第186回:~はじめての留学特集 vol.17~「思っているだけでは何も変わらない」木下郁弥さん
2021.09.30
「海外初チャレンジ枠」で留学したトビタテ生を取り上げて,留学の動機や留学中の話,そして,留学が与えた影響に関して紹介する「はじめての留学特集」。
第17回の今回は大学7期でアメリカに留学した木下郁弥さんです。周りの影響を受けて留学を決意した木下さん。留学中に出会った人たちをきっかけに木下さんの考え方にも変化が起きました。留学後の木下さんにどんな変化があったのかお聞きしました。
【インタビュアー:青山実央(事務局インターン,大学12期)】
目次
今回のトビタテ生
名前:木下郁弥
トビタテの期・コース:大学7期・多様性人材コース
留学先:アメリカ・オクラホマ州
留学テーマ:アメリカ経済を知って日本の経済を活性化する
1年間交換留学でアメリカに留学。留学後に2年間大学を休学し,ブログ執筆やエンジニアのインターンを経験する。現在はフリーで映像制作を行っている。
自分も留学してみたい!
― 留学しようと思ったきっかけは何ですか?
英語を話したかったというのが大きな理由です。高校生の時に「英語がペラペラになったらかっこいいな」と思って勉強を始めたんです。そうしたら,勉強するのが楽しくてもっと勉強したいと思うようになって,今の大学を選びました。自分の所属している学部は留学する人がとても多かったんです。そんな周りの状況に影響されて自分も行ってみたいなという気持ちが芽生えたことがきっかけです。
― トビタテを知ったきっかけと応募の決めてはなんですか?
トビタテを知ったきっかけはネットです。海外留学に行くための奨学金を調べていたら,たまたまトビタテの存在を知りました。
海外留学奨学金を調べていた理由も応募した理由も経済的な支援が欲しかったからです。自分は下宿をして,私立大学に通っていたんですけど,両親は私立大学に通うことも最初は了承してくれませんでした。それで,留学の費用も出してもらうことはなんとなく頼めなかったんです。留学の費用を助けてくれて,給付型の奨学金というのはとても魅力的でした。
― アメリカ・オクラホマ州を選んだ理由はなんですか?
海外といえばアメリカというイメージがあったからです。留学にも行ったことがなかったですし,ほぼ初めての海外だったので,自分が伸ばしたいと思っていた英語も学べるし,ワールドスタンダードとされているアメリカに長期で滞在したいなと思ってアメリカにしました。
オクラホマ州の大学を選んだのは,大学の成績の関係です。GPAが0.2だけ足りなくて,アメリカの大学から留学先を選ぶとなったらあまり選択肢がなかったんです。その時の自分はアメリカにこだわっていて,あまり大学とかに固執していなかったので,選べるところから選んだという感じでした。
新しい世界に触れた留学
― アメリカではどんなことをしていたんですか?
交換留学で1年間大学に通って,経営,宗教とか社会学の授業を取っていました。自分は本当に英語ができなさすぎて,ネイティブと話すのがすごく怖かったんです。大学の授業で急にディスカッションするのとかすごく大変だったのを覚えています。特にリスニングが苦手で,議論の内容を聞き取って,参加するというのがすごく大変でした。ディスカッションが怖くて,不安でしたね(笑)
なので,留学中は現地に溶け込むことを意識していました。積極的に現地の人とコミュニケーションを取らないと留学した意味がないと思って,英語力の向上に1番力を入れました。現地の人と話す機会を増やしたくて,いろんなところに顔を出すようにしていました。留学生が英語を学ぶクラブ活動みたいなものにはすべて通っていました。ディスカッションは怖くても,フランクに話すのならすごく楽しかったですし,頑張れたんです。
あとは,ルームシェアをしていたので,ルームメイトとパーティーをしたり,旅行に行ったりしていました。パーティーにもよく顔を出していて,パーティーみたいな環境でも,現地の人とコミュニケーションが取れるようになると,自分の成長を知れましたし,大学以外でもコミュニティが広がって,交友関係も広がりました。そんなパーティーで築いた交友関係は今でも続いていて,今年に入って電話をした友人もいます。
― 留学生活で印象に残っている出来事は何ですか?
