とまりぎ とまりぎ ートビタテ生の拠り所、トビタテ生の和を作るー

第151回:~はじめての留学特集 vol.5~ 「アフリカ留学が私の人生を変えた」夏目佳奈さん

青山実央【事務局インターン,大学12期】

青山実央【事務局インターン,大学12期】

2021.05.11

 

「海外初チャレンジ枠」で留学したトビタテ生を取り上げて,留学の動機や留学中の話,そして,留学が与えた影響に関して紹介する「はじめての留学特集」。
 第5回の今回は香川県の農業の発展を助けたいという思いを持った夏目佳奈さん。夏目さんがケニアで見た青空市場で感じた香川県との共通点,そして,ケニアの農業を見て芽生えた新たな思いを聞きました。
【インタビュアー:青山実央(事務局インターン,大学生コース12期】

 

今回のトビタテ生紹介

名前:夏目佳奈
トビタテの期・コース:大学11期・香川県地域人材コース
留学先:ケニア・ブシア郡
留学テーマ:香川県産オリジナル品種開発の振興を目指して

留学前からトビタテの同窓会組織とまりぎの四国支部に所属する。留学後の2020年度は四国支部の副代表を務める。香川県オリジナル品種の農産物おいしさに魅了され,香川県の農業に貢献したいとの思いでトビタテ留学を決意。現在は衛生資材メーカーの研究開発職に就いている。

 

自分の専門性を活かした留学をしたい!

― 留学しようと思ったきっかけは何ですか?

 トビタテで留学する前にも何回か大学のプログラムで留学していたんですが、その時は大学が準備したプログラムに沿って動くものだったんです。インドネシアに行ったときは地域課題について考えたり,オーストラリアに行ったときは海外で働くためのスキルを考えたりするプログラムでした。そんな海外経験から,海外の人と話すのって刺激的で楽しいなと思ったのと同時に,本当に海外で働くんだったら,自分の専門性を極めないとだめだなとオーストラリアのプログラムに参加して思ったんです。
 なので,「自分の専門性を活かした留学をしたい」思って,また留学を決意しました。

 

― トビタテで留学しようと思ったきっかけは何ですか?

 大学に先輩トビタテ生が何人もいたんです。その方たちから話を聞いて,テーマが自由に組めるところとかが面白そうな奨学金だなと思ったのが最初です。そこから,給付型の奨学金であることや,トビタテのコミュニティに魅力を感じて,応募を決意しました。
 トビタテの地域人材コースを選んだ理由は,留学と同時に地域のことを考えられるのは,自分の将来にとってプラスになる経験だなと思ったし,それは地域人材コースでしかできないことだなと思ったからです。

 

― ケニアを選んだきっかけは何ですか?

 研究室を決める段階から,「留学生がいる研究室に入ろう!」と決めていました。それでケニアからの留学生が所属していた研究室を選びました。その人と結構仲良くなったんです。その人は間もなくケニアに帰ってしまったんですけど。そのあとに私が指導教員の方に留学行きたいという話をしたら,留学生がもともと所属していた機関を勧めてもらったんです。
 もともとアフリカに行きたいっていうわけではなかったんです。タイとかを候補地に考えていました。でも,アフリカに行く機会ってそんなにないし,私のやりたいことはケニアでもできたのでケニアにしました。行きたい国に行くというよりかは「研究を深める」という意味での留学で、研究室とやっていることが近いということもあって留学先が決まりました。

 

― 夏目さんはどんな研究をしていたんですか?

 ダイズに代表されるマメ科植物について研究を行っています。マメ科植物は,土壌中の菌と共生することによって,生長に必要な窒素分を共生菌から獲得できるので,化学肥料に頼らない農業への応用が期待されています。

 

香川県の農業の助けになりたい

― どんなテーマで留学していたんですか?

 私の留学のテーマが「香川県産オリジナル品種開発の振興を目指して」というものなんです。私は大学進学を機に香川県に引っ越してきて,香川県産の野菜を扱っている飲食店でアルバイトをしているうちに「香川県ってこんなにたくさんの種類の野菜を育ててるんだ!」って知ったんです。特に,「さぬきのめざめ」っていう香川県オリジナル品種のアスパラガスがすごくおいしくて,「香川県にはこんなにおいしい野菜があるんだ!」感動しました。
 「こんなにおいしい野菜を作っている香川県の農業をもっと盛り上げたい!」という思いから,新しい野菜の品種開発ということと,私の専門である土壌にある菌の中で野菜の成長にとっていい菌を見つけることを目的に留学していました。

 

― ケニアではどんなことをしていたんですか?

