とまりぎ とまりぎ ートビタテ生の拠り所、トビタテ生の和を作るー

第177回:~はじめての留学特集 vol.12 ~「いまの自分があるのは留学に挑戦したから」小沼あみさん

青山実央【事務局インターン,大学12期】

青山実央【事務局インターン,大学12期】

2021.07.19

 「海外初チャレンジ枠」で留学したトビタテ生を取り上げて,留学の動機や留学中の話,そして,留学が与えた影響に関して紹介する「はじめての留学特集」。
 第12回は多様性人材コースで留学した小沼あみさん。留学開始3週間で新型コロナウイルスの影響で帰国となった小沼さん。途中帰国となって感じた思いを胸に日本で始めた活動の話,そして,留学に対する思いを聞きました。
【インタビュアー:青山実央(事務局インターン,大学12期)】

今回のトビタテ生

名前:小沼あみ
トビタテの期・コース:大学11期・多様性人材コース
留学先:イギリス(本来はイギリス・アイルランド・スウェーデンに滞在予定)
留学テーマ:高齢者社会を映画で豊かにする

トビタテで留学を開始して,1ヶ月ほどで緊急帰国。その後は「東京国際映画祭」の学生応援団として,映画の魅力を若い世代に伝える活動を行う。

海外でも勉強以外の活動をしてみたい!

― 留学に行こうと思った理由は何ですか?

 小さいころから海外の本とかアニメが大好きなんです。幼稚園の時は「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンターになることが夢でした。なので,海外への憧れはずっとあったと思います。本格的に留学を決意しようと思ったのは,高校時代に洋画にハマったことがきっかけです。洋画のキラキラした生活を見ていて,実際に自分も行って現地で生活してみたいという思いが沸いたんです。
 ただ,その時は留学をするということが目的になっていました。「留学をしてどうなりたいのか」ということは全然考えていませんでした。

 

― トビタテを知ったきっかけと応募しようと思った理由を教えてください。

 高校生の時から留学に行こうと決めていたので,大学に入学してからすぐに学校で開かれていた留学説明会に参加しました。そこで,トビタテで留学した方が話をしていました。それで,初めてトビタテを知りました。
 それまでの私は留学って研究や授業を受ける勉強しかできないと思っていたんです。でも,トビタテだったら,海外でそれ以外のことができて,自分のやりたいことや海外で挑戦してみたいことに応援してくれるんだと思いました。そこが魅力的だなと思って応募しました。

 

― 「高齢者社会を映画で豊かにする」という留学テーマを選ばれた理由は何ですか?

 自分が好きな映画で社会貢献をしたいと思ったからです。トビタテを知ったときに,自分のやりたいことを海外で実現した人たちの話を聞いて,私がやりたいことは何なのかということも考えるようになりました。その当時,私が地域に根付いたミニシアターでアルバイトをしていて,そこは映画で地域活性化みたいなことをしていたんです。その経験もあって,映画を用いて何かしてみたいなと思っていました。その時に映画療法というものがあることを知って,このテーマで留学を決意したんです。

*映画療法:映画を用いて行うセラピーのこと。映画の中に含まれる映像,プロット,音楽が人の精神に影響することを利用して,インスピレーションを与えたり,感情を解放させたり,安堵感を与えたりすることができる。

想像よりも短かった留学生活

― どんな留学生活を行っていたんですか?

 1年間留学する予定だったのですが,新型コロナウイルスの影響で,留学開始から1ヶ月ほどで帰国してしまいました。その1ヶ月間はイギリスの語学学校に通ったり,映画館巡りをしたりしていました。
 本来であれば,イギリスに1ヶ月間滞在して,語学学校に通った後に,5ヶ月間,アイルランドの大学に通いながら,高齢者支援団体でボランティア活動をする予定でした。その後は,スウェーデンに渡って,フォルケホイスコーレと言われる学校に通いながら,自分でドキュメンタリー映画制作を行う予定でした。さらに,スウェーデンでは,映画療法を行っているボランティア団体で,映画を通して高齢者の方の心のケアをする活動に参加する予定でした。それがこの留学で最も挑戦したいと思っていた活動でした。なので,スウェーデンに留学できる日を心待ちにしていましたが,途中で帰国することになり,実際にやりたかったことはできずに終わってしまいました。

*フォルケホイスコーレ:北欧独自の全寮制教育機関。哲学者であり教育者でもあるデンマーク人のグルントヴィが「すべての人に教育を」というコンセプトのもと,主に学校に通えない農家に育った人などを対象に創設した。教員と生徒が共同生活をし,試験や成績評価は存在しない。

― 「映画」を軸に留学計画を立てられていますが,将来は映画に関わることをしようと思っているんですか?

 高校生の時から,映画は好きだったので,映画に関わる仕事には興味はあったと思います。実際にアルバイト先も映画館でした。その映画館でアルバイトをしている時に,お客さんが喜んで帰る姿を見てすごく心が動いたんです。そこから,いつしかファンじゃなくて,映画を届ける立場になりたいなと思いました。
 それで,学生時代に何かできることはないかなと思って探して,留学や映画関係のインターンを始めました。

 

― 1ヶ月で留学から帰ってきていますが,また行ってみたいなという気持ちはありますか?

 まだ,一応中断という形になっているので,チャンスは残っています。でも,今,私は大学4年生なので,本当に短い期間しかいけなく,今年は少し厳しいと感じています。せっかくトビタテに合格して,留学できるチャンスをもらえたので,行きたい気持ちは残っているので,たとえトビタテでこのあとの留学ができなくなってしまったとしても,チャンスがあればスウェーデンには行きたいです。

 

― オンライン留学という形での留学は考えなかったんですか?

