第128回とまりぎインタビュー:安蒜ひなたさん【味わったことのない孤独感】

2021年11月22日

みなさんこんにちは!トビタテ高校3期生の積千夏です。今日はオーストリアにクラシックバレエ留学していた安蒜ひなたさんの留学体験談です。先生の一言でどん底に落ちても、解決するために努力する安蒜さんの姿勢に刺激を受けました!

トビタテ!留学JAPANでの留学

安蒜ひなたさん
トビタテ高校2期
スポーツ芸術

トビタテ1期生不合格からの

積)留学したきっかけを教えてください!

安蒜)トビタテは好きなことで留学行ける!?と知って、4歳の時から習っていたクラシックバレエで留学したいって思って、トビタテ高校1期生に申し込んだ。だけど、校内で申し込んでいた4人のうち私1人だけが落ちちゃったの。絶対に次は受かりたいと思って、高校2期に同じ内容で応募した!

積)落ちて、もう一度申し込んだんだ!

安蒜)1期に申し込んだ時は、まだ中3だったのもあって書類の書き方もあまり分からなくて、書類選考で落ちちゃったの。落ちてからは、書類の書き方も練習して、2期で受かった。どうしても行きたかったから!

積)どうしてオーストリアを選んだの?

安蒜)色々なバレエの留学プログラムを探している中で、見つけた良いプログラムがオーストリアだった。初めての海外だったし、高校生の純粋な芸術の都に対する憧れもあった(笑)

積)初めての海外だったんだ!現地ではどんな活動したの?

安蒜)最初の一週間がザルツブルクで、最後の二週間はウィーンに移ったんだ。最初に行った場所では、クラシックバレエだけじゃなくてコンテンポラリーも含めたダンスのプログラムで、そこにいた人は全員年上のヨーロッパ人だったのね。私は、プロになるか迷っている時期だったんだけど、そこにいる人はみんな専門的に勉強している人で、そういう人たちと一緒に朝から晩まで、練習していた。後半のウィーンでも同じような感じで、土日以外は毎日レッスンだった。

積)結構タイトなスケジュールだね!

レッスン中の写真

先生からの一言で

安蒜)最初の1週間は寮滞在だったのね。初めての海外、初めての自炊で全てが初めての中で、アジア人0、日本語通じない、共通言語が英語の中で、やっぱり言語の壁にぶつかった。レッスンで自分の踊りに対してフィードバックする時間があって、一人ずつ発言の順番が回ってくるんだけど、もう頭がパニックになっちゃって…英語で、しかもダンスのことをうまく言えるのかって思ったんだけど、自分なりに頑張って言ったのね。そしたら、先生に

「え?あなた何言ってるのか分からないんだけど。」

って言われたの。それで帰りのバスも涙が止まらなくて、寮に帰っても一人だし。誰とも会話ができず、自分の考えはあるのに伝えられないから先生に何にも考えてないって思われちゃう。その日に泣きながら親に電話した。初めて味わったことのない孤独を感じた。どこにも知り合いがいない、帰る場所もない、せっかく機会もらってきたのに、自分に失望ってなったの。
でも、このままじゃ先生に、本当に何も考えてないやつって思われちゃうと思って、次の日に

「私は英語も上手じゃないし、昨日のフィードバックはうまく伝えられなかったけど、私は意志があって、バレエをやりたくてここにきました。だから頑張らせてください。」

って先生に言ったの。泣いて嗚咽しながら。そしたら先生が「わかったよ、わざわざ伝えにきてくれてありがとうね」ってハグしてくれたのがきっかけで、だんだんみんなともコミュニケーション取れるようになったし、上がっていった。

積)それを言われた次の日に行動に移せてすごい…!

安蒜)アンバサダー活動で持って行った白玉団子もみんなに振舞って、最年少だったけど、お姉さんたちともだんだんと仲良くなることができた。

積)それからだんだんと仲良くなれたんだね!心に残っている活動はある?