 ブシア郡の農業課というところに受け入れてもらっていました。そこでは,現地の農業を体感さることを目的に,オフィスのインターン生に香川県の農業について紹介し,ディスカッションを行ったり,ミーティングに同行したりしました。また地域の農家さんのところへ連れって行ってもらって実際の畑を見たり,植物を頂いたりしました。
 ケニアには,日本で食べるような野菜の他にケニア独自の野菜がたくさんあるんですよ。その野菜は普通に雑草みたいに生えてて,現地の方に「これが野菜だよ!」って見せられた時に,「え!草じゃん!」って思いました。(笑)そういうのが束になっていっぱい売っているんですよ。それを茹でて,塩で味付けして食べるみたいなんです。
 そんなローカル野菜を売っている青空市場みたいなものも見に行きました。ローカル野菜がどんな風に売られていて,どんな人が買っていくのかっていうのも観察していました。実際にローカル野菜の調理方法を教えてもらって,自分で作ってみたりもしました。

 

― そこから,香川県の農業に活かせる体験はありましたか?

 みんなに食べてもらう野菜にするんだったら,手間がかからないことが大切だなと感じました。青空市場で束になっている野菜を買ってきて,調理をしたんです。でも,私にとっては束になっているものから,葉を取る作業が大変でした。その作業だけで2時間かかりました。そんなに手間だと,どんなにおいしい野菜でも,食べたいって思ってくれる人が減っちゃうんじゃないかなと思いました。売るときに食べやすいようにしておくことも大事ですね。

 

― 香川県とケニアの共通点はありましたか?

 野菜を売るときに人との対話を大事にしているところですかね。ケニアの青空市場でも,野菜はたくさん売れていて,特に,野菜を売っている人との対話を通して,野菜を買うということが多かったように感じます。
 留学後のインターンで八百屋に行ったんですよ。その八百屋はスーパーの前にあるのにとても野菜が売れるんですよ。そこの魅力は野菜ソムリエの方から,野菜の知識とか野菜のおいしい調理方法とかを教えてもらえることなんです。
 スーパーにはない「売っている人と話ができる」ことがの共通点であり,魅力的な点だと感じました。

 

― 夏目さんの専門分野である菌に関する活動はどんなことをしましたか?

 私の専門はマメ科植物なので,現地のダイズに共生している菌を知りたいなと思っていました。でも,渡航した時期が悪くてダイズの収穫時期が終わってしまっていたんです。貰えたとしても,品種のわからない豆だったので調査に使えませんでした。なので、サトウキビのサンプルをもらうことにしました。

 

― どうしてサトウキビなんですか?

 香川県に,「和三盆」っていうお菓子があるんです。そのお菓子はサトウキビから作られるんです。でも,サトウキビだったらなんでもいいわけではなくて,香川県で作っているサトウキビじゃないと和三盆の独特の甘さが生み出せないみたいなんですよ。
 もともと,香川県産のサトウキビの根の菌に関する研究もしていたので,香川県産のサトウキビの根の菌とケニア産のサトウキビの根の菌は何が違うのかというのを調べてみようと思いました。
 ケニアの大手の製糖会社3社に行って,サトウキビを譲渡して頂きました。留学期間が短期間でかつ研究設備の関係で現地で解析は行えなかったので,帰国後研究室で解析を行うために植物検疫の手続きを踏んで持ち帰ってきました。
 実はサトウキビってケニアの主要な商業用作物なんですよ。すごく広い畑いっぱいにサトウキビが広がっていて,大きなトラックで運んでいるんですよ。私はケニアに行くまで、そんなにケニアでサトウキビが栽培されているなんて知らなかったので,驚きでした。

 

― ケニアで印象的な出来事はありましたか?

 自分のいたブシア郡には敬虔なクリスチャンが多いんですよ。日曜日にはお祈りに教会に行きました。それもちゃんとしたドレスみたいなものを着て。なので,現地の人に「どうしてあなたはキリスト教じゃないの?」とかよく聞かれました。帰国前に教会を訪問したら,教会の牧師が安全に帰れるようにとお祈りしてくれました。すごく,スピリチュアルな気持ちになりましたね。日本ではあまり宗教の話とかしないので印象的でした。
 あとはアンバサダー活動の一環で香川県のしょうゆ豆とおいりを持っていたんです。そうしたら,とてもおいしく食べてくれました。しょうゆ豆は箸で食べてもらったんです。頑張って食べてくれて,おいしいって喜んでくれました。おいりはカラフルでかわいいお菓子だったので子どもがとても喜んでくれました。カラフルなお菓子はやっぱり人気なんですね。全部子どもが食べてしまって「お父さんに食べさせてあげないとダメじゃん!」って。(笑)あとは,お米も持って行ったので,現地の調理器具を使ってお米を炊きました。帰国する前に「ありがとう!」っておにぎりを作ってみんなに配りました。

