第140回:ユニークな国留学特集~あなたは何しに○○へ?~第12弾 由井拓帆さん(後編)【世界を豊かにするビジネスマンに!】
2021.04.16
みなさんこんにちは!
大学4期でロシアに留学していたトビタテ事務局インターンの鈴木花穂です!
ユニークな国留学!という特集で 地図ではみたことあるけど。。。。
名前は聞いたことがあるけど。。。。
実は全然どんな国か知らない!!
といったようなユニークな国に留学をしたトビタテ生にスポットライトを当てて、その国の魅力や、トビタテ生の活躍をご紹介しています!
そんな特集の第12弾!今回のユニークな国は。。。。。
「インド」と「シンガポール」です!!
今回は、インドとシンガポールに留学した、大学4期の由井さんの記事の後編・インド編です!
*前編はこちら!
第140回:ユニークな国留学特集~あなたは何しに○○へ?~第12弾 由井拓帆さん(前編)【世界を豊かにするビジネスマンに!】
目次
民間でやれることには限界があるのでは?
鈴木)インドはどのような国でしたか?
由井)私が滞在したオリッサ州は、コルカタから300キロ離れたところでした。公共交通機関を利用してNGOまで辿り着くのに8時間掛かりました…
鈴木)そんなに遠くにあるんですね!
由井)そうなんです。更に、オリッサ州は、インドの中でも貧困層の割合が突出している地域でもあり(2000年初期、州別貧困率1位)、また、インドの多数派であるヒンドゥー教徒の割合が多い地域でもあります。
私はその地域を拠点に活動するローカルNGOで、アシスタントとしてインターンシップを行いました。
現地ではNGOの存在の大きさを感じました。貧困撲滅だけでなく、環境問題、農業支援、ジェンダー、教育問題など、あらゆる社会課題に取り組んでいたからです。
写真③Education Teamに声を掛けてもらい同行。草の根の取り組みは初めてでワクワクしながら参加したものの、現地語(オリヤ語)がわからず終始わらっているだけとなる(帰宅後、解説してもらいました)。
インターン先NGOメンバーとChild Rightsの啓蒙活動に参加
また、インターンの傍ら、独自に情報収集していた留学の目的でもある、BOPビジネスの難しさも見えてきました。基礎的なインフラが整わない地域での、社会性の高い事業、つまりBOPビジネスは障壁が多く、持続的なビジネスモデルの構築は非常に難しいと感じたからです。
例えば、将来の潜在的な顧客層を意識した、超低価格小パック石鹸の販売を通して、衛生問題解決を目指すビジネスモデルを見つけたのですが、その小パック石鹸を販売するキオスクの周りは石鹸のプラスチックの袋が散らかっていたんです…
そもそもインドの地方ではゴミの回収システムがないんですよね。にもかかわらず、プラスチック包装の小パック石鹸が入ってきてしまったんです。本来、公的機関がゴミ回収システムのような基礎インフラを整えて、初めて民間が進出できる環境が整うと思うのですが、民間が社会課題を解決するために行っている素敵な取り組みが、新たな社会課題をつくっている。これほど悲しいことはありません。NGOも、自身の予算でゴミ処理の対応は、限界があります。本来、公的セクターがやるべきですが、道路が舗装されていない状態などからも、オリッサ州の地方自治体の手が回っていないことは、想像に易かったです。
写真④近所に住んでる同世代の兄ちゃんとNGO職員。原付の後ろに乗せてもらって色んなとこに連れてってもらう。ベンガル湾まで連れてってもらったときは、暗いし、危ないし、顔に虫ぶつかったけど、今となってはいい思い出。
遊び相手のムナ(27)とボロドゥー(25)
写真⑤ゴミについて関心が高まって、ふといつもと違う目線でみると、ちょっとずつ溜まるゴミが目に入る。この地域にゴミ収集システムは未発達とのこと。衛生環境改善のための小分け石鹸の袋が、自然環境を悪化する皮肉な世界。
道端に溜まるゴミくずとそれを漁るヤギ
文化や伝統が原因で、才能が活かしきれない人が多い
鈴木)確かに大変ですね…由井さんは、インドの社会問題に携わって、現地最大の問題は何だと思いましたか?
由井)ジェンダーやカースト制など、文化や伝統が原因でその人の才能が活かしきれないことだと思いました。例えば、地方の伝統的な農村部のインド女性は家の外に出てくることは男性に比べると少なく、可能性が制限されているように見えました。因果関係があるかはわかりませんが、NGOの近所で、インドの女性が自殺未遂をして、救急車で運ばれていく現場に2回も遭遇しました。
鈴木)それは深刻ですね…
一方で、何が正しいかは宗教や文化によって異なると思います。例えば、宗教的な職業や役割が性別ごとに決まっているようなことがあると思います。
由井さんはこういったことに対してどう思われますか?
由井)なかなか難しい問いですが、特定のスポーツや宗教のそういった特徴は文化として認めた上で話せます。一人一人の安全や尊厳が保たれている前提で、志向や能力が阻害されず、活かせる社会であって欲しいと思います。そして、そういう人がいたら周りが応援できるような社会が正しいあるべき姿であり、文化はその上で成り立つべきだと感じます。
国際協力の第一線で、経験を最大限に活かす
鈴木)帰国後はどのような活動をされているのですか?
由井)就職活動と同時に、トビタテについて広めるエバンジェリスト活動を行いました。ポスタージャック活動なんかもやりましたね。
また、同じ年に内閣府事業「世界青年の船」に参加しました。多国籍の人達との国際交流を通じて、留学で身に着けた自分の力を試そうと考えたからです。「世界青年の船」では、プロジェクトの企画立案から実行まで経験する機会もあり、自己鍛錬の機会としたいという気持ちもありました。
鈴木)帰国後も精力的に色々な活動をされたんですね!
現在でも留学での経験が活きていると感じるのはどのような場面ですか?
由井)JICAに就職してから役に立っていると感じます。JICAはODAを実施する政府系開発援助機関で、資金援助や技術支援、ボランティアの派遣などを通じて途上国の支援を行っています。例えば、インフラでいうとカンボジアのメコン川に架かる大きな橋の建設をしたり、といったことをしています。政府系機関という特徴を活かして、相手国政府に対してアプローチするチャンスもあります。
トビタテ活動中には、民間の限界も感じましたが、今では、その経験が国際協力にどのように民間を巻き込むか考える上で、とても役に立っています。
ソーシャルセクターの重要性はぶれていない
鈴木)国際協力の第一線で活躍されているのですね!留学の経験を活かした上での将来の目標は何ですか?
由井)留学前から抱いていた社会課題をビジネスで解決したいという思いや「利益がでるからこそ続けたい」といったインセンティブの重要性に対する思いは相変わらず抱いています。ですが、留学を通して、環境問題やインフラ整備、ジェンダー問題などの社会課題に対する、公的セクターの支援の重要性に対する感じ方は大きく変わっています。今は、地域にこだわらずに、公的セクターの立場から、民間との協働による社会課題解決に関わっていきたいと考え、日々働いています。
トビタテ生には、 ソーシャルビジネス界隈で活躍している人が多く、いつかコラボ出来る日が来たらいいな、と考えております。
編集後記
由井さんのお話からは、はっきりとした目標が伝わってきました。
インドでの経験についてのお話は、非常に貴重でした。伝統と文化の折り合いについては、私としても非常に関心のあるテーマでした。
今後も由井さんのご活躍を応援致します!
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