第145回:ユニークな国留学特集~あなたは何しに○○へ?~第15弾 橋新功一さん【サッカーを通じた国際開発】
2021.04.24
みなさんこんにちは!
大学4期でロシアに留学していたトビタテ事務局インターンの鈴木花穂です!
ユニークな国留学!という特集で
地図ではみたことあるけど。。。。
名前は聞いたことがあるけど。。。。
実は全然どんな国か知らない!!といったようなユニークな国に留学をしたトビタテ生にスポットライトを当てて、その国の魅力や、トビタテ生の活躍をご紹介していきたいと思います!
そんな特集の第15弾!今回のユニークな国は。。。。。
「インド」です!!
インドは、2回目の紹介になります。
今回は、インドで留学した大学9期の橋新さんにインタビューしてみました!
トビタテ!留学JAPANでの留学
橋新功一(はししんこういち)さん
大学9期多様性人材コース
テーマ:サッカーを通じた国際開発
目次
「ホームレス・ワールドカップ」を知って
鈴木)インドでサッカーを通じた国際開発をしようと思ったきっかけを教えてください!
橋新)私の専門は、「スポーツ社会学」といって、スポーツが人の内面あるいは社会にどのような影響を与えるかについて研究する学問です。スポーツを通じた国際開発ということで、フィリピンでも活動したり、イベントやセミナーにも出席したりしていました。
2015年に東京で開催された、スポーツ国際開発・国際シンポジウムでスコットランドからメル・ヤングさんという方が登壇していました。彼は、「ホームレス・ワールドカップ」という、ホームレス状態の人が自分自身の人生を変えるためのサッカーの世界大会があるというお話をしていました。その際に、自分のやってきたサッカーが、単に「競技」という側面だけでなく、社会的に立場が弱い人のために有効で、人生を変える一助になるということを知り、衝撃を受けました。実際に、参加した選手の94パーセントが家や仕事を得たり、薬物依存や精神疾患から抜け出せたりして、人生がポジティブな方向に向かったそうです。
鈴木)それはすごいですね!絶大な効果があるんですね!
橋新)これをきっかけに私は「ホームレス・ワールドカップ」を知り、興味を持ちました。
2016年にノルウェーのオスロで「ホームレス・ワールドカップ」が開催された時には、クラウドファンディングを立ち上げて現地を視察し、参加国の代表スタッフにインタビューしました。インドのNGO「スラムサッカー」の代表にインタビューすると、ジェンダーや健康、公衆衛生、民族・宗教間の対立、基礎教育など、活動内容が幅広いことが分かりました。サッカーを通じて社会課題にアプローチすることを考えていましたが、これだけ多くの課題にアプローチしている団体は世界的に稀でここなら学べることも多いと思ってインタビュー中にインターンを申し出ました。
活動を通じて見えた格差
鈴木)すごく行動力がありますね!
現地ではどのような活動をされたのですか?
橋新)コーチとして、2018年メキシコシティ大会、2019年カーディフ大会のインド代表選抜と派遣に関わりました。
写真①ホームレス・ワールドカップ2019 in Cardiffインド代表ゴールキーパーのセレクション時。インドの全国大会を経て、大会優秀選手に選ばれ集結した選手たちを指導/選抜している様子。
活動中には、インドの格差を目にすることもありました。
スラム街では、建物がブルーシートに覆われているのをよく見ました。薬物が蔓延していて、環境が劣悪でした。かろうじて食べるものはありますが、現金はなく、みんな医療にアクセスすることができませんでした。私は、スラム街の子供たちを呼んでサッカーをしてもらいました。人と繋がることで疎外感がなくなり、コミュニティに対する意識を持つことができるからです。サッカーでは、球を蹴る技術を磨くだけでなく、一秒単位で課題が発生するので、課題解決能力をつけることもできます。
写真②インド・マハラーシュトラ州ナーグプルにあるインターン先のグラウンドにて、周辺のスラム地域に住む子供たちを指導している様子。
インターン先のグラウンドにて
一方で、富裕層向けに夏の時期には、毎朝6時から富裕層の子供向けの競技力向上にフォーカスしたサマーキャンプを有償で開催しました。
誰もが自分の可能性を発揮できるように
鈴木)帰国後はどのような活動をされているのですか?
橋新)帰国直後は、ホームレス・ワールドカップ インド代表「スラムサッカー」を事例
として、「競技スポーツの実践は開発途上国に住む青少年の自律に寄与し得るか」
をテーマに、『スポーツに内在する「競技性」は貧困下にある青少年の自律に寄与し得る』という仮説を立てて卒業論文を執筆しました。
写真③ホームレス・ワールドカップ2019 in Cardiffインド代表集合との写真。男子は24位、女子は7位で大会を終えた。
鈴木)トビタテでの活動を元に、論文を書かれたのですね!どのような結論になりましたか?
橋新)因子が様々で、それによって結果が異なりますし、一概にいえないところはありますが、『スポーツに内在する「競技性」は貧困下にある青少年の自律に寄与する』という結論になり、仮説が実証されました。
鈴木)仮説通りだったんですね!
現在はどのような活動をされていますか?
橋新)仕事の一例ですが、トビタテで知り合ったラクロス選手の友人が2028年のロサンゼルス五輪で金メダルを取ろうとアメリカで挑戦していて、そのサポートをしています。元々は”社会的弱者”を支援することに関心があったのですが、現地での富裕層向けの子供のサマースクールを通じて、”弱者”でなくても頑張っている人に対するサポートにも関心が広がったからです。サマースクールに来ていた子たちは、スラム街の子たちに比べると生活環境の豊かさは遥かに上ですが、そういう子たちも同じように頑張っています。以前の自分なら、この友人は日本人だし、発展途上国にいる子とは持ってるリソースが違うからサポートは必要ないんじゃないか。。。と思っていたでしょう。
自分も含めて、それぞれが自分のポテンシャルを最大限に発揮して、幸福感を感じることができるようになったらいいですよね。
編集後記
橋新さんのお話や経験からは、行動力があることが伝わってきました。
ホームレス状態の人が、自らの人生を変えるためのサッカーの大会があるというお話は、目からウロコでした。
今後も橋新さんのご活躍を応援いたします!
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