 一時期オンライン留学を考えていたこともありました。でも,勉強だけじゃなくて,海外の文化とか環境とかに直接触れたいなという思いがあったので,落ち着いてから,また渡航できるようになるまで,中断しようと思いました。オンラインだけで留学を終わらせたくないという気持ちがあったんです。

留学のために準備していたことが日本での活動に繋がっている

― 留学から帰ってきて始めた活動はありますか?

 留学自体は途中で終わってしまったんですけど,私が映画を通して,何か伝えるということ,人の価値観を動かすようなものを届けたいという思いは変わりませんでした。なので,「東京国際映画祭」の学生応援団という形でインターンを始めました。若い人に映画や映画祭の魅力を伝える活動に携わっています。映画インフルエンサーの方とのコラボイベントだったり,SNSの運用だったりしています。その活動ができているおかげで,自分のやりたいことは日本にいても達成できているのかなと思います。

学生応援団の仲間たちとの写真

― 帰国後もアクティブに活動していますが,留学を中断している状況の中で落ち込んだことはなかったんですか?

 落ち込んだ時期はありました。大学1年生の時から準備していて,留学できたのは大学3年生の終わりでした。大学生活の半分以上を留学に捧げてきた生活だったんです。なので,「留学準備に費やしてきたこの2年間は何だったんだろう?」と思ったこともありました。でも,留学やトビタテにチャレンジしていなかったら,出会わなかった人たちがたくさんいましたし,自分の殻を破るきっかけにもなりました。なので,トビタテを選んで留学したことに後悔はありません。
 それに,途中帰国になったときも,1人だけだったらすごくモヤモヤしていたと思うんです。でも,一緒に事前研修を受けた11期の人たちも帰国することになっていたので,その時に連絡を取り合っていました。同じ境遇の人たちがいるっていうことは心の支えになりました。それに,みんなが帰国してからも日本で頑張っている姿を見て,「私も頑張ろう」と思えていました。

 

― 留学という経験をして何か変化したことはありますか?

 変化という変化は感じられませんでしたが,トビタテに応募している過程も含めて,自分が本当に何をしたいのかということを考えるようになりました。留学に行くまでや留学中は留学を通して映画の魅力や映画の新しい可能性を広めていこうと思っていました。でも,急遽帰国して,日本にいることになって,私がやりたいことって身近なところでできないかなと考えるようになりました。私がどうなりたいのかということを考えるきっかけになったのが留学ではないかなと思います。長い間準備をして,結局達成できなかったことに対して,悔しい思いがないといえば嘘になりますが,今も自分のやりたいことができているので,ポジティブに捉えることができています。

 

― トビタテで留学してよかったことは何ですか?

 トビタテのコミュニティに入れたことです。自分のやりたいことに向かってまっすぐ突き進んでいる人って,私の周りにはなかなかいなかったんです。でも,トビタテのコミュニティってやりたいことや目標に向かって頑張っている人の集まりだったんです。なので,そういうトビタテ生を見るたびに私も頑張らないといけないなって思います。それに,目標に向かって頑張っているトビタテ生を見て,何度も背中を押してもらえました。それだけじゃなくて,私が困ったときとか悩んだときに相談に乗ってくれる頼れる存在をトビタテで得ることができました。そんな仲間に出会えたことがトビタテで留学してよかったことです。
 最近は同窓会組織の「とまりぎ」の関東支部のコアメンバーにもなりました。私がトビタテでいろんな人と出会えてよかったなと思っているので,今度は私が人と人をつなげる役割になりたいと思っています。私が得意な映画分野で何か勉強会とかを開催できたらいいなです。

 

― 小沼さんの今後の展望やVisionは何ですか?

 将来,どんな職業に就いたとしても,「映画」を軸に活動を続けていきたいなと思います。「東京国際映画祭」のインターンを通して,同じ志をもった仲間に出会えて,その仲間と大学を卒業してからも,SNSで映画の魅力を発信したり,映画好き同士をつなげるコミュニティを作ったりできたらいいなと思っています。これからの人生も「映画」を軸に何かアクションを起こしつづけたいなと思います。 

 

― 最後に留学を夢見る学生へのメッセージをお願いします。

  もちろん全ての物事においてそうだとは思いませんが,留学においては「やらない後悔よりやる後悔」という言葉を信じて自分の可能性を広げてみてほしいなと思います。私みたいに留学が思うように行かなくても,留学準備の過程で得たものが別の活動に繋がることもあります。やりたいって思うことに踏み出す一歩としてトビタテや留学に挑戦してほしいなと思います。トビタテは,自分の興味分野とはまた違う人と出会えたり,自分と分野が近い人出会えたりして,切磋琢磨できる環境です。そこからいろんなアクションを起こせると思います。何かに挑戦する一歩としてぜひトビタテで留学してほしいなと思います!
 今ではオンライン留学とか留学の幅は広がっています。でも,私も1ヶ月の滞在で,家で留学するのと,海外で留学するのは全然環境も違うと感じましたし,何より出会える人の幅や親密度とかも違ってくると思いました。なので,行きたいという気持ちがあるのであれば,実際に海外で勉強してほしいなと思います。留学に行くことを目的にせず,留学で何をしたいのか,留学でどんな自分になりたいのかというこをとを念頭に置きながら,留学に挑戦してほしいです!

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