第42回 とまりぎインタビュー:山本しずくさん【現地で気がついた障害者に対する支援】

2021年10月26日

こんにちは、トビタテ高校生コース3期生の積千夏です。今回はネパールに国際ボランティアで留学されていた山本しずくさんにお話を伺いしました!ネパールに国際ボランティアコースで留学していたトビタテ1期生は少ないと思うのでとってもレアなお話を聞けました!

トビタテ!留学JAPANでの留学

山本 しずくさん
高校1期
国際ボランティア

 

積)こんばんは、遅くにありがとうございます。

山本)こちらこそありがとうございます!

積)ネパールに留学されていた方とお話するのは初めてです!

山本)少ないですよねー。ちょうど地震があったときだったので、エージェントを通しての留学予定だった人は行けなくなっちゃったんですよね。

積)えー!ってことは、しずくさんはエージェントを通してなかったんですね。ホームステイですか?

山本)はい、ホームステイでした。

積)どうやってホームステイ先を探したんですか!?

山本)私は高校の時にボランティア部に入っていて、そのボランティア部で支援していた先がネパールだったんですよ、それで先生がネパール人と繋がっていて、そこから色々と繋げてもらった感じです。

積)そうだったんですね!留学のきっかけは何でしたか。

山本)そのボランティア部で教育支援の募金をしていて、募金活動はたくさんやったんですけど、その募金がどこに使われているのかは報告でしか知らなくて。実際見たこともなくて、もっといい使い方があるんじゃないかなと思って行ってきました。

 

5つの主な活動

積)留学中はどんなことされていましたか。

山本)主に、5つくらいの柱に分けて活動していました。1つ目は、学校の教育。例えば私立と公立の違いとか都市と村の違いとか、そういうところを見たりだとか。2つ目は、ボランティア部でネパール支援だけじゃなくて、成人の障害者の方の活動を支援することもやっていたので、それ関係でネパールの障害者について学ぶ。3つ目は、途上国と言われているネパールについてインフラを学ぶ、水とか道路とかがどんな状況なのか。4つ目は、震災があった年だったので復興がどのくらい進んでいるのか。5つ目は、ボランティア部での支援先を見に行って、他に必要なことなどを学ぶ。特に活動をしたというよりかは視察という形でしたね。

積)幅広いですね。

山本)そうですね、エージェントを介していないということで、自分のやりたいことを広く浅くやっていました。また、ボランティア部で繋がっていたネパール人の方が、ボランティアなどに積極的な人だったので、色々手配してくださって本当に助かりました。

ホームステイ先の鶏小屋でひよこを数えるお手伝い

 

積)どんなことを手配してもらったのですか。

山本)例えば、もともとその方の家にホームステイしていたっていうのもあるんですけど、村の小学校、特に公立小学校に行きたいって言ったら、連れて行ってくれて通訳までしてくれたり、ネパールでは一人で動けなかったので、JICAとか大使館に連れて行ってくれたり、いろいろな場所に連れて行ってくださいました。

積)すごく優しい方ですね。

山本)本当に。仕事もあるのにね。

 

 

学校訪問

積)公立の学校に行った時にはどんなことをしていましたか?一緒に授業に参加もされていたんですか?

山本)学校には通っていなくて一日だけ都市、日本で言う東京の私立学校に一時間だけ授業を一緒に受けたことはあるけど、それ以外学校は行っていなかったです。他の学校に訪問した時、ネパールのセンター試験みたいな時期と被っていて、学校がお休みだったんですよ。あと、お祭りとかも被っていて。その日は行ったは良いものの試験勉強ばっかりで、あまり話を聞けなかったんですね。でも学校がお休みだった時には、ホームステイ先のネパールの方が子供達を学校に呼んでくれて、話を聞かせてもらったり、折り紙とかをやったりしました。

