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第164回とまりぎインタビュー記事:阿部紗千さん【ネパールが教えてくれた想像を超えたセカイ】

2021.06.14

みなさん、こんにちは!トビタテ高校3期で事務局インターンの積千夏です。今日は医療ボランティアでネパールに留学していた阿部紗千さんの記事です。

トビタテ!留学JAPANでの留学

阿部紗千さん
高校3期
国際ボランティア

医療ボランティアができるネパールへ

積)留学したきっかけを教えてください!

阿部)発展途上国は先進国から支援されているにも関わらず発展が遅く、なぜだろうと不思議に思っていました。そこで現地に行ってみないとわからないこともあるだろうと思い留学を決めました。

積)なぜネパールを選んだのですか。 

阿部)医療ボランティアができる国が5つくらいと少なかったんです。その中でもインドと中国は最近発展しているけど、その間に挟まれているネパールだけ発展していなかったので、なぜだろう、と疑問に思ったのでネパールを選びました。

積)留学前から国際協力に興味があったんですね!

阿部)1つ上の先輩が、トビタテでカンボジアに留学していました。その先輩の事後報告を聞いて、こんな世界もあるんだと思ってトビタテに応募しました。

積)現地ではどんな活動をされていましたか。

阿部)毎日病院に行って見学していました。土日は街に行って買い物をしたり現地の生活を楽しんでいました。

七か国語話せるネパールのお医者さん

歯磨き指導

積)病院での活動がメインでしたか。 

阿部)そうですね、病院の見学をして現地の方のお話を聞きました。2つの小学校に行って子どもたちの口腔内を診て、虫歯がどれくらいあるのかとか、歯磨き指導もしました。

積)本格的な活動ですね。語学力が必要そう!

阿部)ネパールのお医者さんは英語が話せる方が多いので、英語で質問をしていました。子どもたちもみんな英語が流暢だったので、歯磨き指導でも英語で交流していました。私は、英語が話せなかったのですが、頑張って話さないと何もアクション起こせないので頑張りました。

積)印象に残っていることはありますか?

阿部)小学校の歯磨き指導で子どもたちの口腔内をチェックした時の、子どもたちの虫歯の多さにびっくりしちゃって。ネパールは感染症で亡くなる方も多いので、もしかして虫歯をなくせたら感染症で亡くなる方も減らせるのかなとも思いましたね。

積)虫歯って見てわかるくらい多かったのですか。

阿部)子どもたちの口腔内を見たときに「え、こんなに全部の歯が虫歯の子いる?」と思うくらいでした。虫歯でほとんどの乳歯が溶けているような子もいましたし、素人目で見ても虫歯だらけという印象でした。

積)え、そんなにひどかったんですね……。 

阿部)とてもひどかったです。歯に刺青でもしているのかってくらい黒かったです。

積)そういう子たちに向けて歯磨きの指導をしたんですね。

学校に歯磨き指導を行っているときの写真

折り紙を使って歯磨き指導

阿部)そうですね、小学校に全員分の歯ブラシを持って行って、「こういう風に歯磨きするんだよ」と教えました。折り紙でパックマンを作って、奥歯とか溝は歯ブラシで汚れを取りにくいから角度を変えて、こうやって歯を磨くんだよ、とか指導しました。 

積)みんな歯磨きしてくれましたか。

阿部)楽しんで歯磨きしてくれました。折り紙のパックマンにすごく興味を持ってくれて、楽しそうに歯磨きを学んでくれた印象がありますね。

積)日本文化の折り紙を組み合わせて、パックマンを使って教えるのはすごくいいアイデアですね。 

阿部)小学校に行く前日に、どうやって歯磨きを教えるのか英語でディスカッションをしていたときに、折り紙でパックマン作っていました。そのときに「それ、使えるじゃん」って言われて、折り紙のパックマンを使って教えることになりました。