安蒜)ダンス特有かもしれないけど、即興ダンスを踊らなきゃいけない時に、ある人と踊ってすごく楽しかった瞬間があったの。楽しかったなって思ってたら、帰りに、一緒に即興ダンスした人が「あの時、すごく楽しかったんだよね」って言ってくれて、ダンスで心が通うってこういうことなんだって、すごく感動した。

白玉団子を振る舞っている時の1枚

滞在先が変わって


積)ウィーンでは日本人がいたと思うけど、どうだった?

安蒜)ウィーンに滞在している時は、日本人が何人かいて、やっぱり最初は距離とっていたかな。どうしても固まるのが嫌で…。けれど、だんだんと日本人とも仲良くなって、「もっとみんなに話しかけてみよう!」って巻き込む感じで現地の人とも仲良くなれたんだ。

ザルツブルクでは、最初日本人がいなくてすごく不安だったけど、日本人がいなかったからこそ得られたものもあるのかなと今になっては思う。トビタテの事前研修で一緒になった人にも「日本人いてラッキーって思うかもしれないけど、実際そうでもないかも。行ったらわかるよ」って言われていたのだけど、その意味がなんとなく分かった気がしたの。もちろん、ここで出会った日本の人達との出会いが貴重なものであり、大切な出会いであることは変わらない!今でも連絡を取り合っていて、いつも元気をもらっているんだ。だから、日本人と仲良くしない方がいいとか、固まるのが絶対に悪いことっていう意味ではないの。日本人との出会いも一つの運命だから!

ただ、自分の中の「日本人がいたから良かった」っていう考え方は変わったと思うんだ。

積)新たに考える点もあったんだね!これからの目標はあったりする?やりたいこととか!

安蒜)バレエは今でも好きで続けてるのね。トビタテで留学してからは、海外に目が向くようになったし、海外に出るステップにもなった。これが初めての留学だったから、留学を考えたときに、中途半端な気持ちで行くんじゃなくて、留学の意味を考えるようになったし、目標をしっかり持って行こうと思った。今、私は教育学部で国際交流関係とかチューターをしているのね。日本語ボランティアもしている。去年の春には茨城県のプログラムで日系コミュニティとの交流を目的にブラジルに行ったり、色々な人と関わる中で、今は日本にいるマイノリティのコミュニティに興味があって、卒論にも取り組んでいきたいなって思ってる。

世界に目を向けた教育者になりたい。

安蒜)わたしは教育者になりたいっていう思いは小学生の頃から変わらないんだ。でも今は、世界に目を向けた教師になりたいと思っているの!海外で働くというよりは、日本で世界に目を向けながら、視野を広く持った教師になりたい。トビタテをきっかけに海外に目を向けるようになって、そのコミュニティで出会った人からもたくさん刺激を受けて、本当に自分の価値観に影響を与えてもらったの!だから今の考えを持つようになったのかもしれないな。

積)トビタテがきっかけで色々なことに挑戦しているもんね!

安蒜)留学後、ザルツブルクで出会った人達とSNSでは繋がっていたんだけど、正直、もっと仲良くなりたかったなと思う部分もあったんだ。でも、最近嬉しいことがあったの!そこで出会ったある1人が、コロナが流行り始めた頃に、バレエの衣装の布でマスクを作っています、ってプロジェクトを立ち上げていたの。マスクの作り方とか型のデータが欲しい人がいたら連絡してくださいって投稿していて。数年ぶりに連絡して、「素敵なプロジェクトだね、あなたのプロジェクトを応援しています」ってメッセージしたら、ありがとうってデータも送ってきてくれたから、作ってみたの。そのマスクの写真を投稿したら、何年間も間が空いていたのにまたこうやって繋がれるって最高だよねって投稿してくれて、すごく嬉しかった。

積)そんなことがあったんだ!すごくいい話、留学してからも繋がれるって本当に素敵だよね!

ザルツブルクでの集合写真

編集後記

インタビューありがとうございました!とても明るくてフレンドリーな安蒜さん、インタビューもとても楽しかったです。これからの活動も、心の底から応援しています。