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第257回 とまりぎインタビュー記事:中嶋萌絵さん【日本茶ツーリズムの可能性を追求する】

鈴木花穂 事務局インターン大学4期

鈴木花穂 事務局インターン大学4期

2022.09.01

みなさんこんにちは!

 

大学4期でロシアに留学していたトビタテ事務局インターンの鈴木花穂です!

私が独断と偏見で選んだトビタテ生にスポットライトを当てて、留学中に学んだことや、その後の活躍をご紹介していきたいと思います!

 

今回は、マレーシアとカナダに「日本茶の産地での観光」をテーマに留学した大学6期の中嶋さんにインタビューしてみました!

トビタテ!留学JAPANでの留学

中嶋萌絵(なかしまもえ)さん

6期 理系・複合・融合人材コース

留学テーマ 日本茶ツーリズムの可能性を追求する

日本茶と地方創生を組み合わせて

鈴木)なぜ日本茶に興味を持ったのでしょうか?

中嶋)私が小さい頃、祖母が急須でお茶を淹れてくれていて、お茶は私にとって日本茶とは身近で懐かしいものでした。

大学生になってから一人暮らしをして急須でお茶を呑まなくなったりペットボトルのお茶を買うようになったりしたことから日本茶からは遠ざかっていましたが、大学の卒業研究でベトナムの茶畑の土壌の成分を調べていた時にお茶について触れる機会がありました。その時に、研究調査で二週間ベトナムに行って茶畑を見たりお茶を飲んだりしたのですが、これまでお茶が自分にとって身近だった一方、「その作られ方や産地について何も知らないな」と思い、自分でも日本茶について調べてみようと思ったことがきっかけでした。

鈴木)日本茶と「観光」を組み合わせることをどう思いついたのですか?

中嶋)私は田舎出身で田舎の大学に進学し、田舎での暮らしが気に入っています。一方、地元の他の子は都会での生活に憧れています。どうしたら若い人が田舎の生活に憧れるようになるのかな、と考えていました。

鈴木)都会に憧れる若い人を田舎に惹きつけることは難しい課題ですよね。

中嶋)そんな時、高知県の茶畑を訪問した時に地元の方がいれてくださったお茶をいただいたのですが、一口目から美味しくて驚きました。一方、従来の日本茶では産地銘柄よりも製法による分類や流通銘柄が用いられ、お茶の品質に産地ごとの特徴が意識されることが少ない、ということを農家さんから聞きました。例えば高知では、江戸時代からお茶栽培が盛んで、特に山間部のお茶は高品質で知られていたのですが、他産地のブレンド用として出荷されることが多く、そのお茶本来の味を活かしきれていないことなどを教わりました。これだけ誇りを持って作っているのに、その土地だけのお茶の魅力を伝える方法はないのかなあ、と思っていました。

そんな中、お茶の淹れ方や茶畑のあり方を見せるツアーを、インバウンド向けに茶産地の京都の街でやっている会社を見つけました。日本で日本茶の消費が減っている一方、海外でのお茶の需要が増えています。茶畑は田舎にあるので、茶産地に若い人が来てくれるようになったらな、全国の田舎の茶産地をインバウンドで盛り上げて海外の人が来るようになることで、日本人の若者にも田舎やお茶に興味を持つきっかけになればなあ、、と思うようになりました。そうして日本茶×観光の可能性が見えました。

鈴木)お茶の産地でお茶の作り方を見せるツアーというのは面白い発想ですね!

