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第218回:理系のトビタテ生特集 第20弾松尾智成さん【全球レベルでの二次林形成メカニズムの解明と応用】

鈴木花穂 事務局インターン大学4期

鈴木花穂 事務局インターン大学4期

2022.02.17

みなさんこんにちは!

大学4期でロシアに留学していたトビタテ事務局インターンの鈴木花穂です!

「理系のトビタテ生特集」という特集で、

理系分野を専門に学びに行っていたトビタテ生にスポットライトを当てて、留学中に学んだことや、その後の活躍をご紹介しております!

そんな特集の第21弾!今回の専門分野は。。。。。

「 森林」です!!

今回は、森林について学びにオランダとメキシコへ留学した、大学9期の松尾さんにインタビューしてみました!

トビタテ!留学JAPANでの留学

松尾智成(まつおともなり)さん

9期 理系・複合、融合系人材コース

留学テーマ:全球レベルでの二次林形成メカニズムの解明と応用

*「全球」とは…?地球全体のこと

熱帯雨林に興味を持って

鈴木)松尾さんは、元々どのようなことを専門に勉強されていたのですか?

松尾)学部、修士時代には、森林の樹木種の構成や樹木の成長が、どのような要因によって決定されているのかについて、特に樹木間の光獲得競争(光をめぐる樹木間の競争)に着目して調べていました。日本では、和歌山県と北海道の苫小牧で、海外ではマレーシアで調査しました。

鈴木)森林に興味を持ったきっかけを教えてください。

松尾)私は、埼玉県の飯能市生まれで、森林が身近だったこともあり、純粋に森や自然に興味がありました。大学では農学部の森林科学科に進学しました。4回生の時に研究室に所属し、指導教官の元、森林生態学の研究にのめりこんでいきました。具体的には、森林破壊後に森林がどのようなプロセスを経て回復していくのか、またそのプロセスがどのような要因によって決定されているのかについての研究です。

鈴木)留学に行こうと思ったきっかけについて教えてください。

松尾)私は元々熱帯地域に興味があったので、学部3回生時から、熱帯地域へバックパッカーとしてで旅行するようになりました。4回生時には、熱帯林での研究にも興味を持ちました。その中でも、日本からだと縁遠い中南米の熱帯林について研究したいと思っていたところ、オランダのWageningen(ワーヘニンゲン)大学が熱帯林研究、特に中南米研究で有名だという話を聞いて、修士課程の時に留学に行くことを決意しました。

鈴木)中南米の森林の研究が、オランダで行われているというのは意外でした。

松尾)実は、必ずしも現地の大学が中心になってその土地の森林の研究をしているわけではないんです。

オランダは指導の質が良く、英語で研究できるという語学的な観点からも選びました。

そして、オランダにいる間に中南米で研究している方々とのコネクションを形成し、共同研究として、Wageningen大学とメキシコ自治大学の研究室に所属しながら研究を行いました。

農地転用後の森林回復についての研究

鈴木)留学内容について教えてください。

松尾)オランダでは、熱帯林が農地転用後にどのように回復していくのかということと、光をめぐる樹木間の競争に着目して研究しました。熱帯雨林には水が十分あるため、光が樹木の成長・死亡を強く決定しています。森林が回復していく過程で、樹木が樹高成長を通して光獲得量を増やしているのか、それとも、葉のサイズを大きくしたり、樹冠(木のてっぺんのこと)サイズを大きくして光獲得量を増やしているのか、そしてそのような樹木間の光獲得競争における戦略の違いが森林の樹木種構成にどう影響していくのかについて調査しました。

写真①所属していたオランダのWageningen大学の森林生態学・管理学研究室のメンバーとの夕食会の一枚です。教授の家でそれぞれが1-2品ご飯を作って持ち寄る様式での夕食会でした。研究室のメンバーは国籍豊かで多様性に富んでいるので、夕食も世界各国のご飯が並びました。真ん中中段の青いシャツを着ているのが私です。

所属していたWageningen大学の研究室のメンバーと

また、メキシコ南東部に位置するLoma Bonitaというコミュニティ周辺に3週間滞在し農作放棄後の森林回復に関わる調査を行いました。農作放棄後から自然に回復した異なる林齢の森林(林齢8-32年)を利用し、森林が農作放棄後にどのように回復していくのか、また樹木種の構成がどのように樹木間光獲得競争によって変化していくのかを評価しました。

写真②メキシコの熱帯雨林でのフィールドワークの際のものです。森林内の光環境を測定するために、光量子センサーをカーボンポールの先端に取り付け、カーボンポールを林床1mから最大22mまで伸ばし、毎日森林内の光環境と樹木の樹間構造の測定を行なっていました。

メキシコの熱帯雨林でのフィールドワークで

写真③メキシコの乾燥林でフィールドワークを行った時のものです。熱帯雨林とはうって変わり、森林高も低く森林構造もとても単純なもので、様々な違いが見られました。乾燥林には乾季に行ったため、ほとんどの樹木が写真で見られるように落葉していました。一番右が私です。

メキシコの乾燥林でのフィールドワークで

環境問題の解決に、アカデミックな観点から貢献したい

松尾)帰国直前に、Wageningen大学の教授がEUの熱帯林研究に関する大規模プロジェクトを始めることを知りました。それは、熱帯雨林・乾燥林が農作放棄後にどのように回復するのか、またどのような要因が森林の回復速度を決定しているのかを、メキシコ、ガーナ、オーストラリアでの大陸間比較を行うことで全球レベルで明らかにするという研究テーマでした。留学中に、オランダでの研究者の待遇が良いこと、また研究者として生きていく覚悟ができたので、オランダで博士課程を行うために応募しました。

トビタテでの留学が終了し、日本へ帰国した後しばらくは、修士論文やそれに関する調査に取り組みました。その後、応募したEUプロジェクトに合格することができたので、オランダへ戻り、研究計画のミーティングをWageningenで行い、プロジェクトのキックオフミーティングをメキシコで行いました。その後、日本へ帰国して、修士論文の提出と修士論文の口頭発表を行いました。

修士課程卒業後は、Wageningen大学で博士課程を開始し、オーストラリアでの調査を開始しました。その後、新型コロナウイルスの影響でオーストラリアでの調査を中断し、今年の1月まではオランダで投稿論文執筆と博士論文の研究計画書の作成を行いました。今年の2月から8月までは、ガーナの熱帯林で調査しました。オランダは博士課程が4年間のため、まだしばらくはオランダを拠点に研究を続けることになります。

鈴木)留学終了後も、世界各地で調査や研究を続けられているのですね!

将来の夢について教えてください。

松尾)気候変動や森林破壊などの環境問題の解決に、アカデミックな観点から貢献したいです。特に、基礎研究の分野にフォーカスして、熱帯林に関わる環境破壊の解決に取り組みたいです。そのために、熱帯林が破壊された後にどのように回復していくのか、またどれだけの炭素蓄積や生物多様性保全のポテンシャルを秘めているのかを明らかにし、森林政策の決定に反映してもらえたらいいな、と思っています。

編集後記

環境問題の解決については巷で叫ばれるようになりましたが、科学的に解決する方法を導き出すのは難しそうだと感じますが、松尾さんのように地道に研究を続けている方であれば、解決の糸口につながる成果を出せるのではないかと思います。

今後も松尾さんのご活躍を応援いたします!

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