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第180回:理系のトビタテ生特集 第2弾森田海さん【最先端の教育工学を学ぶ】

鈴木花穂 事務局インターン大学4期

鈴木花穂 事務局インターン大学4期

2021.09.03

みなさんこんにちは!

大学4期でロシアに留学していたトビタテ事務局インターンの鈴木花穂です!
「理系のトビタテ生特集」という特集で、
理系分野を専門に学びに行っていたトビタテ生にスポットライトを当てて、留学中に学んだことや、その後の活躍を紹介していきたいと思います!

そんな特集の第2弾!今回の専門分野は。。。。。
「教育工学」です!!

今回はそんな教育工学を学びにアメリカで留学した大学4期の森田海さんにインタビューしてみました!

トビタテ!留学JAPANでの留学

森田海(もりたかい)さん
大学4期 多様性人材コース
留学テーマ:最先端の教育工学を学ぶ

テクノロジーを利用した教育をやりたい

鈴木)森田さんはどのようなことを専門に勉強されていたのですか?
森田)留学に行く前、私は大学の工学部で勉強していました。更に、その中でも都市開発などに関わる社会開発システム工学について関心を抱きました。
鈴木)その分野に興味を持ったきっかけについて教えてください!
森田)元々私は格差問題に携わりたいと思い、大学一年生から発展途上国をよく訪問していました。しかし、短期間じゃ分からないことも多く、もっと現地の人と深く関わって内情を知りたいと思ってウガンダのマケレレ大学に1年留学しました。
ウガンダに行く前は、都市開発の分野で、将来どのようにかかわることができるかを現地で考え、大学院に進んでそのために専門的に勉強したいと思っていました。しかし、スマホやWi-Fiなどのテクノロジーの高い普及率や、都市開発のスピードを目の当たりにし、都市計画は自分が携わらなくても進んでいくだろうと感じました。
鈴木)ウガンダは目覚ましく発展しているのですね。意外でした。
森田)一方、ウガンダには貧困地域があり、都市部との教育格差という点で日本とも通じる部分があると思いました。また、ウガンダのトップ大学を見学して、国としての教育の地位や考え方のあるべき姿を考えるようになりました。こうした経験を通じ、より良い教育のために情報工学を学び始めました。
鈴木)とても熱意を感じるお話でした。ウガンダでの経験が大きいのですね!
森田)留学先は、大学の提携校で唯一教育系の情報工学について学べるヒューストンを選択しました。

研究だけでなく、実践も

鈴木)留学で勉強されていたことについて教えてください!
森田)現地では、大学の研究室というよりも大学内のNPOで教育データの解析モデルの研究をしながら、地元の高校と大学にオンライン教科書を提供するプロジェクトに関わっていました。

写真①所属していたライス大学発の教育研究NPO「Openstax」で、私が所属していた研究チームです。Openstaxは「すべての人に教育と学びの機会を」を理念として、オンライン教科書の研究・開発・実践を行っている団体です。教科書のデザインチーム、システム開発チーム、研究チームなどがあります。研究チームのバックグラウンドは、様々でした。

ライス大学発の教育研究NPO「Openstax」の所属チームの皆さんと森田さん(中心)

森田)紙の教科書をオンラインにしたものなのですが、練習問題もオンライン上でできて、学習者が問題に答えると得意分野と苦手分野を診断してくれるというものです。

鈴木)生徒それぞれに合ったことができるのですね。

森田)それから、オンライン教科書を使った学習者の問題への回答データから、どれだけこの学習者は理解できているのかを分析し、次にどんな問題を解いたらいいか、を提案するプログラムを開発していました。私は、膨大なデータを処理するために、機械学習アルゴリズムを中心に研究・開発していました。