日本茶ツーリズムの可能性を探る

鈴木)留学内容について教えてください。

中嶋)最初にマレーシアの語学学校で、カナダの大学に留学するために必要なIELTSの英語のスコアを取るために勉強しました。並行して、現地の紅茶の茶畑がある観光業が盛んな地域があったので、観光客として視察しました。

写真①マレーシアの中部にある高原のキャメロンハイランドです。マレーシア最大の茶生産地域で、主に紅茶を生産しています。付近にはいくつもカフェがあり、海原のように広がる大茶園を眺めながらお茶を楽しむことができます。

マレーシアのキャメロンハイランドの茶園視察

そのあと、4か月間カナダの大学の経済学部で観光学を学びました。教授とマンツーマンで、日本茶産地での観光業をどのように発展させることができるのか研究しました。

そこでは、「責任ある観光(レスポンシブル・ツーリズム)」という考え方について学びました。観光に関わる全ての人が環境に与える影響を考える観光のあり方というものです。これを日本茶産地で考えた場合、どのように観光業が成り立てば日本茶の産地にとっても良い影響があるかについて研究しました。

具体的には、京都、静岡、長崎と日本茶産地でツーリズムが行なわれている事例において、どのようなツアーが行われ、どのような人が関わっているかについて調査分析をし、どこの取り組みが良くてどのように応用できるかについて問う、という研究を行いました。 

それから、カナダの人が日本茶を飲んだ時に嗜好品として受け入れられるか、現地の観光案内所で飲み比べのテイスティングのイベントをしたり授業で飲んでもらったりしました。

写真②カナダ留学時に、町の観光案内所で緑茶の飲み比べイベントを実施したときの一枚。現地で馴染みのあるブランドの緑茶と、日本から持参した緑茶を水出しで用意しました。興味をもって下さった方にはその場で点てたお抹茶も試飲してもらいましたが、「美味しい!」との反応が大半でとても盛り上がりました。

緑茶の飲み比べイベント(カナダの観光案内所)

鈴木)日本茶に興味を持ってもらえそうな感じがしますね! 

もう一度お茶業界に携われたら…

鈴木)帰国後の活動について教えてください。

中嶋)大学に復学した後、留学経験を生かしてタイ北部の茶産地に2週間滞在し、ツーリズムのイベント支援や日本の釜炒り茶を一緒に作ったりしました。卒業後は留学前にもインターンでお世話になっていた、先に話した茶産地でツーリズムをやっている会社に就職しました。

写真③タイの茶産地では、観光客誘致のため「お茶×ローカルな暮らし」をテーマにファームステイプランが新しく出来たばかりで、そのプランのブラッシュアップに参画しました。日本では綺麗に整備された茶園ばかり見慣れていたので、自然栽培されている茶の木の間をバッファローが歩き回り、食事(除草)をしている姿はとても印象的でした。

 

タイのチェンマイ北部の農村(Lahu Village)の暮らし

しかし、新型コロナウイルスの流行を機に、インバウンドに対しても会社の中でも職の志向が変わったので転職しました。

私が所属していたツーリズム部門はそのほとんどがインバウンド中心だったこともあり、もろに影響を受けてしまいました。オンラインツアーも行いましたが、やはり直接現地に来てもらうことと比べると難しいです。

鈴木)将来、機会があればもう一度お茶の業界に戻る予定はありますか?

中嶋)できれば戻りたいと思っています。でも、お茶との携わり方も色々あって、中に入ってやっていくのか外の枠から関わっていくのかという問いもありますし、どうやって自分自身のキャリアを形成していくのかについては模索中という感じです。

今の活動としては、国際日本茶協会という団体のメンバーとして世界中のお茶好きが集まるオンラインミートアップに参加したり、活動のお手伝いをしたりなど、少しではありますが日本茶との繋がりを作っています。またカナダ留学時の教授とはご縁があり、2016年に共同著者として研究テーマについて本の一節を書いたのですが、2023年にも新たな本の一節に協力できることになり、今は共同で執筆しています。

今年から茶道も始めたので、今までとは全く違った視点で日本茶に触れられ、日本茶の可能性とその奥深さに毎回魅了されています。日本茶業界で働いていた時に、台湾など世界のお茶についても知る機会があって日本茶以外のお茶にも興味が出てきたので、将来は色々な世界のお茶にも携われるようになれたらいいなと思います。

編集後記

インバウンドによって外国人だけでなく、日本人の若い人にも田舎に来てもらおうという発想は新鮮でした。

今後も中嶋さんのご活躍を応援いたします!

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