積)折り紙はネパールでも人気でしたか。

山本)えーっとね、ネパールって日本人がよく行くんですよ。行った日本人がよく折り紙を教えていると思うんですよ。だから、日本人がよく行くところには、私よりも断然上手に折る子どもたちが多かったです。ただ、全然日本人がこないような場所に行くと、折り紙は大人気でした。触ったこともない!折ったこともない!みたいな。とても楽しそうでした。

積)ということは、すごい奥の方まで行かれていたんすね。

山本)そうなんです。ネパールってインフラがあまり整っていなくて、村に行くのに平均6時間くらいかかるんです。どこに行くかにもよるんですけど。私が行ったところは、だいたい片道6時間だったので。そこまで奥に入っていく人はあんまりいないから。

積)それって車ですよね

山本)車で、それも、ホームステイ先のネパールの方が連れて行ってくれて。

積)優しい…。

山本)もう、至れり尽くせりでした。

村の小学校に訪問した時の写真

 

 

「この留学が人生の転機でした」

積)この留学が今に活かされていることを教えてください。

山本)この留学が人生の転機でした。さっき広く浅く見たというお話をしたんですけど、ネパールに行って色々な学校とか障害者施設などをみて、学校って意外と色々な支援が入ってくるなということに気が付いて、というのも校舎を建てたり、ソフト面で言うと、ランドセルやカバン、ノート、鉛筆を送ってくれたりとか。そういうのが結構あるんだなというのを感じて。

でも、障害者に対しては全然支援がないっていうか、障害者って結構忘れられている存在だなというのを感じたんですよ。ネパールの中でも障害者ってマイノリティで、日本でもそうですが。特にネパールだと宗教的なものが絡んできていて、障害があるっていうのは前世の行いが悪いって考えられていたんですよ。昔は。今は流石にそんなことを考えている人は数少ないと思うんですけど。ネパール地震の時、女性・子供・高齢者は支援の対象になっている場合が多いけど、そこに障害者っていうのは入ってくることは少ないという話をネパール人の障害のある方から直接聞いたりして。

それで、元々学校に通う子どもたちに対して何かできたら良いなと思っていたんですけど、そこって私がやらなくても良いなって、むしろ私一人の力よりもNGOとか、そういうところに任せた方がいいんじゃないかなって思って。じゃあ私に何ができるかなって考えた時に、障害者というところにフォーカスを当てて何かしたいなと。それで、今は大学で特別支援教育を専攻しています。将来も、割とそっち方面に進もうかなって思っているから、本当に人生の転機ですね。

 

積)すごい、選択肢も変わりましたね!

山本)私もびっくりしました、本当に(笑)みんなが焦点当てていない中で、自分がせっかくそこに興味を持つきっかけになったというか、そこにフックがひっかがった感じだったから。

 

 

毎年ネパールへ

積)今は障害者に対する対応とかよくなってきていますか。

山本)今は毎年1、2回はネパールに行っているんですけど、物乞いをする障害のある人が減って、それはなんでって聞いたら、障害者施設ができたらしくて。まあ、良くなってるんじゃないかな、でもまだそこの施設に行けていないから一概には言えないんですけど。良くなってると思いたいですよね。私はまだ人に聞くことしか出来ていないので、客観的なものはなくて、難しいですね。

積)今でも毎年ネパールに行っていてすごいですね。

山本)なんか行きたくなっちゃうんですよね、今年も夏に行こうかなと思っています。

積)これからの目標はありますか。

山本)途上国で障害のある人の何らかの役に立てればいいかなと思っています。ファーストステップはネパールで。そのために大学での研究分野のテーマも開発途上国における特別支援教育にしていて。今後、もし大学院に行くなら障害者関係、もしくは開発学系を学びたいかな。

 

編集後記

みんながあまり注目していないところに目を向けて、それを支援し続けていてとても感動しました。また、留学で180度人生が変わるって本当なんだなと実感しました。またお話を聞ける日を楽しみにしています。ありがとうございました。