第194回:理系のトビタテ生特集 第11弾佐野哲也さん【タイにある世界一のサッカーロボットチームの技術を日本に持ち帰る】
2021.10.27
みなさんこんにちは!
大学4期でロシアに留学していたトビタテ事務局インターンの鈴木花穂です!
「理系のトビタテ生特集」という特集で、
理系分野を専門に学びに行っていたトビタテ生にスポットライトを当てて、留学中に学んだことや、その後の活躍をご紹介しております!
そんな特集の第11弾!今回の専門分野は。。。。。
「ロボット」です!!
今回は、ロボットのプログラムについて学びにタイへ留学した大学2期の佐野さんにインタビューしてみました!
目次
トビタテ!留学JAPANでの留学
佐野哲也(さのてつや)さん
大学2期 自然科学系、複合・融合系人材コース
(※4期以降は理系・複合、融合系人材コースに変更)
留学テーマ:タイにある世界一のサッカーロボットチームの技術を日本に持ち帰る
「鉄腕アトム」に憧れて
鈴木)ロボットに興味を持ったきっかけについて教えてください!
佐野)私は、小さいころからアニメや漫画が好きで、手塚治虫の「鉄腕アトム」を見て、ロボットに興味を持ちました。
鈴木)手塚治虫の漫画には、沢山ロボットが出てきますよね。
佐野)その後、ロボットについて研究をしたいと思うようになり、豊田高専電子機械工学専攻科に進学し、電気回路などロボットに関係あることを学びました。
1-3年生の間は、半分授業の一環扱いだったこともあり、NHK高専ロボコンに出場していました。
鈴木)タイで留学しようと思ったきっかけについて教えてください。
佐野)ロボカップサッカー(通称ロボカップ)というロボット大会の世界大会に参加したときに、日本やアメリカなどにも負けないくらいアジア圏に強豪チームが多いことを知りました。具体的には、タイや中国といった国々が色々な分野で優勝していました。タイのチームが「今年で私たち引退します」と宣言していたので、引退するならプログラムを引き継ぎたいと思い、高専の専攻科1年生の時に留学を決意しました。
*プログラムとは…ここでは、ロボットが自分で考える「指標」のこと。プログラムを変えることで、同じロボットでも攻撃的なロボットになったり防御的なロボットになったり、エースの役割をするロボットになったりキーパーの役割をするロボットになったりと、ロボットの性質を切り替えることができる。(佐野さん談)
写真①学生時代に参加していたロボカップで使っていた車輪型ロボットです。ロボカップは2050年までに人間に勝てるようなロボットチームを作ろうというランドマークプロジェクトです。このロボットを6台使って、ボールをパスしたりシュートしたりしていました。
ロボカップで使っていた車輪型ロボット
鈴木)アジア圏が強いというのは意外でした。
佐野)アジア圏のチームからは、ハングリー精神を感じました。ロボット研究に予算をかけてもらえる国や、優勝すると徴兵を免除される国がありました。タイ、中国、インドといったアジアの国々が強くなってきている理由には、そのような背景があると考えられます。
鈴木)徴兵を免除されるというのは大きいですね。
ちなみに、アジア圏が強い分野はどのような分野ですか?
佐野)アジア圏は主に、制御工学の分野で力をつけてきています。
鈴木)制御工学について教えてください。
佐野)例えば、私が行っていた制御工学では、車輪型ロボットの移動と予測をしていました。ロボットは車輪4つを動かして全方向移動を可能にしています。どの車輪をどのタイミングで動かすのかという仕組みでロボットは移動できます。進むだけなら簡単ですが、スムーズに進み、目的地で止めるとなると、どのタイミングで車輪を止めるかが重要になります。チームによってこの動かし方や考え方が異なり、この制御の仕方によってロボットが滑らかに動きます。
現地学生のレベルの高さに驚く
鈴木)留学内容について教えてください。
佐野)タイにある世界一のロボットチームの研究室で勉強させてもらいました。そのチームが過去に使っていたサッカープログラムを見せてもらったり、自分たちが日本で使っていたロボットを持って行って、技術交換をしたりしました。
鈴木)技術交換ではどのようなことを行いましたか?
佐野)向こうのロボットを見せてもらい、この部分の構図はこうなっているとか、モーターの作りはこうなっているといったことを学びました。
鈴木)現地で日本との違いを感じることは多かったですか?
佐野)はい、お世話になった研究室のメンバーは、みんな英語を話すことができました。
プログラムも、私が日本で開発しているものよりも質が高く、同年代の人がこんなに素晴らしいプログラムを作っているのか、と感動しました。
写真②当時のカセサート付属小学校で行われたサイエンスフェアに参加した時の写真です。タイのチームから技術提供をいただいたので、タイの小学生を相手にサッカーロボットの宣伝と日本の留学の宣伝をしました。サッカーロボットのボールを蹴り出す機能を利用したパフォーマンスを行いました。
カセサート付属小学校のサイエンスフェアで展示されたポスター
写真③週末に現地の友達に連れて行ってもらったアンパワー水上マーケットに行った時の写真です。水上マーケットでは人が多く、歩いていける範囲でもたくさんの店がありますが、水上を小舟で移動するのが楽しかったです。
アンパワー水上マーケット
世界的に活躍できるプログラマーになりたい
鈴木)帰国後の活動について教えてください。
佐野)帰国後は、大学院に進学しました。留学を通じて英語を話すことに抵抗がなくなったこともあり、留学生と交流して、ロボットに関するチーム活動をしました。
卒業後は、ロボット関係でなく、アプリを開発する仕事をしています。
鈴木)留学中の経験が活きていることはありますか?
佐野)留学をしたことにより、学生時代は留学生と交流したり、知らない技術に関してどんどん質問したりできるようになりました。
現在、社会人として働いている時も、遠慮なく質問したり、英語での説明が来ても読み解けるようになったりしています。
鈴木)ロボットとアプリのプログラミングのやり方は異なると思うのですが、ロボットのプログラミングを勉強したことでアプリのプログラミングに活かせていることはありますか?
佐野)確かに、ロボットとアプリとでプログラミングのやり方は異なるのですが、考え方を活かすことはできています。
鈴木)将来の夢を教えてください。
佐野)インターネットの技術が発達したことで、外国人とやり取りする機会も増えましたが、日本のプログラミングは遅れをとっていると感じています。
鈴木)確かに、去年新型コロナウイルスの感染が拡大して世界中がロックダウンし始めていた時に、日本よりもGDPや平均所得が低い東欧のある国でオンライン授業が導入されていて、ITについては日本ではそこまで普及が進んでいない印象を受けました。
佐野)私は、小学生にプログラミングを教えていたこともあるのですが、ITスキルが日本でももっと広がればいいなあ、と思っています。
それから、私自身も世界の中でも負けないようなプログラマーになりたいです。今は会社の社員としてアプリを作っていますが、自分でもアプリを開発して有名になれたらいいですね。
編集後記
世界に目を向けることで、他の国やその国の人から刺激を受けることも多いと思います。日本のIT技術も今後成長していくといいですね。
今後も佐野さんのご活躍を応援いたします!
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