第113回とまりぎインタビュー:一越悠太さん【スポーツで身近な人を幸せに、フィンランド×スポーツ留学】
2020.11.09
トビタテ事務局インターンの福永です!
社会人になったトビタテ生の皆さん、最近運動していますか???忙しいと中々運動をする時間を取れないと思いますが、文科省スポーツ庁によると、日本のスポーツ実施率は40%程度と先進国の中でも低い数値だそうです。。。(留学前平成27年度)
今回のインタビューでは、「スポーツをより多くの人に楽しんでもらうためには?」と疑問を抱き、スポーツに秘められた可能性を探るべくスポーツ実施率90%以上を誇るフィンランドに一年間留学し、現在は株式会社akeruで働く一越悠太さん(以下、いっちー)にインタビューをお願いしました!

1995年 新潟県上越市生まれ。両親の影響で幼少期から教育とスポーツに興味を持つ。現在の仕事は企業の教育研修資料作成、インターンコーディネーター、動画撮影及び編集と多岐にわたる。フィンランドと日本の二拠点生活のために行動中。
目次
スポーツ実施率90%を誇るスポーツ先進国フィンランド
福永:早速ですが、いっちーがフィンランドに留学をしようと思ったきっかけは?
いっちー:大学三年時に受けていたスポーツ学科の授業で偶然フィンランドのスポーツ実施率が90%と諸外国と比較しても高いことを知り、フィンランドに興味を持つようになったことが始まりです。
留学先を考える上で、有名なところに行くよりもマイノリティーなところに行って実際に学ぶことによって、自分が行かないとわからない生の感覚を実体験として理解できるという思いがあり、せっかく留学するなら「フィンランドに行こう!」と決断するに至りました。

ヘルシンキ大聖堂。観光に行ったら一度は訪れる観光スポット!!
福永:留学にスポーツを絡めようと思った理由は…?
いっちー:元々、幼少期の頃からスポーツとは深い関わりがあり、自分の人生を形成してきてくれたものでした。母が高校の体育教師で小さい頃から海に行って泳いだり、スキーに行ったりと、気づけばスポーツが身の回りにある生活で、自分もその環境に幸せを感じていました。
人生の多くの時間をスポーツに傾けていたのですが、その自分の感情とは正反対に学校の体育や部活に対して、周りの友人はあまりポジティブな気持ちを持っていないように見えました。体育の授業でスポーツをしていてもあんまり楽しそうじゃなかったり、部活でもみんなのノリに合わせてやっている様子を見たりしてきて、自分だけではなく、周りの人にもスポーツをもっと楽しんでもらいたいなと思うようになりました。
多角的にスポーツの学びを深める
福永:留学先ではどのような活動をしていましたか?
いっちー:留学先では主に3つの活動をしていました!
一つ目は学術的な側面からスポーツを学びつつ、地域住民と共にスポーツをすることでフィンランドの人々がスポーツをどのように捉え、関わっているかをリサーチしました。大学の授業でスポーツをしたり、地域のスポーツクラブや大学のクラブ活動に参加したり、かれこれ15種類ほどのスポーツを経験しました(笑)。

授業で、アイスホッケーをしているときの写真。
福永:15種類…!!! スポーツを楽しむフィンランドの人々に何か特徴などはありましたか?
いっちー:やらされている感があまりないと感じました。例えば、日本では半強制的に部活に入らなければいけないという風潮があるけど、フィンランドではそもそも部活というものがないので、スポーツをしたかったら地域のクラブチームに入ります。この時点で、「主体的に参加する」という意思表示をして自分からスポーツを行っているように感じました。
学校では必ずしも体育を受けなくても良くて、さらに授業の時に私服で来たり、裸足で来たりと、その人がやりやすいと思う形で授業に参加している様子も良い意味でカルチャーショックでした(笑)。
学校におけるスポーツの成績評価に関しても「自分がどのくらい出来たという自己評価と先生の評価」の2軸であり、他者比較の絶対評価ではなく、本人の成長度合いという相対評価を踏まえてスポーツの成績を評価していました。
福永:一つ目の活動内容がすでに濃いです…(笑)他の二つの活動はどのようなものでしたか?
いっちー:他には、小中高のスポーツの授業に行って、実際にどうやって体育でスポーツが教えられているのかを見学する活動と、大学では日本語の授業のサポートをする活動をしていました。学校で学ぶ日本語は、「今日は何を食べましたか?」のようないわゆる定型文のような日本語しか生徒に教えられていませんでした。語学は現地で活かせてこと意味があると思い、私たちが日常的に使っているリアルな会話を教えるように意識してサポートを行いましたね。

実際に、大学で講師として授業を開講したときの様子。
多くを求めず、ありのままでいるフィンランドの暮らし
福永:スポーツを軸に様々な経験を積んだいっちーですが、フィンランドでの生活はどうでしたか?
いっちー:フィンランドでの生活はすごく心地よかったですね!フィンランド人の生活スタイルとして「多くを求めない・ありのままでいる・着飾らないで受け入れる」というものが存在していて、仕事や生活、スポーツでも上昇志向を感じません。その代わり、「仕事も生活も自分らしく楽しむ!」みたいなスタイルがいいなと思いました。
福永:私もスウェーデン留学だったのでフィンランドの生活スタイルわかります…!北欧の暮らしって心地よいですよね!
いっちー:働き方も、日本だと「担当者がお休みでいないので別の者が対応します!」という感じですが、フィンランドだと郵便局に「OOさんいますか?」と電話しても「OOさんは長期休暇中なので連絡取れません!」と、潔く休みの期間は何があろうと連絡を取らないスタイルです。
またフィンランドでは、自然と共生するという感覚が生活に強かに反映されています。週末はコテージでのんびりと過ごしたり、買ったものを長く使ったりリサイクルしたり、使えそうなものをリサイクルストアで買うなど人々のエコ意識も高く、フィンランド人の人柄や文化を含めてフィンランドを好きになりました。

