第40回 とまりぎインタビュー:天野夏海さん【本当の意味で視野の広がった留学】

2021年10月27日

みなさん、こんにちは!トビタテ高校生コース3期生の積です。今日は、本当の意味で「視野の広がった留学」をされた天野夏海さんの、フェアトレードの専門店で店員としてボランティアをしていた体験談やこれからのビジョンについてをお聞きしました。

 

トビタテ!留学JAPANでの留学

天野夏海
高校2期
アカデミックロング

積)こんにちは、初めまして。今日はよろしくお願いします、お話しながらインタビューを進めていけたらなと思います!

天野)こんにちは、よろしくお願いします!

日常的に私たちが簡単にできること

積)まず最初に留学されたきっかけを教えてください!

天野)私の高校が国際文化科で、授業で課題研究をしていて世界中の社会とか環境の問題を学んで、解決するために私たちが考えようっていうプロジェクトがあったんです。その中で世界中の経済格差や、ゴミ問題を学ぶ機会があって、私たち学生でも何かできることないかなって考えていたんです。やっぱりそういう問題を解決しようと思ったら、起業するとかアフリカでボランティアするとか、ぶっ飛んだ事をしないと解決できないように感じたんです。

でも、そうじゃなくて日常的にもっと私たちが簡単にできることないかなって考え始めて、消費行動に目を向けたんです。というのも、何かを買ってお金をその企業とかサービスとか財に投資するっていうのは、社会がどういう風にあってほしいかっていうのに投票しているのと同じことだから、フェアトレードっていうシステムに目をむけました。

積)すごく良いきっかけですね。カナダではどんなことされていたんですか。

天野)公立の高校で授業受けていました。私の留学していた町は、町全体でフェアトレードを推進しようというフェアトレードタウンに選ばれていて、いくつかフェアトレード商品を扱っているお店もありました。そのお店の一つで、半年くらい店員としてボランティアしていました。そこで、世界フェアトレードデイのキャンペーンを一緒に考えたり、フェアトレード商品を購入されるお客さんとお話をさせていただいていました。

フェアトレード商品を扱うお店の店員として

積)すごく難しそうですね…!店員として活動している時に何が一番難しいと感じましたか。

天野)やっぱり、たださえフェアトレードって一般の方にはなかなか、触れることのないトピックで、フェアトレードの製品を買うだけで、社会にいいことができるというのが、消費者からの目線なんです。でも、そのフェアトレードの中にももっと複雑なことがあるんです。例えば貿易のシステムとか、零細農家さんを守る仕組みがあったりだとか、難しいことがたくさんあるので、それをお客様に説明するのが当時の私の英語力ではできなくて、誤解も招くこともあったので、それはすごく苦労しましたね。

積)お客さんと1対1で接していたんですね。

天野)お店に立っていたので、そうですね。例えばクリスマスプレゼントを購入される方がいたら、こういうおもちゃがありますよとか、こういう食器のセットとかどうですかって言うのと同時にその製品が、どこの国で、どんな素材を使って作られたのか。それがフェアトレードに認証されてその人たちの生活がどう変わったのかを、商品1つ1つを説明していたので、お客様と本当に1対1で接していました。

積)英語力がすごく必要になってきますね。

天野)専門用語とかも難しくて。それに、そういうお店に来られるお客さんって商品1つ1つに対してストーリーを求められているので、すごく色々なことを聞かれるんですね。なので、表現とかもすごく難しかったです。

Ten Thousand Villageのスタッフとして活動している天野さん

世界フェアトレードDAY

積)フェアトレードのキャンペーンではどんな活動されたんですか。

天野)フェアトレードに認証されている街でも、フェトレードを知っている人は一部の人に限られているので、もっと多くの人に知ってもらいたいということで、5月の世界フェアトレードデイに、お店の前にブースを設置しました。そこで、フェアトレードとかエシカルファッションについての情報誌を配りながらコーヒーの試食会を一緒にしました。また、世界中から色々なフェアトレードの製品が集まってくる中で、イランとか中東地方で作らていれる※ラグとか、フェアトレードの製品の中でもハイクオリティな物を、所得が高い層の方々に見てもらおうと、実際にラグを作られている生産者の方をお店に呼んで、*ラグを作る過程を説明してもらう発表会を企画しました。

積)楽しそう!お客さんたくさん来そう!

