第87回とまりぎインタビュー:江口和範さん(前編)【チーズの魅力に魅せられて、日本のチーズ産業に変革を】

2021年10月27日

トビタテ5期生・事務局インターン生の福永夏輝です!突然ですが、みなさん“チーズ”はお好きですか?

私はスウェーデン留学中、チーズとワッフルを食べるためだけにオランダへ遊びに行った経験があります(笑)

第87回とまりぎインタビューでは、多くの人を虜にするチーズの魅力に魅せられ、「日本の風土にあったチーズ製造」を研究するために一年間オランダで修行を積んだトビタテ9期生の江口和範さんにお話を伺ってきました!

トビタテ9期生・理系複合人材コース。将来はゴーダチーズ職人になりたい宮崎大学農学部で畜産を学んでいる4年生。福岡出身、趣味はサッカー、読書、音楽を聴く事。好きなチーズはゴーダチーズ、ブリーチーズ、ゴルゴンゾーラチーズ。農業、食育について幅広く興味がある。

チーズの多様性と可能性

福永:トビタテ随一のチーズ好きである江口さん、ずばりチーズが好きな理由とは?

江口:もともとチーズが好きで、シンプルに美味しいということですね。それにチーズって勉強してみると奥が深くて、世界に1000種類以上のチーズが存在するんです。1000種類以上あったらみんなそれぞれ自分好みのチーズが見つかりそうですよね。

福永:1000種類以上ものチーズが存在しているんですね、驚きです…。チーズファンから、チーズ製造を追求しようと思ったきっかけとなる出来事はありましたか?

江口:もともと高校生の時から農業系の職人になりたいと思っていたのですが、大学2年生の時に宮崎のチーズ工房と繋がりがある友人にお願いして見学しに行ったチーズ工房で見た”職人である社長のチーズを作る手さばき”がかっこよくて…。そこからチーズ職人になろうという志が生まれました。

江口さんがチーズ職人を志すきっかけとなったチーズ工房「ダイワファーム」

福永:チーズ工房での社長の手さばき、私もいつか見てみたいです!チーズ職人を志すようになり、そこからどのような経緯で留学に結びついたのでしょうか?

江口:高校生の時にオーストラリアのケアンズで1週間のホームステイ体験とイギリスへの研修の経験から「母語ではない言語や文化と触れ合うことの楽しさ」「自分が知らないことを知ることの楽しさ」を学び、大学生になったら留学に行くことを決めていました。

オーストラリアにホームステイしていたホストファミリーとの記念写真

ただ、留学をするにしても目的と軸をしっかり持っていた方がいいなと感じていました。「チーズと留学を一緒にできたら最高だよね」ということで国際農業者交流協会の「海外農業研修」を利用して「チーズ留学」をすることに決めました。

配属先はオランダの東、ドイツの国境側にあるダルフセンという小さな村の駅から6キロ離れたところにあるチーズ工房だったのですが、酪農研修のみの場所に割り振られる可能性もあったので僕は運が良かったですね(笑)

チーズの本場?オランダでの修行の日々

福永:チーズ留学開始後、まずどのような活動からスタートしたのでしょうか?

江口:2019年の3月から留学が始まり、最初の3週間はドイツ国境近くのオランダでホームステイをしました。チーズ研修が始まったのは3月末からです。研修先の工房を見てその規模の違いに圧倒されましたね(笑)牛の数は日本のチーズ工房とあまり変わらないのですが、チーズの量がとにかく多かったです。

福永:さすがチーズ大国オランダ!研修を始めてみて、どうでしたか?かなりハードワークなイメージがあるのですが…。

江口:最初の頃はとにかく緊張していたこと、ボスの英語がめちゃくちゃ訛っていて何を言っているのか全然わかりませんでした(笑)わからないことは繰り返し聞いたり、伝えようとする努力をしたりする内に10日くらいで慣れましたね。

研修開始一か月後の新チーズお披露目会時に第一カットを任せてもらった時の写真

福永:チーズ研修の一日はどのようなスケジュールでしたか?

江口:チーズを作る日と作らない日で異なるスケジュールなのですが、チーズを作る日は2000リットルの牛乳を使って200キロのチーズを作るための工程を1日で全て行います。

チーズを作る日の1日は7時頃に起床、8時から研修がスタートしました。いつもはボスが朝搾乳するのですが、ボスがいないときに搾乳をする日は朝の5:30起きですね(笑)

8時研修開始後、初めに取り掛かる作業は大きいチーズ用の型と小さいチーズ用の型の洗浄です。チーズ作りを開始するのは11時頃からで、機械に酵素と乳酸菌を入れて牛乳を固め、その後撹拌をするなどなど、色々な作業をして最終的に全てが終わるのが19:30頃でした 。

1日に2回あるコーヒー休憩の時間を抜いても1日10時間くらい働いていましたね。研修時間は長時間でしたが、自分が好きなことなので全然問題なかったです。

チーズ製造中の写真

福永:1日10 時間…チーズ職人魂を感じます。研修中にしんどいと感じた時はありましたか?

江口:スモールチーズがたくさん売れる11月~12月のクリスマスシーズは体力面がきつかったですね。

このシーズンは、700~800個くらいのスモールチーズが棚に並んでいて、小さいチーズは1ヶ月熟成させて出荷するので4日の内にチーズにワックスを塗るコーティングを完了させなければいけませんでした。

クリスマスシーズンに人気のミニゴーダを並べている写真

ゆっくりしていると次のチーズが生産されてくるのでチーズ棚のスペースがなくなってくるし、次のチーズ製造の準備もしなきゃいけないしで、仕事時間は変わらずいつもの1.5〜2倍速のハイスピードでこなしました(笑)

10キロもある大きい熟成チーズを反転させる作業などもあり、想像以上のハードさでしたね。12月に忙しすぎて二日間寝込んだこともありました(笑)

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