第45回 とまりぎインタビュー:伊藤勇気さん【マイノリティの文化に触れて】

2021年10月26日

こんにちは、トビタテ高校3期の積千夏です。同じく高校3期でモロッコにボランティア留学していた伊藤勇気さんにインタビューしました。

伊藤勇気
高校3期
国際ボランティア

 

積)こんにちは、今日はよろしくお願いします!

伊藤)よろしくお願いします!

 

もっと文化に触れてみたい

積)最初に、留学のきっかけを教えてください。

伊藤)高校2年生の時、1年間ニュージーランドに留学していたんです。そこで、イスラム教の人たちが組んでいたサッカーチームに所属していて、仲良くなった人がサウジアラビア人だったんです。
その時に初めて日本ではマイノリティである文化に触れました。ちょうど日本でイスラム国が話題になっていて、一般的な日本人からの偏見と今、自分の目の前にいるイスラム圏の人とのギャップを感じた。そして、もっと文化に触れてみたいと思って留学しました。

積)私もマレーシアに行った時に、イスラム教が自分のイメージと違っていてびっくりした。現地ではどんなことをしていたんですか?

伊藤)現地では、主に孤児院や学校の修復作業、子供達に英語を教えるのがメインでした。自分で勝手にフィールドワークとして、マーケットでどんなものが売られていて日本に輸入できるものはどんなものがあるのか、調べていました。ニュージーランドにいたときに、ナツメヤシ、ゲーツっていう果実をもらって、それがすごく美味しかったんです。それで現地で食べ比べをしてた(笑)日本ではあまり輸入されてないから。

積)おもしろい!修復作業ではどんなことをしていましたか?

伊藤)ぺンキ塗りをしていました。壊れている部分の屋根を張り替えている人もいました。

積)英語はどんな風に教えていたの?

伊藤)黒板がなかったので、ABCみたいな磁石をトラックに貼り付けて教えていました。

積)基本的なことから教えていたんだね!

伊藤)通っている子達が学校にしっかり行けている子ではなかったので。年齢層も低かったのもあって基本的なことから教えていました。

「伊藤」施設の修復作業中の写真

施設の修復作業中の伊藤さん

 

 

モロッコでの生活

積)モロッコで生活していて、何か感じたことある?

伊藤)イスラム圏だったから金曜日のお昼に、みんな礼拝に行っていて市場には誰もいない状態だったんです。日本は神道とかあるから無宗教ではないけど、社会に影響を教えるほどではない。国によっては宗教が社会全体とか生活にまですごく影響している。食べ物もそうだし、そういう面ですごくギャップを感じた。
日本で共生するときに、すごく問題が生じるだろうなと思って。日本に移り住んだ時に教育上の問題だったり、食べ物のハラルがないとか、問題になりそうってすごく思った。

 

積)留学での経験は何に活かされていると思いますか?

伊藤)専攻が教育学なんですけど、元々異文化や国際協力に興味があったから国際系の学部に進むだろうと思ってはいた。ニュージーランドに留学していたときから教育制度上の違いをすごく感じて、その頃に思っていた教育学への関心が勝って選考を教育学にしました。多文化共生とかトビタテで感じたことがすごく活かされていています。

 

最近、教育行政学の授業で教育法についても扱っていて、法律上、義務教育が認められているのは日本国民だけで国籍が違ったら義務教育が認められていないんです。それを国連からの勧告を受けていることもあって、日本で異文化を受け入れる体制が整っていないなと思いました。
トビタテで見た、日本ではマイノリティの文化を教育の面でどのように受け入れていくのか勉強しているので、今につながっていることだなと思います。

 

積)確かにトビタテの経験がすごく活かされているね!現在の活動についても教えて!

伊藤)AO入試、推薦入試専門の塾を先輩と立ち上げて運営しています。

積)忙しそう!講師として教えてるんですか?

伊藤)講師としても運営もしています。夏季講習をやるかやらないか、何をカリキュラムの中に入れるか、講座の値段も決めています。

「伊藤」英語を教えている時の写真

現地で英語を教えている時の1枚

 

 

地域格差を無くしたい

積)全部だね、すごい。どうしてその塾を立ち上げようと思ったんですか?

伊藤)ニュージーランドに留学していた時から思っていたことなんですけど、日本でも主体的で対話的な学びが言われるようになったけど、それって教科の中に基本的には留まっているんだよね。その教科の中で具体的に学びましょうっていう感じで。でも、他の国だと、まず教科を選ぶ段階から主体的。
日本は、主体的って言いながらも枠組みはしっかりあるので知識に偏っている教育から抜け出せていないのが現状で。その根本的な原因が大学の選抜制度にあって、それが少しずつAO入試の枠が広がっていったら高校教育も変わるかもしれない。だけど、高校側が完全に対応できていない場合もあって。やっぱり高校側がどうしたらいいか分からないことが多いから、生徒が困った時に対応できる場を作りたいと思ったのが始めようと思ったきっかけかな。
関西とか東京にはAO準備できる塾はあるんですけど、地方とかだと情報が入ってこなくて、対策もできないから、地域格差をなくそうという理念で始めた。

 

積)そうは思ってもなかなか行動に移せない人の方が圧倒的に多いからすごいよね。尊敬。
今後の目標は決まってますか?

 

伊藤)大学院に進学したい。多文化を受け入れる教育制度を学んで、研究したい。多文化共生を実現できる教育政策が立てれるかもしれないし、少しでも解決できる立場になれるかなと思って。

積)もう大学院進学を考えているんですね!ありがとうございました。

 

編集後記

トビタテフェスでも活動されている伊藤さん。自分の軸がしっかりしていて、多文化共生への思いを熱く語ってくれました。大学院進学に向けて頑張ってください。ありがとうございました。