天野)めっちゃ楽しかったですよ(笑)世界フェアトレードデイのキャンペーンは町の中心部にあるお店で、街角でやったので、色々なお客さんに足を止めていただいたんですけど、ラグの方は正直、あんまり上手くいかなかったんですよね。やっぱり高価な商品を変える人は限られていますし、エキゾチックなデザインがあまり興味を持ってもらえなかったかな…。あと、宣伝にも問題があったのかなと(笑)

積)え!宣伝活動もされていたんですか!

天野)そうですね、宣伝はFacebookとかinstagramの運営をしたりとか、ポスターを作成して、他のお店に置いてもらえるように周っていました。

積)宣伝活動から参加されていたんですね…!!!

天野)ボランティアでも二週間とかだと、あまり密に関われないじゃないですか。でも、半年もしていると、だいたいその組織の動き方とかが分かってきたので、それはすごく長期留学の大きなメリットだったなと思います。

世界フェアトレードDAY(5月第2土曜日)に、フェアトレードを宣伝した時の写真

 

ヴィーガンの生活

積)帰国してからこの留学での活動がどのように活かされているのか教えてください。

天野)数え切れないほどあります!が、大きくまとめたら3つになります。
1つ目は最初にお話したように、社会問題に対して何かできることがないかなと思って、消費者行動に目を向けたんです。でも、フェアトレード以外にも色々な方法があるなと思って、今はヴィーガンの生活をしています。というのも動物愛護だったり、お肉とか魚は、野菜を食べるよりも環境に負荷が大きいんですよ。その動物食品を食べないという選択で、社会とか環境に良いメリットがいくつかあるっていうのを留学中に知って、自分のライフスタイルにすることによって「視野が広がった」んです。

それは、フェアトレードのあり方だけではなく、もっと広い意味で消費行動、どんなことに自分がお金を使って、社会がどんなことになってほしいかを考えるって言うのは、フェアトレードだけにとどまらず、ヴィーガニズムっていう生き方だったり、プラスチックを過剰に消費しないとか、色々な意味でもっと自分の生活の中でできるエコなあり方を広げられたなと思います。

積)その生活はどのくらいされているんですか。

天野)留学中にビーガンになってから、もうすぐ3年くらいです。今は、大学の食堂にベジタリアンに対応した食事がないので、それを移行するプロジェクトに関わっています。もっと日本でもできることあるなっていうのを留学中に感じて今行動に移せているので、活かされているなと思います。
2つ目は英語を伸ばせたことです。私は今、経済学部で環境資源経済を勉強しているんですけど、環境問題とか資源の枯渇問題とか勉強するときって、多くのリソースが英語で、研究資料とかレポートを英語で読むことになるので情報を入手できるツールを得たというのは本当に大きいです。
3つ目は気持ちの面で、留学前は自分自身や物事にリミットをかけていた気がするんですよ。ここまでやったら、もうこれ以上はいけないとか、勝手に自分の中でリミットを設けていたので、留学してから、すごくいい意味でオープンマインドになりました。何事もまずは受け入れてみる精神もあるし、例えば、世界中旅してみたいなって思っていて、どうせ無理だって勝手に頭の中で思っていたんです。でも、自分一人で旅に行ってみて「あ、できないことってそんなにないのかな」って思えるようになって。
トビタテでcomfort zoneから出ろって言うじゃないですか。それを本当に体感できた。ワードだけで理解するんじゃなくて、自分の怖い域から出た時に本当に自分の可能性を伸ばせるということが、自分の経験から分かったというのは、人生が充実したものになる大きな基盤かなと思いました。

Fair Trade, organic, Veganで使われたパンフレットと手作りクッキーのパッケージ

 

今後のビジョン

積)将来の目標はありますか。

天野)ビジョンとして目指していることは留学前からも変わらないです。
学生でお金もコネもなくて、環境問題とかに関心がない人でも、少しずつでもできる社会や環境に良いこと、具体的に言えば、お肉を食べる量を少し減らす、ファストファッションを避けるとか、日常の小さな行動をみんなができる社会になるよう役に立てたらなと思っています。また、そういうアイデアをビジネスコンテストで広げている会社とか団体で将来、自分の能力が役に立てれば良いなと思っています。

 

*ラグ【rug】
部屋全体に敷きつめるのではなく、ソファの足元など、床の一部に敷く厚手の敷物。◇「ラグマット」ともいう。
出典 講談社家とインテリアの用語がわかる辞典について

編集後記

本当に色々な意味で「視野が広がった」留学をされて、留学で学んだこと全てが今に活かされていて、しかもそれをずっと継続されていることや将来のビジョンを語ってくださった姿がとても素敵で、本当にそういう社会になってほしい、私も何か日常で小さなことから始めてみようと強く思いました。