積)現地での活動が今に繋がっているなと思うことや、活かされているなと思うことはありますか。

阿部)小学校の歯磨き指導に行かなかった限り、今通っている歯学部には行こうと思わなかったので、それが一番大きいかなと思いますね。ネパールに行って、貧困層の人は頑張ることもできない環境に置かれていることをとても痛感したので、私たちは恵まれている環境にいるので、頑張れる環境にいる限りはとにかく、勉強とか頑張らなきゃいけないなと感じました。

積)どんなときに、頑張ることもできない環境に置かれていることを痛感したのですか。

阿部)街を歩いているときに、5歳くらいの子に物乞いされました。私たちはその子が存在していないふりをしなさい、と言われて見えていないふりをしてても、その子がついてきていました。この子は教育も受けられないし、頑張ることもできない環境に置かれているから、頑張ることができる環境にいる私たちが色々勉強とか、医療とか提供しないといけないんだなと思いました。

積)そうだったんですね。私もマレーシアに留学していたときに物乞いされても無視しなきゃいけないよと教わっていましたし、その気持ちがよくわからります。辛いですよね。物乞いの子たちとよく会うことがあったのですか。

阿部)観光地で会うことは多かったです。路地裏からでてきて……みたいな。いつも辛いなと思っていました。

積)留学した内容と現在お勉強していることは繋がっているんですね。

阿部)そうですね、まだ歯学部の2年生で歯科のことはあまり勉強できず、基礎的なことばかりですが、この基礎が後の臨床に関わるのかなと思って勉強を頑張っています。 

積)留学前に自分の学びたい学問の分野は決まっていたのですか。

阿部)全く決まっていなくて、進路に迷っていました。自分の全然知らない世界に行ってみたら何か発見できるんじゃないかなと思って留学してみました。

学校に歯磨き指導を行っているときの写真

トビタテのおかげで

積)留学して自分のやりたいことを見つけたんですね!

阿部)トビタテのおかげで歯学部に進学できましたね。

積)今後の目標ややりたいことはありますか。

阿部)今の自分に足りていないことは、人を動かす能力だと思うんですね。サークルに所属していて、先輩から仕事を任されて大変なのですが、そのサークルで人を動かす能力を身につけられたらいいなと思いますね。学生からでも歯科のことを研究できるので3年生から歯科の研究をできたらいいなと思いますね。

積)研究は学生からできるんですね!どんなことを研究したいとかは決まっているんですか。

阿部)まだ決まってはいないですね。学生から研究するのだったら基礎の組織学とか微生物についてで、臨床的な歯周病学とかはあまり研究できないんです。だから、組織とか細胞の異常を見て研究できたら楽しいかな、と思っています。 

積)将来のやりたいことは決まっているのですか。 

阿部)大学の入学前は発展途上国で子どもたちに何かしたいと思っていたのですが、大学に入学してからは日本にも恵まれない人たちもたくさんいることを知りました。貧困地域とか、歯医者の少ない過疎地域とか日本で働きたいなという気持ちが強いです。

積)やっぱり医療過疎地域は多くあるのですかね。

阿部)過疎というよりも老人の方への訪問診療が少ないのかなと思っています。老人の方だと、歯医者に行くこともできないので、患者を待つのではなく歯医者が患者を迎えに行くというスタイルにしなきゃなと思っています。訪問診療は都会では行いやすいかもしれませんが田舎だと難しいかなと思っています。でも田舎で訪問診療ができたらいいなと思っています。

積)大学でも留学は考えていますか。学部的に留学する人が少なそうな私の勝手なイメージがありますが。

阿部)カリキュラム的にも難しいので、留学を考えている人は少ないかもしれません。3、4年生で台湾やスウェーデンの大学に行って先進的な歯科治療が学べるプログラムはあるので、台湾の大学に行って学びたいなと思っています。

積)そうなんですね!まだ大学2年生ならたくさん機会もあると思うので行けるといいですね!インタビューありがとうございました!

編集後記

貧困層の現状も知り、訪問診療に携わりたいというお話を聞いて、とても素敵だなと思いました。これからの活動も応援しています。

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