とまりぎ とまりぎ ートビタテ生の拠り所、トビタテ生の和を作るー


Warning: Invalid argument supplied for foreach() in /home/tomarigi/tobitate-net.com/public_html/wp-content/themes/tomarigi/single.php on line 7

【SDGs特集 Vol.5(後編)】野村涼平さん: デザインで“意見と問いを表出させ議論の拠点”をつくる、今デザイナーが”社会の持続化”のためにできること(第147回)

福永夏輝 【事務局インターン】

福永夏輝 【事務局インターン】

2021.05.05

福永:素朴な疑問なのですが、野村さんはなぜ”持続可能性”をテーマにデザインをしているのでしょうか。

野村:僕たちの生活文化の中で最も変化の必要性が大きくて、またその変化量の大きいテーマだからだと思います。そこであえてデザイナーという職種を選ぶ理由は、何かしらの感動をもって人の理解の構造に変化を生み出したり、変化を実際に起こすタッチポイントを自分なりの論理と感性を用いて突き詰めてつくることができたりする、そこに面白さを感じているからです。

ロンドンの工房にて展覧会のための什器製作をしている場面。展覧会後には分解され、コミュニティーガーデンの棚へと再利用された。

いろんな分野のデザインがある中で、例えばプロフェッショナルなレベルで建築のデザインをやりながら車のデザインをやることは難しいですが、現在変化の震源地となっている人間社会の持続可能化というテーマに立脚点を置いた上で知識や実践を積むことで、様々なデザインフィールドに関わることができるのではないかと思っています。

福永:確かに、持続可能性という切り口であればいろんな分野のデザインにアクセスすることができますね。これまで数多くのプロジェクトに取り組んできたと思うのですが、野村さんはどのような情報のインプットを意識し、どのように“ イシュー”を見つけるのでしょうか?

[声を上げている人にアクセスする」

野村:すごく大事な点だと思います。自分が見るものから何を問題と感じ取るかですよね。普段限られたエリア、行動、思考ではなかなか見えてこないものがたくさんあります。そうなるとまず問題を問題として認識できないことが起きてきます。

僕の場合は、京都に帰ってきて「社会の持続可能化をテーマに、京都でやれることをやろう」と決意してから自然にアンテナが京都に向きました。一方で京都の問題がどれだけ社会一般に共有されているのかというとすごく限定的かもしれません。しかし個別の問題は必ずどこかで社会全体の問題につながっていると思います。

僕は2020年8月から世界経済フォーラム(通称ダボス会議)の30歳未満の各分野の若手研究者や社会活動家の集うコミュニティである”Global Shapers”の大阪ハブに所属しています。そこでは20数名のメンバーとともに国際的な社会問題解決のためのアジェンダ設定や議論を生み出すための活動をしています。グローバルシェイパーズコミュニティーは世界各地にハブがあり「ローカルな問題にグローバルな視点を持って対峙する」ために年次ミーティングやオンラインセッションが数多く行われています。

グローバルシェイパーズコミュニティーGlobal Shapers Communityは、世界経済フォーラム により組織される、多様なハバックグラウンドする33歳以下の若者によるコミュニティ

世界各地から届く様々な社会問題のレポートについてシェイパーズ同士で議論していると、そこで上がってくる問題は普段京都で「あれ、これおかしいな」と感じるものと異なりますし、当事者が各テーマについて話してくれるのでディスカッションに参加する中で、僕が「こうだ」と思っていた認識とは別のものの見え方に変わる。

声を上げている人にアクセスするということが必要だなと思っています。そうした「窓」のような存在はこれまでも現在でも違う国籍の人だったり他分野の人だったりとの関係の中にあります。

福永:記事から得られる情報と現場から聞こえてくる生の声とでは受け取る情報の質が異なりますよね。

野村:例えば、京都の伝統的な街並みがどんどん失われているという社会問題についても、京都を実際に歩いてその空白を見ないとわからない。自分が受けた衝撃が最後までプロジェクトをやり遂げようという気持ちに繋がってきます。

街並みの変化はそこに住む人々が最も強く実感しながらも、その変化を主体的に議論し地域としてイニシアチブをとっていく体制はまだまだできていない。

持続可能性という課題は人類共通ですが、「持続可能」という粗い解像度のままでは「なぜ”自分”が持続可能なテーマについて取り組まなければいけないのか」ということは見えてきません。

なので、周りの人がどういうイシュー設定で、それに対して何をしているのかというところの情報収拾をするための窓を作っておく。そうすると自分がやっていることが最終的に世の中のためにどうなっているのかという仮説を立てることができ、勇気を持って活動を続けることができると思います。

