【SDGs特集 Vol.2(後編)】伊藤将人さん:地域 × SDGsの未来、地域に暮らす人々の幸福を追求する (第119回)
2021.01.11
こんにちは、トビタテ事務局インターンの福永です。
SDGs第二弾のテーマは「地域×SDGs」。今回は地方創生の研究者であり実践者でもあるトビタテ6期生の伊藤さんをゲストとしてお招きしています。
後編では、地方が持続可能であるためにどんな選択があるのか、人々の暮らしと地方の関係性についてお話し頂き、最後にトビタテ生に向けたメッセージを頂きました!
“縮小型”のサステナビリティーという選択
ー 福永:同じ地域・街の中にも異なる意見を持つ人々が存在し、多様な意見がありますよね。
伊藤:もう一つ大事なことは「縮小型のサステナビリティー 」を考えること。
日本全体で人口縮小しているのにも関わらず、自治体ではかつて日本の人口が増えていた頃に使われていた方法が今でも適用されている状態がしばしば見受けられます。移住者を増やすことに成功した地域もありますが、それは本当に一握りであって残り多くの自治体はもがき苦しんでいるのが現状です。
なので、これから大事になってくるのは人口が減っていくという前提の元、何かを「増やす」という考え方ではなくて、そこに暮らしている人の「幸福感や豊かさ」の質を追求していくことが大事なんじゃないかと思っています。総数が減る中で増やそうとするよりも、減ることを受け入れたうえで経済・社会・環境の三側面の質を高めることを目指したほうが楽になることもあります。

フィールドに出ていないときは文献とPCの画面と向かい合っています
ー 福永:コロナ渦において暮らしの質を追求する、見つめなおすという人は増えているように感じます。地域と都市の関わり方はどのように変化していくのでしょうか?
伊藤:21世紀のキーワードの一つは間違いなく僕らの生活を根本的に変え、拡張性を生み出した「Mobility」です。全国各地を新幹線が走り、どこでもインターネットが繋がることでテレワークができる。こうした一連の変化が広い意味でMobilityにつながっていく。

canva pro
新しいMobilityがどんどん地域と都市の関係も変えていくのではないでしょうか。ただしモビリティの拡張は必ずしも良いことだけとは限りません。それに伴う格差の拡大や機会の不平等も生まれているので、向き合わなければなりません。
ー 福永:伊藤さんのお話を聞いている中で、二拠点生活や多拠点生活を実践する人も増えてくるのではないかと感じました。
伊藤:二拠点生活はもっと広がっていくのではという見解もありますが、実際のところ地方移住は90年代以降なだらかに増えている、もしくは停滞しているのが現状です。

canva pro
最近の地方移住に関しての調査で「移住したいですか?移住を考えていますか?」という問いに対して5割くらいの人が「移住したいと考えている」と回答していますが、実はこの数値は70年代90年代に取った調査の回答とあまり変わっていません。
多くの人が「地方移住」について考えていても具体的に「地方移住」を考えている人は2%~ 5%くらいしかい現状の中で、この数パーセントの割合をいかに増やすのかという発想が促進する側には必要です。
ー 福永:私たち一人一人がSDGsの達成に向けて起こせるアクションにはどのようなものがあるのでしょうか?
伊藤:地方や地域に関していえば、一つは「観光客になる」ということがポイントだと思います。

canva pro
トビタテ生で海外に行くことは多いけど、自分が住んでいる都道府県を巡ったことないよねっていう人は多いのではないでしょうか。自分の住んでいるところから少し離れてみると全然知らなかった世界が広がっていたりするので、国内でも海外でも「観光客になってみる」ということをして欲しいです。
もう一つは、「身近なところから見直してみること」です。ある研究では結婚をしている日本人女性で「家事を自分だけでやっていると感じている人」は家庭での満足度が低いという結果が出ています。妻の家事労働時間、3時間30分。旦那さん12分。この現状を見直すことで人々のQOLは上がりますよね。

自らがファシリテーターや講師を務める講座を開催することも多い
ー 福永:身近なところにヒントがあるということを意識すると、日々の生活の中での気づきが増えそうですね!最後にトビタテ生にメッセージをお願いします。
伊藤:ぜひ「言葉を疑うこと」をしてみてください。インタビューの中でも話しましたが、自分が使っている言葉を「流行っている」から使っていたり、定義が曖昧なまま使ってしまっていたりする。そうすると、自分が思っている意味と相手が思っている意味が全く異なっていることや、ふんわりした言葉を使うことで自分自身の思考が止まってしまうということが起きてしまいます。
普段自分がなんとなく使っている言葉を見直して定義し直してみることが重要なのではないかと思います。

長野県知事と若者がディスカッションするイベントを行った際の写真
ー 福永:伊藤さん、本日はお忙しい中SDGs×地方についてお話を頂きありがとうございました!これからも伊藤さんのご活躍を応援しております。
■編集後記:インタビューを通して幼少期の経験から今に至るまでの活動には確固たる軸が存在しており、そして地域に対する伊藤さんの熱い「想い」を感じました。
研究者でありながらも実践者である伊藤さんが、これから地域でどのようなチャンスを見出しアクションを起こしていくのか。「深い洞察力と行動力を以ってして、若者の力で地域に明るい未来を築く事は出来る」、そう感じさせられるインタビューでした。
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