本当に日常の一部で起きた出来事を覚えています。雨の日に寮の近所のコンビニで水を買ったんです。そうしたら,店員さんが「雨だし濡れるから」と言ってレジ袋を2枚重ねてくれました。店員さんがそんな自分のことを気にかけてくれるんだってびっくりしました。毎回,丁寧な対応をしてくれるわけではなかったので,そんな風に気遣ってもらえたときに,「あ,心から自分のことを気にかけてくれてるんだ」と思ったんです。人の優しさに触れた瞬間だったので,よく覚えています。
あとは,旅行にたくさん行きました。ボストン,シカゴ,テキサス,サンフランシスコ,ロサンゼルス,サンディエゴ,マイアミなどなどいろんなところに行きましたね。ボストンとシカゴにはもう一度行ってみたいです。ボストンは街がすごくきれいだったんです。ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学があって,学生の街だったのできれいだったんじゃないかなと思います。シカゴは治安悪いって聞いていたので,心配だったんですけど,人も優しくて大通りは栄えていて,イメージと違ったのを覚えています。トランプタワーもあって,すごくにぎやかでした。
自分のやりたいことをやって生きていこうと決めた
― 留学後に変化したことはありますか?
やりたいことやって生きていこうっていう考えになりました。留学前は4年間で大学を卒業して,大企業や政府機関に就職したら,人生安泰だっていう考えだったんです。でも,留学したら,留学先では自由な考え方をしている人が多くて,地位とか名声,お金とかを求めて生きている人が少なかったんです。自分は結構そういうのを気にして追いかけるタイプだったので,留学で出会った人たちをみて,自分のやりたいことをやっている人ってかっこいいなと思って,自分もそんな生き方をしてみたいと思うようになりました。
― 留学後に始めたことはありますか?
やりたいことをやってみようと思ったので,いろんなことに挑戦しました。交換留学から帰ってきたときは4年生だったんですけど,就職活動をしようという気になれませんでした。それだけじゃなくて,大学生活を普通に過ごして,このまま就職したら今後の人生を適当に過ごしてしまいそうだなと思ったんです。
なので,やりたいことをやろうと思って2年間休学しました。ネットでお金を稼ぐってどんな感じなんだろうと思って,ブログを書いてみたり,Webデザインをしてみたり,プログラミングをしたりしてました。それに,1年くらいインターンでエンジニアをしていました。そのあとは映像制作をしていて,今でもCMを作ったり,Web広告を作ったりしています。まだ駆け出しなので,個人で仕事をもらって,映像を作るっていうのは大変です。でも,好きでなので続けられているんじゃないかなと思います。
― 留学前に描いていた留学後の生活とは違う生活をしていましたが,そういう生活を送ってみて思ったことはありますか?
2年間の休学を選択して後悔は全くしていません。むしろ,休学してよかったと思っています。新卒で就職しても,心残りがあって,満足していなかったんじゃないかなと思います。2年間でいろんな知識を身に着けることができましたし,プログラミングや映像のスキルを伸ばせたことは本当によかったです。
振り返ると,留学中にもっと積極的になって,いろんなことに挑戦していたら,日本に帰ってきた自分は違ったんじゃないかなと思うことはあります。でも,留学をきっかけにやりたいことに挑戦できたので,留学も自分のなかではいい経験です。
結局,来年の春からは有名な企業に就職するので,自分の描いていた将来像とは変わらないですけど,自分の中で納得してその道を選べているのは,2年間やりたいことをやったからなんじゃないかなと思います。
― トビタテで留学してよかったなと思うことは何ですか?
意識が高くなったことです。トビタテのコミュニティで出会う人って,人生で会ったことない人ばかりなんです。世の中にはこんなにいろんな分野で活躍している人がいるんだと思うようになりました。それに,そんな人たちと知り合ったことによって,新しい世界を知ったんです。そういうコミュニティに入れたからこそ意識を高く持とうっていう決意ができたんじゃないかなと思います。思っているだけじゃダメだと思って,実際に行動に移せるようになったのはトビタテがきっかけです。
― 木下さんの今後のVisionや展望は何ですか?
映像のようなクリエイティブ関係の会社を作りたいです。今はフリーで映像制作をしているんですが,いつか法人化してもっと幅広く活動したいなと思っています。
あとは,自分は音楽が好きなので音楽を作ってみたいです。映像って裏方で,なかなか制作者が表舞台に出る機会はないんです。でも,表舞台に出たいなという気持ちがあるので,音楽というツールを通して,表舞台に出る機会を自ら作っていこうと思います。この表舞台に出たいっていう気持ちに気づいたのも,休学中に大きなプレゼン大会に出たことがきっかけなんです。それまでは,目立つのが好きじゃないと思っていたんですけど,このプレゼン大会で話すことが楽しくて,自分は目立つのが好きなんだと思うようになりました。
― 留学を夢見る学生へのメッセージをお願いします。
「留学をしたいと思っているなら,留学をしてください!」この一言に尽きると思います。
自分の考えとして,人はそれぞれ事情があって,留学に行きたい理由も様々なのに「今はこういう留学に行くことは難しい状況だけど~」って寄り添われても「私は留学でこんな経験をして~」って自分のことを語られても,あまり響かないんです。だから,下手に何も言わずに,「やりたいことがあるなら,行動に移せ」と伝えたいです!
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