鈴木)それはどのようなものですか?
森田)例えば先生が、ある学習者の二次方程式の正確な知識量を測るには、二次方程式の全ての種類の問題を解いてもらい、その回答から判断する必要がありますよね。オンライン教科書では、すべての種類を解いてなくても、学習者の知識量を推定します。これを可能にしているのが、われわれが研究していた機械学習アルゴリズムです。過去の膨大な学習者の回答データから機械が学習してモデルを作ることで、新しい学習者のデータが不十分であっても、知識量を推定できるようにします。
また、ライス大学の教授が全世界で見れるオンライン講義があるのですが、その講義の質疑応答などのチャットデータから、有益な学習データが得られないかを探索していました。それには、自然言語処理の技術を使っていました。

鈴木)自然言語処理について教えてください。
森田)人が話す言語を機械が理解しやすいように処理していくことです。生徒が短い質問をして、先生が答えたときに、その人が理解したのかどうかを機械が知るには難しいからです。たとえば、人が話す「あー」「うー」のような学習内容に関係のない余分な部分をなくし、名詞や動詞など意味のある概念を抽出するというようなことを行いました。

写真②指導教官で機械学習の専門家ドリューとの一枚です。英語を高速で話す彼とのコミュニケーションはとても難しく、数式とホワイトボードがわれわれの拠り所でした。忙しい彼の出勤に合わせて、早朝から相談内容を整理して準備していたのはいい思い出です。

ドリュー(左)と

写真③ヒューストンといえばNASA。NASAといえば月。ケネディ大統領の有名なMoonshotの演説はライス大学で行われました。私の留学中は、バイデンさんがオバマ政権の副大統領だったときです。私は幸いにも、バイデンさんのがん研究のMoonshotプロジェクト報告について、ライス大学で行ったスピーチを生で聞くことができました。

NASAにて

「見えない」けど大事そうな軸を認識したい

鈴木)帰国後は何をされていますか?

森田)現在大学院の博士課程にいます。留学の時は、教育内容として、物理、数学などの問題解決スキルの向上に焦点を当てていて、人間の先生がやることを機械ができるようにして、その分人間の先生が機械ができない創造的なことに時間を使うことができるように研究していました。しかし、システムの良さってそういうところだけだろうか、システムならではの良さもあるのではないかと考えるようになりました。そこで、現在では論理学や批判的思考、メタ認知など、どの教科にも共通している能力をシステムを使って鍛えることができるようなシステムをデザインする研究をしています。
鈴木)留学を通じて研究テーマの方向性が変わったんですね!

森田)今後は、先ほど言及したどの教科にも共通している能力について研究し続けていきたいと思っています。

今の時代は、学び方や学問も一つだけではありません。理系や文系、或いは両方につながる勉強もあります。たとえば、どうすれば言語学の勉強をプログラミングの勉強に活すことはできるのか、といった学習科目の内容を超えた学習のデザインを現在研究しています。

鈴木)斬新ですね!

森田)優秀な人は、ある学問を通じて身に着けた力を他の学問にも応用するということが自力でできますが、全ての人がそのようなことをできるわけではありません。こうしたケースを想定して、自分の中で理論や考え方を作ることが大切であることを感じられる教育システムを作って、いろいろな教科で使ってほしいです。

その後は、いろいろな文化圏で試してほしいです。文化が異なる人と理解しあえなかったときに、どこが同じでどこが違うのか、どこが理解できてどこが理解できないかなどを分かるようにしていきたいです。点数のように目に見えるだけでなく「見えない」けど大事そうな軸を認識したいからです。

鈴木)異文化理解の方法として、そのようなやり方があるという発想はありませんでした。

森田)分かり合えないことが可視化されるので、辛いこともあります。研究の時にあえて議論の時に人を対立させるのですが、慣れてないと感情的になりがちです。でも、多様性の世界でやっていくなら、表面的なことだけでなく踏み込むことも必要です。多様性が重要視される現代では、こうした研究が活かせるのではないかと思っています。

編集後記

今までに学んだ学問を他の分野にも応用するという発想や、「多様性」について考える上で教育工学を利用するという考え方は新鮮でした。

今後も森田さんのご活躍を応援いたします!

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