*しょうゆ豆:煎ったそら豆をしょうゆ・砂糖などで作ったたれで煮込んで味付けをした香川県の郷土料理
*おいり:香川県西部で昔から,花嫁が結婚式に出席する人,ご近所,友人,知人に配るお菓子のこと。もち米から作られており,ピンク・赤・黄・緑・白・紫・青の七色がカラフルで可愛らしく,おいりがきれいだとお嫁さんも美しいといわれている。

 

アフリカに留学していなかったら,選んでいなかった道

― 留学に行ってよかったなと思うことはありますか?

 現地の人と直接触れ合える経験ができたということがよかったなと思っています。留学に行く前は,「アフリカは貧しい」みたいなイメージがあったんですけど、私が関わった方たちは、裕福とまでは言えないかもしれないけれど、テレビで目にするような”貧しい”方ではありませんでした。せわしく生きている日本人に比べたら、自分にも他人にも優しくできるケニア人の考え方の方が幸福度が高いのではと思うほどでした。

 

― 帰国後に何か変化はありましたか?

 気候変動とかSDGsの話に興味を持つようになりました。というか,無視できなくなっちゃいました。(笑)気温が上がると,雨が多くなって洪水が起きたり,逆に雨が降らな過ぎて,干ばつが起きたり,その影響で農地が減ってしまったり,家畜が死んでしまったりすることもあります。日本でも報道がされていたと思いますが、留学中にサバクトビバッタがケニアに襲来し農作物を食い荒らしているニュースを現地で目の当たりにしました。自分のいたところは大丈夫だったんですけど,地元のニュースを見ていると鳥肌がたつくらい衝撃的で。また丁度雨が多い年だったらしく、現地の農家さんが「雨で土が流れちゃいました」って受け入れ先のオフィスに相談に来ることもあって。
 日本にいるときよりも気候変動の影響が目に見えて分かるからこそ,解決しなきゃいけない問題なんだなと実感しました。

 

― 帰国後に始めたことはありますか?

 留学してアフリカに興味が湧いたので,アフリカに関連したオンラインイベントに参加して,アフリカに住んでいる人の話を聞いたり,アフリカ関連のオンラインイベントの運営のお手伝いをしたりしていました。
 あと,ケニアから持ってきたサンプルの解析もしていました。ひたすら研究をしていたら,卒業しちゃったという感じですね。

 

 ― トビタテで留学してよかったことは何ですか?

 気の置けない仲間が増えたことですね。トビタテのいいところって,留学後も繋がれる環境があることだと思うんです。私は特にとまりぎコアに入っていたことによって,いろいろな人とゆるく繋がれていると思います。自分はなにかすごいことをやり遂げたわけではないけど,活動的なトビタテ生を見て,「自分も頑張ろう!」と思える環境に入れるということがよかったことだなと感じています。「トビタテ生として恥じぬよう頑張ろうかな」と思えます。

 

― 夏目さんの今後の展望・visionは何ですか?

 環境に配慮したものづくりをして,誰もが生きがいを持てるような持続可能な社会に貢献していきたいと考えています。香川県の地域人材コースで留学したのに,香川県からは離れてしまったんですよ。でも,香川県の外から俯瞰して,香川県とケニアの農業の両方に着目した私だからできる環境に配慮したものづくりをしていきたいと考えています。
 それに,研究開発の仕事を選んだのも,やっぱりケニアに留学して,「持続可能」や「SDGs」の重要性を感じ、なんとかしなければ!という思いが心のどこかであったからかもしれないんです。研究開発っていう職業は自分には向いていないと思っていたし、最後は直感で選んだ会社だったんですけど,その直感は留学で培った経験が導いたのかなと最近は考えています。

 

― 留学を夢見る学生へメッセージをお願いします。

 留学にはぜひ行ってほしいです。トビタテはプロセスを重視する奨学金ではあるので,難しいと思われるかもしれません。でも,まずは「行きたい!」という気持ちがあれば留学してほしいです。トビタテという方法じゃなくても。みんなが思う最良の方法で留学してほしいです!コロナさえ落ちつけば,海外に行くことは難しくない時代だし,たくさんトライしてほしいと思います。海外っていう違う環境で生きているだけでチャレンジングなんですよ。でも,いっぱい海外に行くことで考え方も変わるので,ぜひ,自分にあった最良の方法で留学してほしいです!

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