第77回:トビタテ!アフリカ留学特集!第3弾:古川拓実さん【カメルーンと日本を大好きなお米で繋ぐ】

2021年8月30日

皆さんこんにちは!トビタテ8期の吉田梨乃です。

トビタテ!アフリカ留学特集!第3弾は、古川拓実さん(理系、複合・融合系人材コース・7期)です!
古川さんはカメルーン
のJICA事務所のインターンを通して「陸稲Nericaの普及サポート」をテーマに留学していました。

実家で農業を営まれているバックグラウンドから、学生時代は佐賀大学農学部でお米の研究に取り組まれていた古川さん。
大学3年時にふと「アフリカ行ってないな」と思い立ち、カメルーンに留学🇨🇲

カメルーンと日本を、大好きなお米を通して繋いでいきたい🌾

留学を経てそう語る古川さんは、カメルーンでどんな経験をされたのでしょうか?
トビタテ!アフリカ留学特集 第3弾スタートです!



吉田)古川さん、本日はよろしくお願いします!カメルーンは私も気になっている国の1つで、お話聞けるの楽しみです〜!

古川)ありがとう!こちらこそ宜しくお願いします!

吉田)カメルーンに留学って珍しいですよね!海外にはよく行かれていたとか?

古川)そうだね。高校の修学旅行でオーストラリアに行ったことがきっかけで海外に興味を持ち始めて、大学に入ってからシンガポールとアメリカに2週間ずつ学校のプログラムで短期留学する機会を頂いて、異文化に飛び込んでいくのにとことんハマってたな(笑)

吉田)豊富な留学経験をお持ちで!

古川)でもある時、「あれ。俺先進国しか行ってないじゃん」っていうことに気が付いて。大学2年生の春休みを使って人生で初めての「途上国」であるフィリピンに行くことにしたんだ。ここでの経験がカメルーン留学のきっかけとなったな。

カメルーン留学の決め手:フィリピンの貧困地域での活動

吉田)現地ではどのようなことをされたんですか?

古川)2週間のプログラムで貧困問題を学ぶツアーで現地のゴミ山や、ストリートチルドレンの住む場所でコミュニティ形成に携わるインターンを行ったよ。でも最初の日に4分の3の滞在費をタクシーでぼったくられて、2週間極貧生活を強いられることになったの(笑)

吉田)大変!でも初めての「途上国」に足を運んだんですもんね。

古川)そうだね。でもフィリピンの人々の優しさに触れられるきっかけになったからある意味よかったかな。お金がなくてもタクシーのおじさんが「あそこまで乗っけてあげるよ」と言ってくれたり、迷子になった時に助けてくれたり…心が温かくなる交流を沢山出来たのが思い出深い!

吉田)困ってる人を助けるその優しさは私も見習いたいです。インターン先ではストリートチルドレンと関わっていたんですよね?

古川)そう!すごく印象的だったのは皆「笑顔に曇りがない」ことだったな。信じられないくらい泥だらけになるまで遊んで、子供達に「将来の夢は何?」って聞くと「先生になりたい」「医者になりたい」とか目をキラキラさせながら夢を話してくれて、日本の子供達が負けてるんじゃないかなって思ったんだよね。もちろんフィリピンのストリードチルドレン達の選択肢が少ないことが原因かもしれないけれど、あのキラキラした目がとっても眩しかったのは忘れられないな。

吉田)素敵ですね。でも夢を叶えるためにはその子達が乗り越えなければいけない様々な障壁がありますよね…

古川)まさにそれが生きていく上で必要なスキルを身につける「教育」だなって現地で気づかされたな〜。言語能力だとか、働く上で必要な技術がないと学校をドロップアウトしなければいけなくなったり、貧困の負の連鎖から脱却できないし。実際にご両親が出稼ぎをしていて、長女が兄弟の子育てをするために学校をやめなきゃいけなくなったりする話も聞いたよ。

吉田)容易には解決できない難しい課題ですね…

古川)そうだね。インターン中も沢山無力感を味わったな〜。でもフィリピンの子供達が置かれている現状と日本の対比させた時に「日本人って幸せなのかな?」と疑問が浮かんだんだよね。

吉田)そう思うようになったのはなぜですか?

古川)親が出稼ぎに行っていて、一人で兄弟の子育てをする長女の子に「一番幸せを感じる時っていつ?」って質問をしたの。そしたら「家族全員が揃ってご飯を食べている時」って答えていて。日本とフィリピンでは幸せの定義が違うのかもしれないけれど、じゃあ「人を幸せにする」ためにはどうしたらいいんだろう?って疑問が思い浮かんだな。滞在中は総じてモヤモヤしてたけれど、先進国ではできなかった経験をさせてもらって、学びが多かったしフィリピンで過ごした時間はとっても思い出深い。ぼったくられたりもしたけど今ではいい経験(笑)

そしてカメルーンへ🇨🇲

吉田)現地で色んな考えを巡らせたんですね。やっぱり、初めての"途上国"での経験がカメルーン留学の決め手ですか?

