、ユースエンパワーメントに取り組んでいる現地NGOに行きたくて、そこに当てはまる機関にはアプライしてたかな。その中でたまたまご縁があったのがマラウイで!

写真:現地で取り組んだユースエンパワーメント活動
教育と子供に関心があったから、それに関われるのがユースエンパワーメントだと思ってね!インターンすることが決まったNGOは、マラウイの女の子向けのプロジェクトに力を入れてたの。
女の子の地位向上をテーマに活動していて、NGOが週1回ガールズクラブを組織して、地域全体のエンパワーメントに取り組んでいたの。例えば、マラウイで学校の入学率は男女平等なんだけど、修了率になると女性の割合が低くなるの。女の子が学校が辞めることで、貧困の再生産や家庭内暴力などに繋がるし、大きな社会的損失なんだよね。

写真:ガールズクラブの様子
女の子のエンパワーメントは、社会的にも経済的にも大きな効果が生まれるのか。
そうそう!もちろん女の子自身の幸せにも繋がるしね。
なるほどね。でも女の子が学校を辞めてしまう原因には何があるの?
インタビューをしていた時に、女の子たちが「生理用ナプキンが欲しい」って口を揃えて言っていたんだよね。「学校に通う大切さは分かるけど、スカートに赤い染みがついてたら、学校から帰らせるしかない」って言っていた先生もいて…

写真:学校現場の様子
学校の大切さを理解していないのではなく、背景にはそんな理由があったんだ…
日本ではそんなことは全くと言っていいほどないから、すごくびっくりした。しかも大学で国際協力を勉強してると物資支援に対する批判も多く聞いてたし…実際に蓋を開けてみると、ナプキンの他にも教材や鉛筆も全然足りないんだよね。
学校建設のボランティアや、現地に寄付をすることなどは批判されることもあるよね。
そうそう。でも実際は劣悪な環境で勉強してる人も多いし、そこにニーズがあるのであれば、対策は施すべきだとも思ったな。
「月経貧困」という社会課題
現地の女の子のニーズはまさに「生理用ナプキン」が欲しいということだったんだよね。現地では手に入れづらいの?
彼女たちの主張には、実はマラウイの「月経貧困」という社会課題が現れているの。「月経貧困」とは、生理用品を買うお金がない、もしくは利用できる環境が整っていない状態のことを指すんだけど、日本ではあまり馴染みのないワードだと思う。
「生理用品を手に入れられない」ということさえ今まで考えたことがなかったな…
マラウイは人口の半分以上が
国際貧困ライン(1日1.9ドル)以下で暮らしている「世界最貧国」と呼ばれる場所の一つなんだよね。しかもNGOの活動地域は、首都から3時間も離れた農村で、その分貧困率も上がってくるの。気候変動の影響で、農民も安定した収入を得られていないし…そうすると生理用品はどうしても
”高級品”に成り上がってしまうんだよね。

写真:活動地域は首都から離れた農村部
なるほどね…「生理用品を利用できる環境が整っていない」ことも月経貧困の定義の1つって言っていたよね?
そうそう。金銭的な問題に加えて、物理的な問題も大きいね。まず農村であるが故に、生理用品がアクセスしにくいこと。手に入れるには、車で泥んこで凸凹の道を通ってやっと着く売店に行くしかないの。あとはゴミ収集システムが整ってないから、日本みたいに使い捨ての紙ナプキンは向いていないんだよね。
貧困、気候変動、インフラの未整備…それぞれの課題が月経貧困に繋がっていたんだね。でも女の子たちは生理用品がない中、何で代用していたの?
ニャンダと呼ばれるチテンジ(アフリカ布)を使っていたらしいの。でも安定性がなくてズレちゃったり、耐久性がなかったり、擦れて痒かったり…課題が多くあったんだよね。だから授業中は漏れないか心配で「スカートに染みが付くのが怖くて学校に行きたくない」って言ってたの。
でもそれが原因で学校を退学するまで?家族に話したりとかしないのかな?
生理について話すことがタブーな雰囲気があって家族と話す習慣はないみたい。授業では生理について取り上げるけど、それまでに月経が来たら事実を知らないまま退学する子も多くいて…
なるほどね…紙ナプキンを気兼ねなく使える社会は当たり前ではないんだね。
ビジネスコンテストでアイディアを実現
マラウイにいた時に古着で布ナプキンを作って、ボタンで羽を固定したり、痛みや痒み対策でコットンを使用したり、ポケットをつけて取り替え可能にする機能を付けたり…生理が理由で学校にいけない女の子達のためにアイディアが沢山思い浮かんだの。
でもインターンでの滞在中は、布ナプキンを作ることはできないまま帰国したんだよね…ただ2019年に
TICAD7(アフリカ開発会議)が横浜で開催されるにあたって
「アフリカと日本の課題解決ビジネスアイディアコンテスト」が行われてて。
自分の布ナプキンのアイディアで応募したら、なんとグランプリを頂いたの…!
副賞にはなんと、普通なら20万近くはするカタール航空のアフリカ往復チケットで….現地でアイディアを実現する機会を頂いたんだよね。本当にチケットが手元に届いた時には、急激なプレッシャーに襲われたけど…
うん!不安もあったけど「やらなきゃ」と決意してね。早速インターン先の職員に声をかけて、学校で女子児童向けにワークショップを開いたり、古着からの布ナプキンの作り方や手入れ方法をレクチャーしたの。