夏はきこり、冬はトナカイで生計を立てているひとの家で餌やり。
福永:フィンランドで洗礼を受けてきたいっちーですが、留学後はどのような道に進んだのでしょうか?
いっちー:就活は留学しながら頑張ろうと考えていたのですが全くせず(笑)2018年4月・5月も何もせず、6月に一回合同説明会に参加して一社だけ受けて…という感じですね。
僕、元々就活についてモヤモヤしていたんですよね。今社会で働いている人たちって、新卒で入って一生懸命頑張って成果を出すということが当たり前に見えているけれど、自分の生活をしている人が少なくて、スポーツを楽しんでいる人もいない。生きるために働くのではなく、働くために生きている。しかもその「働く」がなんだか楽しそうじゃない。みんなそうなってしまっているということは、自分も例にもれなくそうなるのでは??と考えるようになりました。
面接3~4回で自分のことなんてわからないし、自分らしい服装で来てくださいって言われているのにみんなスーツで来るし…
フィンランドに留学した時に仕事と生活のバランスなど人間らしい生き方がいいなと考えていたこともあり、もともと就活に対して不透明だったのが、明確にネガティブになりましたね(笑)それで、結局就活をストップしたので8ヶ月くらいフリーターの期間がありました。

6月のフィンランド。長い冬を超え、動物も人間も外でゆったり。
いっちー:まあ、フリーターといっても、アルバイトと中小企業の人事のインターンのダブルワークをしていたのでぷーと言いつつ、ちゃんと仕事っぽいことはしていたんですけどね(笑)
フリーター期間中は結局”働くこと”に偏ってしまいました。そんな中でやっぱり自分は企業で正規雇用として働くことは向いていないと感じました。仕事に熱量もない、上司に不満があるのに言わないなど、そんな中で働きたくないなあと(もちろん全員がそうというわけではないですが・・・)。フリーターの期間は働いているというよりは人生経験でしたね。
福永:現在は株式会社akeruで働いていますが、福井に導かれたきっかけは??
いっちー:友達が福井と石川の合宿を企画していて、僕は石川に住んでいるからということで企画を手伝っていました。その時にakeruから内定が出ていた邦子(とまりぎ北信越メンバー)に出会い、「イベントの運営が必要だから来てくれない」と誘われて「面白そう」と思って福井に行ったことがきっかけです。
そのイベントでakeruの代表の人と出逢い、「留学に行けずプー太郎になりました」「あんまりやることないのでワーホリで一年間くらいオーストラリアに行こうかなと思っています~~」と話したところ、「こいつ面白いやつだな」と思ってくれたのか2019年4月から月1で仕事をもらい福井に通うようになりました。

集合写真。各でしていることが違うからこそこの写真しかない。
そこから「よかったら一緒に働いてみない?」と2019年8月末に誘われて「面白そう、行きます」と(笑)
福永:akeruでの働き方について教えてください。
いっちー:ワークライフバランスめっちゃ整っています。そもそもakeruが「フリーランスを雇用する会社」みたいな感じなので出社義務もなく、労働時間も8時間と決まっているわけでは無いので、自分が働きたい時に働いていいよ、でも結果はしっかりと残してねというスタンスです。
みんなやっていることが別々で、それぞれが自分の強みを活かして仕事をするという個人のモチベーションやスキルに依存する働き方です。僕は夜型なので朝10:00くらいに起きて、夜9:00から遅い時は朝の3:00くらいまで仕事しています。
福永:これからどのような挑戦をする予定でしょうか。
いっちー:ゆくゆくはフィンランドと日本を行き来するなど、場所に縛られない生活をしたいですね!フィンランドに戻って大学院に通い、その後体育教師を何年間かやるのもありかなと思っています。今はスポーツの文脈で仕事をしていなのですが、最終的にはスポーツで身近な人を幸せにするような仕事をしたいなと思っています。
福永:スポーツで身近な人を幸せにする、素敵です!最後に、トビタテ生にメッセージをお願いします!
いっちー:困ったり、仕事や人生に疲れたりしたら、とりあえずフィンランド行ってこい!!!です(笑)実際にフィンランドでの経験を通して自分自身が変わったので。人生に疲れたらサウナに入って、湖に飛び込んでください♪

静寂に包まれ、何も考えず。ただ、“いる”ことで幸せを感じることができる。
福永:いっちーらしいメッセージありがとうございます(笑)ちなみに、人生に迷った時にはスウェーデンもオススメです。 いっちー、今日はインタビューを受けてくれてありがとうございました!
アクセス数
総閲覧数:
594910
今日の閲覧数:
120
昨日の閲覧数:
539
月別閲覧数:
12770
総訪問者数:
308586
今日の訪問者数:
72
昨日の訪問者数:
177