古川)そうだね。3年生の前期に「あれ、俺アフリカ行ってないじゃん」って思って、大学生のうちに行ってみたいなって気持ちが芽生えたんだよね。そしたらたまたま研究室の教授から「古川くんカメルーンいく?」って言われて(笑)卒業研究もかねて、現地のJICA事務所で半年間インターンをしようと思ったの!

吉田)すごい偶然!(笑)カメルーンではお米分野での活動を?

古川)うん!「陸稲Nericaの普及サポート」JICAの専門家の方々とともに、カメルーンの米農家さんににフィットするものを支援する事業を行っていたよ!カメルーンの色んな地域に種子を配って実際に使ってもらったり、どのようにして持続的にお米を生産できるか日々チャレンジの連続だった。

吉田)現地で感じたことはありますか?

古川)そうだな〜、半年間いたからこそ感じた国際協力の難しさを痛感したかな。支援者と被支援者の意識のすれ違いだったり、政府との関係性だったり。インターン中も上司に「古川くんは何に貢献できるの?」と聞かれて、必死に考えたし手足も動かしてみたけれど結局見つからなくて。でもまずはカメルーンについて学ぶ姿勢が一番大切だと感じて、300言語もあるカメルーンの現地語で上司の話す幾つかの言語で「こんにちは」「ありがとう」「美味しい」の3つの言葉を覚えて、インターン先の現地スタッフとの距離を詰めるようにしてみたの。

吉田)300言語も?!すごすぎる(笑)確かに、まずは自分が「現地から学ばせてもらう」というスタンスはとても大切ですよね。

古川)まさにそうだね。最初は試行錯誤の連続だったけど、最後は自分がいたことを何かしらの形で証明したいなと思って「日本での自分の経験をシェアすること」にしたの。実家が農業を営んでいることもあって「自分で汗水垂らしてお金を稼ぐことの意義」とか、何よりも「お米の美味しさ」を現地の人に伝えることもできたから、結果的には少しでも貢献することができてよかったかな!まずは自分がカメルーンの人々から沢山学ばせて頂いて、それを日本で生かして、またカメルーンに戻ってこようって思えたな。大変なこともモヤモヤしたこともあったけど、試行錯誤できていい経験だった!

これからもカメルーンと日本の架け橋に🌾

吉田)帰国後はどのような活動を?

古川)カメルーンでの経験を元に卒業研究を仕上げて、無事に卒業できました!今は福岡の実家に戻って、両親と農家をしています。カメルーンでは精米、稲刈りなど全て手作業でやるのに対して、日本では多くのものが機械化されているんだなって知って、その違いも改めて痛感したかな。カメルーンではJICAの専門家の方々の元で学んだ経験から、農家をする上で配慮すべき環境や気候の知識についても教えてもらったことは、今活かせているなって感じる!

吉田)いいですね!最後に、今後の目標や将来の夢を聞かせてください。

古川)自分の関心がある「食育」という分野で国境を超えた友好関係を築くきっかけを作りたいなって思っていて、いつか現地で一緒に働いていたカメルーン人を日本に呼んで、お互いの子供と一緒に農業をさせたりできたら最高だなと考えているよ!あとはカメルーンでやっていたように、日本でも自分の大好きな農業の魅力を伝える活動を播種体験を通じて行っています。

吉田)日本とカメルーンをお米を通じて繋げるってとても素敵ですね。ぜひその瞬間をまたインタビューさせてください!今日はありがとうございました。貴重なカメルーンでの経験を聞けてよかったです🔅

古川)こちらこそありがとう!カメルーンでの留学生活を共有できて嬉しいです!


編集後記

「現地の人から学ばせていただく」という姿勢、そして現地で答えのない問いに悩み、頭を巡らして考えるのは留学の醍醐味であり、成長に繋がる大事な過程だったりするのかも!と思わされました。
そしてカメルーンに300言語も現地語があるというのは驚きですね〜
多種多様な文化のあるカメルーンに思わず行ってみたくなりました!🇨🇲

古川さん、ありがとうございました😊

*次回のトビタテ!アフリカ留学特集!第4弾3月13日更新です。
果たして、次のトビタテ生の留学先はどこでしょうか?🤔 次回も要チェックです。
ヒント:世界最長の大河で文明が発達したあの国🇪🇬)