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第216回:とまりぎインタビュー記事 高桑雅弘さん【科学者と料理人の視点を身に着け現代の食医になる】

鈴木花穂 事務局インターン大学4期

鈴木花穂 事務局インターン大学4期

2022.02.10

みなさんこんにちは!

大学4期でロシアに留学していたトビタテ事務局インターンの鈴木花穂です!

私が独断と偏見で選んだトビタテ生にスポットライトを当てて、留学中に学んだことや、その後の活躍をご紹介していきたいと思います!

今回は、料理を学びにイタリアに留学した大学11期の高桑さんにインタビューしてみました!

トビタテ!留学JAPANでの留学

高桑雅弘(たかくわまさひろ)さん

11期 多様性人材コース

留学テーマ:科学者と料理人の視点を身に着け現代の食医になる

健康的な地中海料理の本場で学びたい

鈴木)高桑さんが、「科学者と料理人の視点を身に着け現代の食医になりたい」と思った理由について教えてください。

高桑)私は大学時代に医学部で勉強していたのですが、人の健康を医師として考えるにあたって、食が健康の根底にあると考えていました。その中でも、世界無形文化遺産にも選ばれている「地中海式の食事」が体に良いという科学的なエビデンスを学んだので、地中海料理の本場で学びたいと思うようになりました。これが、私が料理について留学をしようと持った理由です。

また、新型コロナウイルスの感染拡大で断念したのですが、科学者の視点を鍛えるために、アメリカへ腸内細菌の研究に行く予定でした。地中海式の食事と腸内細菌という近年話題になっている物を知りたいと思ったからです。料理は実践として、腸内細菌は知識として学びに行くためでした。

鈴木)地中海食は、野菜が多くて健康なイメージもあります。

高桑)そうですね。ナッツや穀物など、食物繊維が豊富ですし、オリーブオイルが特に健康に良いと言われています。ギリシャでは、ヨーグルトも多く食べられていますしね。 

鈴木)料理にはいつから興味を持っていたのですか?

高桑)幼稚園や小学生のころから興味がありました。私に包丁を握らせることを家族が心配していたこともあり、本格的には料理をさせてもらえませんでしたが、自分のできる範囲で料理をしていました。

それから、自分の母の実家が醤油と味噌を作る蔵を経営していて、身近に食品を扱う仕事をしていた人がいたのが大きいかな、と思っています。

鈴木)身近な人が携わっているものに影響を受けたのですね!

今も何か作っていますよね。

高桑)はい、実は今、有り合わせの材料で野菜の煮込みを作っているところです(笑)

料理を学ぶ日々

鈴木)留学の内容について教えてください。

高桑)イタリアへ渡航し、2か月料理学校で料理の勉強をした後、レストランを見つけてインターンをしました。

料理学校では、料理の演習授業で手を動かして食事を作るだけでなく、イタリアの食の現場を尋ねました。例えば、フィレンツェ郊外の農作物の生産者さんの所や、食肉加工所、チーズの生産工房、市場を見学しました。

鈴木)料理の材料が作られるところも大切にしているんですね!

高桑)インターンでは、レストランのキッチンで働きました。具体的には、奥の厨房で料理を作り、ドルチェ(デザート)と前菜を担当しました。営業時間前は仕込みを、営業中はオーダーが出たら料理を出すということをしていました。

①フィレンツェの中心部から少し離れた、地元の人で賑わうリストランテで働いていました。イタリアでは「トラットリア(trattoria)」が大衆食堂、「オステリア(osteria)」がおしゃれな居酒屋、「リストランテ(ristorante)」が高級なレストラン、という具合に店名の前の単語である程度お店のタイプが分かります。

 

勤務先レストランの同僚と

鈴木)ちなみに、どのようなものを作ったのですか?

高桑)ドルチェでは、パンナコッタ(生クリームで作ったプリンのようなデザート)、カタラーナ(プリン)、ジェラート、フォンダンショコラ(中から溶けたチョコレートが出てくるケーキ)、栗の粉を使ったケーキなどを作りました。

鈴木)どれもおいしそうですね!