Global Shapers Annual Sammitー2020年のグローバルシェイパーズ年次総会は5日間に亘って全てオンラインでおこなわれた。

[手近なチャンスをきちんと取る」

福永:普段からアンテナを張って情報収拾を行い、自分を省みる時の判断材料にするということですね。

野村:基本的に「面白いと思う瞬間」が大事だと思っています。例えば、「持続可能性について語ろう」という入り口だと「自分みたいなちっぽけな存在に何ができるんだろう…自分の言っていることは正しいのだろうか…」と考えてしまったりします。

なので「こうしたら面白いんじゃないか」「自分はこう思って今までやってきた」と個人的なセンセーションを持っているとマニアックにはまっていくことができます。

例えば、展示プロジェクトで使う廃材を探しに壊された町家で解体業者の人たちが休憩しているところに行って声をかけてみたのも自分なりの文脈を持っていたからこそ生まれた行動です。

ARTAOTAーアートマーケットイベントとしてのアイデンティティ、グラフィック、ウェブ等のデザイン、空間構成のディレクションなどを担当した。

福永:私は結構浅く広くなりがちなので、「ここだ!」と感じたらマニアックに突き詰めていくことを意識していきたいところです。

野村:自分なりの文脈がなければやろうと思わないですよね。デザインと聞くとスキルセットを想像される方が多いと思いますが、本来的にデザイナーとは「変化を志向する上での体系的な取り組みができる人」なはずです。

しかもそれが自律的にできることが大切だと思います。今世の中で一番変化が求められているのは社会の持続化についてであって、デザイナーはそれに対して体系的な変化を積極的に起こしていく役割を確実に担っているなと思います。僕自身自分なりの文脈の中でその精度をどうやって上げていくことができるか、日々トライし続けています。

KOZAIー町屋の廃材から写真フレームだけでなく、さまざまなプロダクトや家具のシリーズにしていくことに取り組んでいる。

福永:野村さんは自分が発見したイシューをどのように周りと共有するのでしょうか。またイシューからずれてしまった時にどのように軌道修正を行うのかお話を伺いたいです。

野村:僕はプロジェクトをつくる時、例えばGoogle slideなどに起承転結を書き出して、自分が取り組んでいることの文脈をもれなく明らかにしています。その資料をチーム内のコミュニケーションの土台にしてその内容を伝え続けていくことによってチーム内で生じる認識のズレを防いでいます。

そもそもの問題点や文脈の読み間違いに関しては、実際に現場で問題と直面している人と一緒に「どうしようも無い」と言っていても仕方がないので、立場や視点を変えて考えたり、自分ごと化したりしなかったりすることを使い分けることで対応するようにしています。

福永:ある事象について考える時にズームしたり遠くから眺めて考えてみたり、遠近感を持つことが重要なんですね。そしてきっと野村さんはそれを感覚でやってのけてしまう…素晴らしいです!笑

野村:いえいえ、レイヤーやスケールを自由に行き来して思考するということは特に身近にいるすごい方々から日々学んでいるところです。他にも最近僕が意識していることは、自分たちで設定した論点に対して「何ができるのか」と考える起業的なデザインのあり方と、既に欲しいと思う人に対してデザインを提供するというサービス業としてのあり方があって、その2つを行き来して組み合わせながらやるということです。

福永: めちゃくちゃ哲学的なお話…!そしてデザインの奥深さと可能性をひしひしと感じます。それでは最後に、トビタテ生へのメッセージをお願いします。

野村:個人で感覚的におかしいと思うことや違和感を個人のものとして終わらせることは勿体無いと思います。なぜならその人の個としての気づきは「個人の問題はみんなの問題」かもしれず、コミュニティー内での財産になり得るから。

自分の問題認識を大事にして、プロフェッショナルとしての踏み込みや表現をしていってほしいです。そうすることで自分の生きがいや価値にも繋がっていくと思います。。

あと、何かを始めようという時にいつでもモノを作れる環境、例えばスケッチブックやペンでも、はたまた3Dプリンターやパソコンに入っているソフトなど表現をするためのツールを身近に置いておくことは大切です。

SEIKI DESIGN STUDIOー普段多くの時間を過ごすSEIKI DESIGN STUDIOの環境。個人の領域を超えてさまざまなプロジェクトに取り組ませて頂いている。

「こういう問題に気がついたけど、どうやって表現しよう…」という時にすぐそばにツールがあればすぐに行動を起こすことができます。最初に湧き上がってきたエネルギーや違和感が薄れる前に行動ができたら良いのではないでしょうか。

福永:自分の中の違和感を大事にする、そして熱量のある状態でまずは手を動かしてみる。本日は貴重なお話、そして学びのあるストーリーの共有ありがとうございました!

▶︎野村さんインタビュー記事(前編)はこちら!

今後のイベント future event

もっと見る

アクセス数 Count per Day

  • 総閲覧数:

    372433

  • 今日の閲覧数:

    185

  • 昨日の閲覧数:

    212

  • 月別閲覧数:

    5587

  • 総訪問者数:

    195930

  • 今日の訪問者数:

    123

  • 昨日の訪問者数:

    128