とまりぎ とまりぎ ートビタテ生の拠り所、トビタテ生の和を作るー


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【SDGs特集 Vol.5(前編)】野村涼平さん: デザインで“意見と問いを表出させ議論の拠点”をつくる、今デザイナーが”社会の持続化”のためにできること(第147回)

福永夏輝 【事務局インターン】

福永夏輝 【事務局インターン】

2021.04.05

事務局インターンの福永です。第5回SDGs特集のテーマは「サステナビリティー×デザイン」。

ここ最近「デザイン思考」「アート思考」「クリエイティブ思考」など様々な言葉を聞くようになりましたが、そもそもデザインとはなんであるのか、何を解決してくれるのか、そしてどのように私たちの生活シーンと関係しているのでしょうか。

今回は京都で持続可能性をテーマにデザイナーとして活躍しているトビタテ9期の野村涼平さんにお話を伺いました。

野村 涼平 デザイナー SEIKI DESIGN STUDIO 京都工芸繊維大学院建築学科卒 過去にスタンフォード大学、日本科学未来館、文部科学省、KYOTO Design Lab.などで作品を展示。2020年よりWorld Economic Forumの若手イニシアチブGlobal Shapersの一員として活動。

[ サステナブルデザイナーとして生きる ]

福永:本日はよろしくお願いします。トビタテ全期生Facebookグループでアロマのプロダクトデザインについての投稿を見てから 野村さんにお話を伺いたいと思っていたので今回のインタビューとても楽しみです。それでは早速ですが、簡単に自己紹介をお願いします。

野村:今回はこのような機会をありがとうございます。京都でデザイナーをしてます野村涼平です。普段はSEIKI DESIGN STUDIOというプロダクトデザインを中心としたスタジオでデザイナーをしながら、個人としても持続可能性をテーマに活動をしています。アロマランプのデザイン見てくださっていて嬉しいです(笑)

KONOHAー生活の中に自然を添えるアロマランプ。アルミニウムの熱伝導性を活かしたプロダクト。Wemakeコンペティションファイナリスト。

福永:トビタテの全期生グループで投稿を拝見した時とても心惹かれたことを覚えています!京都を拠点にデザイナーとして活動をしているとのことですが、野村さんの留学経験がどのように現在の活動に繋がっているのでしょうか?

野村:トビタテ留学では英国ロンドンを本拠地とする世界的なデザインコンサル”Pentagram Design London”のプロダクトデザインのチームでインターンとして半年間勤務しました。様々な領域のデザイナーが独立したチームをもって、コラボレーションしながら少し先の未来をどんどんつくっていく様子に魅了されながら、主に持続可能性をテーマにプロダクト、展覧会のデザインを担当していました。平日はデザインに、週末は美術館とギャラリー巡りに明け暮れていました。

Pentagramープロダクトデザイナー Jon Marshal(写真右から2番目)率いるデザインチーム。

[イシューを常に明確にする]

福永:幅広い領域のデザインを手がけている野村さんですが、ぜひ今まで取り組んできたデザインプロジェクトの中で代表的なプロジェクトを紹介して頂きたいです。

野村:では2つ紹介させてください。まず一つ目は2016年〜2017年に参加したスタンフォード大学発のデザイン思考を使った9ヶ月間のイノベーションプログラム「ME310/SUGAR」で水上セグウェイ”Wheeebo!”の共同開発をしました。

Wheeebo!ー水上セグウェイ”Wheeebo!”は重心移動で水上を移動できるモーター駆動のプロダクト。

福永:水上セグウェイ…!水上を走ることのできるアクティビティーとても気になります。

野村:「水辺のワクワクを創る」という漠然としたお題を元に、ゼロベースから製品とサービスのプロトタイプを作り出すというプロジェクトです。普通の製品開発に比べ非常にタイトな期間で取り組んだプロジェクトでした(笑)

僕の所属していた大学とオーストラリアの工業系の大学それぞれからグラフィック、建築、エンジニア、インタラクティブデザイナーと専門分野のそれぞれ違うメンバーでチームを組み課題に取り組みました。

ME310/SUGARーオーストラリアのスウィンバーン工科大のデザインとエンジニア専門の学生たちと協働

福永:プロジェクトの中で1つの成果に収束するの大変そうですね… !!どうやってまとめていったのでしょうか。

野村:プロジェクトを進める上で非常に複雑なプロセスになると思われがちですが、その逆で、極力シンプルで明確な試行の積み重ねでないとまとまらなかったことが印象的でした。

仮説を立てて、試作を作ってみて、ユーザーの方に使ってみてもらってそのフィードバックから改善を繰り返すという”試作(プロトタイプ)”を中心にしたプロセスで進めることによって“イシューを常に明確”にし続けました。揺れ動くプロセスのなかでもそうした根拠を持ったものが最終的な成果に繋がっていきました。