写真:ワークショップの様子
本当に実現させたのすごすぎる…実際にやってみてどんな効果が生まれた?
NGOの男性職員が特別関心を持ってくれて、彼が全部レクチャーを担当してくれたんだよね。女性職員の前でも恥ずかしがらずに、積極的に携わって頂いて…賛同してくれた人の影響で、私が帰ったあとも継続的な取り組みとして認めてもらえたの!国際協力は支援する側がいなくなることが理想だから、そのきっかけを私が与えることができたことはとても嬉しかったな。

写真:積極的に活動に賛同してくれた男性職員
現地の人を巻き込んで、なおかつ賛同してもらいながら持続的な形を作れるなんて…本当にすごいの言葉しか出てこない!
もちろん最初は縫い物に慣れてない中で、うまく行かなかったこともあったけど。今では関心を持ってくれた男性職員が、現地のテーラーさんを招いてワークショップをしたり、お母さんたちに協力してもらいながら進めてくれてるみたい!生理がタブー視されている空気感を変えて、課題を解決に少しでも近づけられたのなら、この上嬉しいことはないな。

写真:プロジェクトには多くの女子生徒が参加してくれた
休場さんがそのきっかけ作りに携われたことは、とても大きな成果だよね。留学やこのプロジェクトを通して、大変なことはなかった?
正直辛いことは沢山あったな…農村部のコミュニティにいただけに「外国人」として扱われたり、判断されることもあって信頼関係の構築には苦戦した。もちろん努力不足だけど、打ち解けるのはなかなか難しかったな。マラウイ人は“Warm Heart of Africa”と呼ばれるほど、人懐っこくで世話好きな性格で大好きだけどね!
私が国際協力に関わる意義
来春、大学を卒業して
JICA(国際協力機構)に就職予定!アフリカはもちろん、途上国支援自体にこれからも関わり続けたいし、「子供」「教育」そして留学を通して関心を持った「ジェンダー」には特別強い思いがあるな。
内定おめでとう!公的機関を選んだ理由やこだわりはあったの?
マラウイのNGOでインターンしていた時に「私がここで働く意義はなんだろう?」って自問自答していたんだよね。現地の人と信頼関係を構築する大変さだったり、100%やり切ったって自信も持てなかったし…中途半端に途上国支援に関わる自分を見ていて、すごくしんどかったんだよね。その答えをなかなか出せない自分もいたし。でも「日本人」という自分のアイデンティティを活かしてなら、言い訳せず責任を持って国際協力に携われると思ったの。

写真:成果を残すも葛藤も多かったマラウイ留学
現地でプロジェクトを実施したのはもちろんすごいことだけど、その分葛藤もあったんだね。国際協力に携わる姿勢から、強い使命感と責任感を感じるな。これからも応援しています!
編集後記
休場さんのインタビューはいかがでしたか?過去にもアフリカに留学したユニークなトビタテ生を特集したので要チェックです👀
こんな面白い人たちと繋がりたい!というトビタテ生はぜひ
トビタテ!アフリカ会へ!トビタテ生によるトビタテ生のためのアフリカコミュニティです。

次回のトビタテ!アフリカ留学特集は10月30日(金)公開です!
ゲストは、トビタテ史上初・アフリカの島国モーリシャス🇲🇺に留学したトビタテ生。
乞うご期待です!
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