高桑)前菜では、アンチョビとバターを一緒に食べる前菜や、前菜の盛り合わせなどを作りました。特に作っていて面白かったのは、生のアーティチョークから作るサラダです。生のアーティチョークは日本では珍しく、なかなか手に入りませんしね。

鈴木)おっしゃるように、日本のスーパーでは見る機会が少ないです。

②イタリア滞在中の最大の旅は、南部の村にある*地中海ダイエットの博物館を目指したときでした。イタリア語しかほとんど通じないエリアでしたが、現地で生活しながらイタリア語を磨き続け、イタリア留学の目的としていた場所にたどり着くことができました。この地域には10人に1人が100歳以上という村があります。

”Eco Museo della Dieta Mediterranea”へ

*「地中海食(mediterranean diet)」を定義したアメリカ人研究者アンセル・キーズ博士が地中海食の研究生活と余生を過ごした村ピオッピ(Pioppi)にある博物館。

ピオッピと隣のアッチャロリ(Acciaroli)は長寿で有名。アッチャロリは10人に1人が100歳以上と、「世界最長寿の村」として注目されています。

食医の存在を当たり前にしたい

鈴木)帰国後の活動について教えてください。

高桑)新型コロナウイルスの影響で帰国したこともあり、やりたいことに向けてなかなか自由に動けませんでした。飲食店をやりたいと思っていたので、コロナ禍で制限が多い中店舗営業をしている飲食店を利用させてもらって開店に向けて準備をしていたのですが、感染拡大が長引いたので、すんでのところでやめました。

鈴木)そんなことがあったのですね…

高桑)それでも、食事から健康を作りたいという思いがあり、2020年の年末に日本酒を使ったクラウドファンディングを行いました。

鈴木)成功しましたか?

高桑)はい、成功しました。目標は100万円でしたが、実際には150万円集まりました。

鈴木)おめでとうございます!目標額を大幅に上回ったのですね。

高桑)他にも、日本酒と料理を組み合わせるワークショップを行いました。その他にも、自分で開発した食品をデザインして販売するところから事業を始めるということを行いました。体のことを考えた健康的なお菓子を作って販売したこともあります。

私には、健康のために体にいいものを食べることが大切であるというという軸が元々あったのですが、誰とどういうところで食べるかと言う精神的な幸福感も大切であるということをイタリアで学びました。しかし、ソーシャルディスタンスが叫ばれる現在では、意に反して食事の際に孤立してしまう人が出てきてしまっています。

鈴木)家族がいる人はいいですが、一人暮らしの人は複数人で食事ができず、孤立しそうですよね…

高桑)実際に、当時私が在学していた北海道大学の学生の5割から6割は道外から来ていて、孤立しやすい環境にありました。そこで、新型コロナウイルスの影響で孤立している大学生と食事をするために、ホテルのオーナーさん地域の飲食店さんたちと協力して場所づくりを行いました。

写真③地域の飲食店さんやホテルの方々に協力していただき、コロナ禍の登校禁止、部活・サークルの活動停止によって人とつながる機会を失った学生に向けて、少人数の食事会を提供しました。食事を切り口に学生街に新たなつながりを生み出すことができました。

コロナ禍で大学生に食事の場を提供(高桑さん:奥)

鈴木)それは素敵ですね!

将来の夢を教えてください。

高桑)目標は、地域に開けたシェアハウス連携型飲食店を持つことです。食事からの健康を伝えることができる、食育的な要素も兼ね備えている飲食店をイメージしています。そして、そこに医療者が関わるという形ですね。

私は、医療者が病院から出て病院以外でも活躍するようになることで、健康な人が増えると考えています。

まだ現実化する道筋が見えていないところがありますが、食事から健康を作る食医を世の中にあふれさせて、それを世の中の当たり前にすることが夢です。

編集後記

食事から健康を考えることができる飲食店ができたら、私も行ってみたいです。

お医者さんの活躍範囲を病院だけでなく他の分野にも活かすという発想は新鮮でした。

今後も高桑さんのご活躍を応援いたします!

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