第33回とまりぎインタビュー:鈴木 思鶴さん【牧場もタブレットの時代。冷めても美味しいお肉から始まった留学】

2021年10月27日

みなさんこんにちは!トビタテ6期の遠藤です!今回はトビタテハウス清川に住んでいる、しづるちゃんにインタビューをしてきました!牛をこよなく愛しているしづるちゃんの留学のきっかけや現在の仕事の様子など聞いてきました!!

トビタテ!留学JAPANでの留学

国:オーストラリア

期間:8ヶ月間

テーマ:“日本”の和牛を“世界”の和牛に!

しづるちゃんの留学大図鑑はこちらから!

 

日本の和牛と海外のWagyu

遠藤)しづるちゃんの留学しようと思ったきっかけは?

鈴木)日本の牛肉って生産から出荷までとても管理されていて、肉質や肉の形がすごくいいんだよね。日本の和牛の遺伝子が海外に渡って生産された牛はアルファベットのWagyuとして知られているけど、海外で生産された“Wagyu”(日本の牛の遺伝子を持った)と日本の“和牛”が同じものさし上で評価される仕組みを作りたいと思って留学することにしたんだよ。国によって基準は異なっていて、オーストラリアでは日本の和牛の血統が50%以上入っている牛を“Wagyu”と呼ぶんだけど、日本では100%じゃないと“和牛”と呼ばないんだよね。

遠藤)和牛に興味を持ったきっかけはなんだったの?

鈴木)高二の時に佐賀牛を初めて食べたんだけど美味しくてびっくりしたの!同じ牛肉なのにこんなにも違うのかって感動したんだよね!実はその佐賀牛は、友達のお弁当に入っていたお肉だったんだけど冷めていてもお肉が柔らかくて美味しかったの。それで面白いと思って大学で勉強したいと思ったんだよね。

遠藤)冷めてても美味しいお肉って相当いいお肉だね!

(放牧地の好奇心旺盛なWagyu)

 

ITのシステムを牧場に導入

遠藤)今しづるちゃんは何のお仕事しているの?

鈴木)今は畜産IoTのベンチャーで働いていて、ITのシステムを牧場に導入することで生産性の効率を上げるというサービスを展開している会社で働いているよ。

遠藤)例えばどういうシステムがあるの?

鈴木)簡単に言うと、牧場のあらゆる情報をスマホやタブレットで管理できるシステムだよ。今までは牛の繁殖や病気などの情報は全て「台帳」というものに記入して、とっても分厚い紙で管理されていたんだよ。でも私の会社のシステムを導入することによって、牛一頭一頭の情報が手元のスマホでいつでもどこでも見れるようになったの。例えば牛舎に行って体調の悪い牛がいた時に、わざわざ戻って台帳を見るのって情報量も膨大だしその中から瞬時に探したい情報を見つけるのって大変だよね?

遠藤)そんなアナログな管理なんだね!

鈴木)そうなんだよね。だから牛の情報をクラウド上で管理することで、牧場全体を把握しやすいし、紙じゃないから失くすこともないんだよ。他にも、牛の首にセンサーをつけて牛の発情徴候を検知したらスマホに知らせるというシステムもあるよ!

遠藤)発情期を逃すことって何か問題でもあるの?

鈴木)一度発情期を逃すと次の発情期は21日後に来るんだよ。牧場としては無駄がないスパンで牛を育てる方が牧場を運営する上で効率がいいよね。ただただ牛を産業動物として扱っているように聞こえるかもしれないけれど、21日間のあいだのエサや人件費などを考えると、生産性のない空白の21日間が生まれて農家さんにコストがかかってしまうんだよね。

 

自分が動いて切り開く力

遠藤)しづるちゃんはオーストラリアへの留学を経験してどんな力がついて、それが今の仕事に何か繋がっていることとかあるかな?

鈴木)私は自分で動いて切り開く力が留学でついたよ。実は受け入れ先を決めるとき本当にいろんな会社に連絡したんだよね。返信が来なかったり、受け入れがキャンセルになったり。だけど諦めずに動き続けたら次のインターン先の牧場を見つけることができたんだよね。

あとは自分が扱うものを自信持って伝える喜びを感じるようになったね。帰国後は日本産和牛への誇りがさらに強くなって、生産農家さんの想いや情熱を乗せて日本の和牛の流通に携わりたいと思ったから、前職ではヨーロッパにおける日本産和牛肉の流通に携わっていたよ。今の会社でも自分の好きな製品を自信持って伝えられることに喜びを感じているんだよね!

遠藤)しづるちゃんは生産者になろうと思わなかったの?

鈴木)もともとは生産者になりたかったんだよ!!だけど大学で生産者さんと関わったりするなかで、みんな愛情を込めて牛を育てているのを目にしてきたの。そこで現状の流通の仕組みでは価値が伝わりにくいと感じたんだよね!生産者さんが大切に育てた牛を「○○牛」と一元化してうるのではなくて、「□□さんが愛情を込めた牛」という風に売っていきたいと思ったんだよね。

(未来の農業について語りあったインターン先の仲間)

 

本当の意味で農家さんと信頼を築けたらいいな

遠藤)しづるちゃんは今後どうしていきたいって思ってる?

鈴木)お仕事でも農家さんと関わることは多いけど、本当の意味で農家さんと信頼を築けたらいいなって思ってるよ。

遠藤)それはどうして?

鈴木)自分自身いろんな人の繋がりの中で成長させてもらったことが大きいんだよね。人に成長させてもらったことから他の人にも繋がるネットワークを今後自分でも作っていけたらいいな!

遠藤)なるほど!

鈴木)自社のサービスで繋がっている人たちが、他のことでも繋がることができるようになってほしい!例えば、うちのサービスで繋がっている人たちの中で牛舎の設備故障で困っている人がいるとして、牛舎のことは私の会社では扱っていないからどうすることもできないんだけど、すでに繋がったネットワークの中で牛舎の修理に詳しい人に繋げるみたいな助け合いが生まれたら素敵だな!と思って!

遠藤)いい繋がりだね!!これでインタビューは終わりです!!しづるちゃん今日はありがとう!!これからも頑張ってね!

鈴木)どういたしまして!いろいろごちゃごちゃ言ったけど、とりあえず頑張ります!(笑)

 

 

編集後記

「トビタテハウス」という共通点がある私達ですが、しずるちゃんの留学の話を改めて聞いてこんなにも牛に対して愛情をもっているんだって知ることができました!そしてその愛情が牛だけに留まらず、その周りの生産者さんたちなど牛を取り囲む人々にも及んでいるのだと思いました!!これからの活躍に期待しています!!!