ME310/SUGARー専門領域、文化的なバックグラウンドの違いを乗り越えながらプロジェクトを進めた。

ここでの経験は僕が今やっているプロジェクトへの取り組み方にも繋がっています。プロダクトやサービスを作って確認してということをグルグル回し続けなければいけないし、その度にイシューをはっきりとさせて共有するということ、特に持続可能性のような“複雑で予測不可能なテーマ”を取り扱う上ではすごく大切です。

その後、プログラムのスポンサーであったヤンマー株式会社にプロジェクトが引き継がれて、量産に向けた製品開発に学生ながら1年ほど参画する機会を得ました。量産の目標を立てて、プロトタイプをつくってと進めていったのですが経験不足でとても難しかったです。ただ何もないところからでも小さいチームでここまでの距離が出せるということがわかったことは本当に貴重な体験でした。

福永:仮説を立て、検証し、プロダクトに落とし込む、ものづくりとは無縁の人生を送ってきたのですがとても興味深いです。

[意見と問いを表出させ議論の拠点をつくる]

野村:二つ目はMAN MADE DISASTERというプロジェクトです。

トビタテでのインターン中のプロジェクトの一つで、国際的に著名なデザイナーたちによって運営される環境団体”Do the  Green Thing”による、「気候変動」と「男女格差」の相関についてのエッセイ「MAN MADE DISASTER」をもとに、30組の女性/ノンバイナリーのアーティストの作品を一堂に集める展覧会を設計しました。

MAN MADE DISASTERーアート作品を通して複雑な社会問題について議論する展覧会。3日間という短い会期ながら900人近くの人々が訪れた。

ここでは一見相関のなさそうな2つの異なる社会問題の根本に現代社会の「家父長制度と毒された男性観」があるという複雑な論点について、「ファクトと批評性、ユーモアを持って複雑で不確実な問いに対峙する」「意見と問いを表出させ、議論の拠点をつくる」ということをゴミを極力出さないサステナブルな展覧会という方法でおこなうというチャレンジングなことをしています、現在の僕の活動の一部のきっかけとなった経験でもありました。

[ ゴミを出さない展示会 ]

福永:MAN MADE DISASTERプロジェクト激アツですね…!そこでの経験がどのように現在の活動に繋がっているのでしょうか?

野村:少しだけ3つ目のプロジェクトの紹介になってしまうのですが、京都に帰ってきてからKYOTOGRAPHIE(キョウトグラフィー)という京都の大きな国際写真展の中でKG+(ケージープラス)というサテライトの展覧会を京町屋の廃材をアップサイクルして設計する機会がありました。

現在京都ではオーバーツーリズムによる町家の減少という問題があって、この15年で全体の12%を超える町屋が解体されました。それは端的にいうと伝統的な街並みがコントロールの効かない状態で日々失われていっているということです。そしてそこからは毎日数トン単位で廃材が出でいます。

そこで、町家が解体されるときに出る廃材を集めてて、日本の昔からある伝統技術などを組み合わせながらプロダクトや家具群としてアップサイクルするということを試みています。

KODOー展示什器を町屋の廃材を加工して制作。釘の跡や割れなどをプロダクトの文脈としてそのまま活かし、出展者である高校生たちが捉えた写真を収めた。

福永:市場のニーズによって町家が簡単に壊されていくという問題点を見つけて廃材を家具や什器に変えていく、まさに野村さんのテーマである「サスティナブルデザイン」を体現していますね。

野村:解体された町屋の建材をプロダクトや家具として街にもう一度還元することで、問題提起につなげる狙いがあります。もちろんモノとしての美しさや使いやすさなどを突き詰めながらその背後の文脈をもデザインの一部にしようという試みです。

あともう1つ、今ちょうど取り組んでいるプロジェクトで、京都の九条湯というもともと銭湯だった場所で、ゴミを出さないアートマーケットをデザインしています。京都で古道具屋さんをやりながらデザインスタジオを主宰している「ものや」という二人組とコラボレーションし古い家具や道具を什器として用いて現代アートを展示して、そのあと借りたものを返すというリターナブルな展覧会となっています。このプロジェクトもゴミを出さずに展覧会をやるということに対しての1つの手法です。

ARTAOTAー舞台装置としての元銭湯空間と現代アートを結びつける中間的な要素として、古い家具や古道具を什器として挿入した。

福永:銭湯でアートというだけで画期的なのにごみも出さない…! 

野村:町のコミュニティーとして機能していた銭湯が日本全体でどんどんなくなっている中で、

こうしたプロジェクトを皮切りに、残された遺構としての銭湯空間をこれからの生活文化をつくっていくハブのような場所にしていきたいということを考えています。「持続可能性Xデザイン」というテーマに対していくつかの軸を持って活動をしていますが、ここでお話しした二つのプロジェクトではローカルな問題に振り切って取り組むことで僕自身の生活の中でいかに豊かで持続可能な都市生活文化というものがあり得るのだろうかということを思考実験しています。

▶︎野村さんインタビュー記事後編はこちら!

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