とまりぎ とまりぎ ートビタテ生の拠り所、トビタテ生の和を作るー

第133回:~はじめての留学特集 vol.1~「できないことはないと思った経験が今の原動力」片岡玲実奈さん

青山実央【事務局インターン,大学12期】

青山実央【事務局インターン,大学12期】

2021.03.22

「海外初チャレンジ枠」で留学したトビタテ生を取り上げて,留学の動機や留学中の話,そして,留学が与えた影響に関して紹介する「はじめての留学特集」。
第1回の記事では英語が苦手で全く話せなかったのにも関わらず,アメリカとラオスに六次産業について学びに留学した片岡玲実奈さん。ラオス語も英語も話せない彼女が留学にどうして興味を持ったのか,そして,なぜ玲実奈さんは就職という選択ではなく,自分でビジネスをするという選択をとったのか,それらに留学がどのような影響を与えたのかを聞きました。

【インタビュアー:青山実央(事務局インターン,大学生等コース12期)】

今回のトビタテ生紹介

名前:片岡玲実奈
トビタテの期・コース:大学9期・福山市地域人材コース
留学先:ラオス・ヴィエンチャン,アメリカ・カリフォルニア州サンディエゴ
留学テーマ:アジアとアメリカで学ぶ六次産業化ビジネス

福山市を拠点に学生団体の立ち上げ,イベント・期間限定の学生カフェの運営を行う。Start Up weekendの福山支部立ち上げにも関わる。トビタテ生の同窓会組織「とまりぎ」の中国地方支部のメンバー。2021年5月からは岡山県・笠岡諸島の地域おこし協力隊として活動予定。

*六次産業化:農産物を収穫・漁獲するだけではなく,加工し,流通・販売まで手がけることで農林水産業の経営体制強化を目指す経営手法のこと。

すべてがいやになったときに日本以外を見たいと思った

― 留学に興味を持ったきっかけはなんですか?

 ただ,日本以外を見たいと思ったんです。大学1年生のときにバイトを社会勉強のために始めて,最終的に5個くらい掛け持ちしました。結果,休みは0という状態が続いたんです。それが楽しかったけど,しんどかったんですよね。ちょうど同じ時期にいろいろあって「あーもう,人生終わらせようかな」と思ったことがあったんです。
 そのときにふと,やり残したことはなんだって考えたんです。そうしたら「私,日本しか住んだことない!」って思ったんです。だから,最初のきっかけは漠然と「世界を見たい」だったんですよね。

 

― そこから「トビタテ!留学JAPAN」を知ったきっかけはなんですか?

 大学の先生に留学行きたいということを話しました。そうしたら,たまたま3ヶ月後くらいに福山市のトビタテ9期地域人材コースの募集があったんです。当時は,自分の専門である生物工学の分野で留学を希望している人が自分しかいなかったので,先生も勧めてくれ,応募を決意しました。

 

― 六次産業化ビジネスに興味を持ったきっかけはなんですか?

 高校は農業高校の食品ビジネス科に通っていたので,自分たちで作物を育てて,加工するという経験をしていました。その経験の中で,分業化が進んでいるため,一次産業の生産者さんに正当なお金が渡らないということを知ったんです。当時,一次産業のものに新しい付加価値をつけるという六次産業が流行っていたということもあって,今まで私が学んできたことに繋がる六次産業化ビジネスでの留学に興味を持ちました。

 

言葉はできないけど,動ける

― アメリカではどんなことをしていたんですか?

 週3回,大学に通いながら,ワイナリー巡りをしていました。2軒目のワイナリーのオーナーと意気投合して,ワインの醸造とかも体験させてもらいました。他には,観光地を回って,アメリカ人がどういうものに興味を示すのか,どういう風にものを売っているのかということを実地調査していました。
 でも、全く英語できなかったんですよね。ホストファミリーに「How are you?」って聞かれて答えられないレベルに… …(笑)
 それでも話せないのは仕方ないなと考えた時に「足はあるし動ける!」と思って動き出しました。地域人材コースって国内インターンも一緒にやるんですけど,インターン先の方が旅行者向けに商品が売れないということも言っていたので,そういうことも学べたらいいなって。実際にアメリカで学んだことを伝えたら,「売れたよ」と連絡が来ました。

 

― ラオスではどんなことをしていたんですか?

