第196回:~社会人トビタテ生の留学する前と後特集 vol.1・前編~「常に可能性が広がる生き方を」渡邉洸さん
2021.11.01
学生時代にトビタテで留学した社会人を取り上げて,現在のキャリア選択のきっかけや「留学」がその後の人生にどのような影響を与えたのか紹介する「社会人トビタテ生の留学する前と後」特集。
第1回はドイツに留学した渡邉洸さんのエピソードを前編と後編に渡って紹介します。トビタテでの留学前にIT企業への就職を決めていた渡邉さん。卒業後2年間ソフトウェアエンジニアとして勤務した後に選んだ道はドイツで博士号を取ることでした。渡邉さんがなぜIT企業への就職を決めたのか,そして,社会人となってからドイツへ渡った理由をお聞きしました。今回は前編ということで,渡邉さんの留学生活,そして,IT企業へ就職を決めた理由をお送りします。
【インタビュアー:青山実央(事務局インターン,大学12期)】
目次
今回のトビタテ生
名前:渡邉洸
トビタテの期・コース:大学8期・理系,複合・融合系人材コース
留学先:ドイツ
留学テーマ:ドイツの人工知能研究所で最先端の研究に携わる!
小学校時代をタイ,高校時代を中国でそれぞれ2年半ずつ過ごしていた。修士2年でトビタテでドイツ留学を経験し,大学院を卒業後は,IT企業に入社。システムエンジニアとして約2年間勤務する。2021年2月からは博士号取得のため,ドイツへ渡り,人工知能の研究をしている。
自分の知らない世界に飛び込んだ留学
― 渡邉さんは留学前から留学経験をのちのキャリアに活かしていこうと考えていたんですか?
留学とキャリアは別のものとして考えていました。実は自分は留学する前に内定をもらっていたんです。自分は修士2年生で留学していたので,留学しながら就活っていうのは難しいんじゃないかと思っていました。なので,日本で就職先を見つけてから,留学しました。もし,ドイツで自分が働きたいなと思う仕事があれば,そちらで働こうとも考えていました。
― では,もともと留学したいなという思いはあったんですか?
そうですね。学部生の頃から考えていました。でも,当時はテコンドーをやっていて,部活で部長を務めていた関係で,大学内でいろんなことをしていたんです。なので,せっかく海外に行きたいなと思っても,なかなか踏み出せない環境でした。
大学院に進学してからは,大学が変わったこともあり,人間関係もガラッと変化したので,海外留学への準備にかけられる時間が増えました。なので,学部生の時から留学は考えていたんですけど,実際に動き出したのは,大学院に入学してからでした。
― 小さいころから海外で生活する機会があったようですが,留学をしたいと思っていたのはなぜですか?
自分はタイと中国に滞在していて,アジア圏の国にしか滞在した経験がなかったんです。なので,ヨーロッパやアメリカのような自分が知らない文化の国に行ってみたかったんです。自分自身が持っている文化的な知識は「海外を知っている」というよりは「アジアを知っている」という感覚でした。なので,視野を広げるという意味でも留学をしたいなと思っていました。
― トビタテでドイツに留学されていたときは,どのような研究をされていたんですか?
読書体験をより質の良いものにするための人工知能の研究をしていました。電子書籍を読んでいて,人間が単語が分からないということを感じたときに,人工知能が語句解説の動画を流してくれたり,補足資料を流してくれたりするシステムの研究でした。
人に読書をより好きになってもらったり,読書を通じていろんな経験をしてもらったりするということに注目していた研究だったので,とても楽しかったです。人生が楽しくなりそうだなとワクワクしていました。
(左:研究所長と大学院教授との1枚。右:パーティーに参加した時の写真)
「人が喜ぶこと」を仕事に
― 留学前に就職先を決めていたとおっしゃっていましたが,留学を経て違う選択肢を考えることはなかったんですか?
少し考えていました。留学終了前に,ドイツで研究を続けることを提案されていたんです。当時の内定先の人事の方もドイツに行くことを進めてくれていました。
でも,自分の中で将来どの選択肢を取らないかということを考えたときに,日本で就職することは選ばないなと思ったんです。ドイツで就職した後に,日本で内定先に就職するかと考えたら,しないと思いました。それに,自分が生きている間に,できる限りいろんなことをしたいなと思ったんです。なので,遠回りかもしれなかったんですけど,日本に戻って就職することにしました。
― ずっと,IT関係の企業に就職しようと考えていたんですか?
学部生のころは,自動車が好きだったので,工学部機械システム工学科に籍を置いていて,自動車系のメーカーに就職しようと思っていました。でも,自動車が好きな人たちと接していくうちに,自動車にあまり興味がないことに気が付いたんです。その時に,「どうして自動車が好きだと思っていたのか」ということを考えるようになりました。そうしたら,よく家族旅行に行っていた経験から,自動車に乗って,家族と旅行に行くこと,そして,その道中の家族との空間が好きだったんだと気づきました。
そこから,人が楽しいと思う瞬間や喜ぶ瞬間を作りたいと思って,そういう瞬間を作るにはどうしたらいいのかということを考えるようになりました。なので,大学院も人の生活を豊かにする研究をしようと進学先を選びました。
就職活動中もIT系の仕事をしたいと思っていたわけではなくて,人を喜ばせることができる職業に就きたいと思っていました。
― DeNA以外にも就職先として考えていたんですか?
考えていました。就活していたときは,100社以上面接を受けていました。自分はすごく面接が楽しかったんです。自分が思っていることや,やりたいことをタダでいろんな人に聞いてもらえる貴重な場だと思っていました。なので,面接の回数を重ねるごとに,自分の言っていることが変わっていったときは,「なんで,自分はこういうことを話したのか」と考えていくと,自分の思いの変化とかが分かって,すごく楽しかったです。就活も捉え方を変えると自分の成長を実感できる場になるのだと思いました。
― 100社以上受けた中で,DeNAを選んだ決め手は何ですか?
人間を明るくしたり,気持ちを豊かにしたりすることをミッションとして掲げていて,そういう部分が自分のやりたいことと一致していたので,入社しました。それに,当時の人事の方とすごく性格があったんです。日本にいる時は,何度も飲みに連れて行ってもらっていました。その方の紹介でDeNAに勤めているいろんな方と面接させてもらったときも,話も雰囲気もすごく合うと感じたことがいいなと思ったきっかけでした。
そして,就職する大きな決め手になったのは,DeNAのトップである南場智子さんにお会いしたことです。京都で開催されていた就職説明会に参加した時に,自分が座っていた机の前にいらっしゃって,学生にたくさん質問をしていたんです。この人すごいなと思いながら,話を聞いていくうちに,こういうエネルギーがある方がトップにいる会社って面白いんじゃないかなと思うようになりました。それに,帰り際にもらった南場さんの「不格好経営」という本を読んで,会社のことを知ったら,この会社好きだなと思って入社を決めました。
(DeNAで働いていたときの仲間との1枚)
後編に続きます。後編では,実際にDeNAではどのような仕事をしていたのか,留学経験以外で経験しておいてよかったこと,そして,ドイツで働こうと思ったきっかけについてお聞きしています。
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