第160回とまりぎインタビュー:小沼拓生さん【塗り絵とドイツ留学】
2021.06.03
みなさん、こんにちは。トビタテ高校3期生の積千夏です。今日はドイツに留学していた小沼拓生さんのインタビュー記事です。
目次
トビタテ!留学JAPANでの留学
小沼拓生さん
高校3期
アカデミックショート
自分の生まれた国に留学
積)なぜドイツに留学したのですか?
小沼)なぜドイツなのかって言うと、僕はドイツ生まれなんです。6歳くらいまで住んでいて、当時はドイツ語を話していたのですが、日本に帰ってからもう何年も経ってドイツ語を忘れてしまったので、それを取り戻したかったんです。将来デザイン系の仕事に就きたいと思っていたので、留学先の語学学校の近くに、デザインの博物館があることを知って、工業デザインについても学びたいなと思い留学を決めました。
積)ドイツ生まれなんですね!自分の生まれた国に留学をしたというお話は初めて聞きます。現地では語学学校に通っていたんですか?
小沼)はい。そうです!2週間の留学で、宿舎に滞在しながら午前中は語学学校でドイツ語の授業を受けていました。午後はアクティビティがありました。
積)語学学校ということは、色々な国から来た学生がいたんですか?
小沼)そうですね。アメリカ人やスペイン人、将来ドイツで働きたいという目標を持った東ヨーロッパから来ていた学生も多かったです。アジア人はマイノリティで日本人は僕1人だけでした。
塗り絵
積)ずっとドイツ語が使える環境にいたんですね。デザインに関してはどんなことをしていたんですか?
小沼)日本人と外国人で、色使いや色の感覚の違うのではないか、と思っていたので塗り絵をしてもらいました。僕がドイツの保育園に通っていた時は、太陽を黄色で描いていました。でも日本の小学校に入学した時には、みんな赤色で太陽を描いていたんです。「あれ?不思議だな」と思いました。友達の絵を描くときも、僕には肌色という概念がなかったので、黄色で友達の肌を描いていました。それは少し問題になりましたが(笑)
積)黄色!?
小沼)そういう色の違いを自分でも感じていました。実際にドイツに行って、他の国から来ている人にも塗り絵をしてもらおうと思い、自分で塗り絵を書いて塗ってもらいました。
積)面白い企画ですね!やっぱり国によって色使いは違いましたか?
小沼)国によって色の使い方に違いがありましたね。日本をイメージした富士山と桜と着物の塗り絵をしてもらいました。富士山は、多くの日本人が青で塗ると思います。でも日本人ではない方にとって、山は地域によってイメージが違うので、真緑に塗る人もいれば、岩むき出しの茶色で塗る人もいる。そもそも、この山が富士山ということは山の形だけで伝わらないし、富士山を知らないことにショックを受けました。桜と女性が着物を着ている絵には、淡いピンク色で塗るとか、薄く塗ることも日本人の中ではあると思うんです。でも、現地の方は0か100かのような塗り方をするので、赤に近いピンクだったり、淡いという表現が使われていませんでした。その淡いという感覚は日本人独特なのかなと感じました。
塗り絵
積)全然知らなかった!現地で実際に塗り絵をしてもらわないとわからないことですね。現地で苦労したことはありましたか?
小沼)言語力が圧倒的に足りない。スポーツをする分には関係ないんです。でも、ボードゲームとかトランプをすることになると、遊びの中でも言語力が足りていないなと毎度痛感していました。他にも、日本で流行っているものと外国で流行っているものに時間差がありすぎて、その外国で流行っているものが、日本に入っていないことも多かったです。みんなが「知ってるよね!歌おうよ!」と言っていた音楽を知らなかったり、日本で流行っている音楽を紹介した時に「ダサいからやめて」とはっきり言われました(笑)日本人はストレートに「ダサい」とは言わないですし、そういう価値観の違いは少し苦労しましたね。
積)ストレートですね(笑)
ギャップを感じた
小沼)13、14歳くらいの現地の方とも仲が良かったのですが、政治の話をガンガンしてくるんです。「死刑制度はあるべきだと思うか?」ということを普通にハイキング中に急に聞いてくるんですよ。自分の拙い英語力では正確に話せないですし、普段から考えていないとすぐに答えられない。日本ではあまり政治について話さないのでそのギャップを感じました。アメリカ人じゃなくてもアメリカの政治に注目している。それは僕も反省しましたね。今は、SNSがあるのでテレビで放送されなくても、自分から情報を集めようと思っています。海外の事象に関して若者にも、もう少し関心を持って欲しいなとも思います。
積)留学が活かされているなと思うことはありますか?
小沼)まだ、直接的に活かしきれていないかなと思います。留学当時は将来デザイン系の仕事に就きたいと思っていましたが、今は医学部で勉強していてデザインとは遠い存在になってしまいました。ドイツ語も専攻していないので、直接活かされているとは言いにくいですが、将来は医者として海外、ドイツで勉強したり働きたいと考えている中で、高校生の時に留学してドイツを感じられたのはすごく大きいことだと思っています。ドイツに幼少期は住んでいて、その後も旅行で行って、高校生の時に留学でドイツに行けたことで、将来に繋がる線状の点が大きくなって、雰囲気はこんな感じかな、ということも少しは掴めたと感じています。文化を知って将来像が見えたという点で、活かされているなと思っています。
積)ドイツがとてもお好きなんですね!
小沼)大好きですね。ドイツは自分のアイデンティティだと思っています。外の世界を知っている、留学しているだけでも大きいです。フィールドはここだけじゃない。ここで上手く行かなくても外に出ればいいし。そういう点でも留学は活かされているなと思っていますね。
積)将来もまた、ドイツに行きたいなと思っているんですか?
小沼)大学中もドイツに行って、30歳になる頃にはドイツで働いていたいなと思っていますね。国籍は日本ですけど、ホームタウンはドイツなので、将来はドイツをメインに活動したいですね。
積)これからの目標はありますか?
小沼)将来はドイツで働きたいので、まずは医学部での勉強を頑張る。それと並行してドイツの勉強もしていくことですね。
現地での1枚
編集後記
ドイツがとてもお好きな気持ちが伝わってきました。「あれ?不思議だな」と思った小さい時の出来事を留学で塗り絵で解明されている感じが伝わってきました。将来ドイツでの活躍を楽しみにしています。
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