 ラオス語の「ありがとう」と「こんにちは」だけ覚えてラオスに行ったんです。そこでは福山市出身で,ラム酒製造工場を経営している方がいたので,そこでラム酒を作っていました。
 アルコール製造の過程でその元となるサトウキビを,現地の人と一緒に取りに行くんです。そこで休憩時間とかにサトウキビを剝いてくれるんです。食べると甘くて,でも「甘い」っていうラオス語を知らないんです。だから,ジェスチャーで👍ってやると,ラオス語で「甘い」の言い方を教えてくれるんです。それで「これが甘いって単語か!」ってラオス語を勉強しながら,働いていました。

 

― アジアとアメリカでビジネスの仕方の違いを感じることはありましたか?

 日本とかアジア圏って商品からPRしていくことが多い気がします。お酒を売る時も「この商品は~」って商品の説明をたくさんしていくんです。
 でも,アメリカではちょっと違ったんです。アメリカで意気投合したワイナリーのオーナーはお客さんが来たら,まず「この畑はね~」から始まるんです。「土がこうで,畝の傾斜がこうで~」って説明していくんです。そして,「そんな畑でできたブドウがこれです」って。アメリカの商品の売り方はストーリーをたどっていくんです。なんかそれこそ六次産業だなって。

「日本語通じるじゃん!」と思ったら,怖いものがなくなった

― 留学してから,帰ってきて変わったことはありますか?

 まず,性格が変わったかな。積極的になりました。こんなに知らないことがあるんだと思いましたし,世界にほんとに70億人いるんだって感じるようになりました。そうしたら,自分の周りにいる100人ってほんとに少ないんだって。それに何でもチャレンジできるようになりました。「日本って日本語通じるじゃん!」って思ったら,怖いものがなくなりました。

 

― 自分でビジネスをしたいと思ったのはどうしてですか?

 最初はおもしろそう!っていうことからですかね。そこから,自分で何かを生み出すのが楽しいって思うようになりました。

 

― その感情はラオスで日本人の経営者の人を見たり,アメリカでワイナリーを周ったりした経験からですか?

 どっちかっていうとトビタテコミュニティの影響が大きいと思います。自分たちでいろいろやっているトビタテ生を見て,キラキラしていてすごいなと思ったのと同時に「待てよ。おんなじ人間だよね?じゃあ,自分にもできるかも!」って思ったんです。

 

― そういう考え方ができるようになったのは「なんでもチャレンジできる」と思った留学後の変化が影響しているんですか?

 そうかもしれないです。振り返ってよかったと思っていることは英語もラオス語も話せずに留学したことだと思っています。話せるようになって留学した方がもちろんいいけど,話せたら体験できないことがいっぱいあったんです。
 『話せない』とか『できない』状態で体当たりで学んでいく経験とか。できるようになってしまったら,もう二度と『できない』ことは体験できないんです。

 

― れみなさんの今後の展望は何ですか?

 私のVisionは「その人にとって豊かな生活が送れる環境を作る」ということです。

 ネットが普及している今,調べたらなんでも出てくるので情報格差はなくなりつつあるかもしれません。でも,地方ってそもそも情報にアクセスするきっかけや環境が少ないんですよ。選択肢があって選ばないのはいいんですけど,そもそも見える選択肢の量が少ないのは違うじゃないですか。これを変えたいんですよね。なので、きっかけがないなら作ればいいと思い、Startup Weekendの福山支部を立ち上げや,学生団体の結成,学生カフェをやっていました。

  5月からは岡山県の笠岡諸島の地域おこし協力隊として活動するんですけど,その中でも地域に根付いた活動を行っていこうと考えています。地方の子たちが情報を得られないという環境におかれているのと同時に都会の子も一歩踏み出せない子が多いように感じることが多いんです。それはその子たちが悪いんじゃなくて,それができる環境が少ないのがいけないと思うんです。だから,それを島で提供できる環境を作れたらいいなと思っています。

 

 

― 最後に留学を夢見る学生のみなさんへのメッセージをお願いします。

 やってみないとわかんないし,馬鹿にした人を見返してやる!みたいな気持ちでいるといいと思います。私はできないことってないと思うんですよね。やったことがないか,楽しめるか楽しめないか,上手か下手かなだけで。だから,目指すものがあるのであればどんどんやってみると良いと思います
 今のようなコロナ禍で行動に制限がかかる状況だったら,「なぜ海外に行きたいのか」っていう目的の部分に立ち返って,今できることを全力でやったらいいと思います。どうしても自分で解決できなかったら誰かに頼ってみてください。私でも構いません。一生に1回のあなたの人生なので全力で楽しんでください!

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