トビタテ生母校訪問レポート 〜 夢をかなえるということ 〜
先日トビタテ大学生コース3期生の田井村依里さんが母校へOG訪問を行いました!その時の様子をレポートにまとめました!
1月22日(水)鹿児島県鹿屋市でトビタテ生OGが母校を訪問し、郷里の後輩たちに自身の夢や留学体験について語った。今回、鹿屋市立田崎中学校の学級活動の時間に、91名の一年生に向けて、同校卒業の先輩として授業を行ったのは、トビタテ生OGの田井村依里さん。大学等コース3期生として2015年から2016年にインドネシアに留学し、現在は医師として鹿屋医療センターに勤務している。
まだあどけなさの残る中学一年生だったが終始メモを取るなど真剣に耳を傾けていた
トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラムの特色の一つに、帰国後海外体験の魅力を伝える伝道師(エヴァンジェリスト)として、留学機運を高めるというミッションがある。鹿児島県は文科省の調査では高校で留学を体験した生徒の数が全国平均を下回っている。その現状を受けて、県出身のトビタテ生が母校を訪問してその体験を共有するという企画に、大勢のトビタテ生が協力を申し出てくれた。田井村さんはその中の一人。母校訪問企画の第一弾として、鹿児島県教育庁、鹿屋市教育委員会のご協力の元、今回の授業が実現した。
当日は生憎の曇り空、底冷えのする体育館に大勢の生徒が集まった。少し緊張気味の中学一年生に対して、田井村さんが同郷の先輩として柔らかな鹿児島弁で語り始めると、自然と会場の雰囲気が和んだ。授業のテーマは「夢をかなえるということ」、そして「留学ってどんなこと」。まず田井村さんは自身の生い立ちや、田崎中学校に通っていた当時のことを、時折写真を交えながら話してくれた。スクリーンに映し出される写真をよく見ようと、話を聞く生徒たちの頭が動く。今日講師として自分たちの前に立っているのが、遠い存在ではなく同じ校舎で学んだ先輩なんだと実感がわいたようだ。そこで、「みんなの夢はなんですか?隣の人と話してみてください」と生徒に投げかけると、戸惑いながらも徐々に活発に話し始めた。お笑い芸人になりたいという生徒と田井村さんの間で交わされた、「好きな芸人は」「サンドイッチマン」「あっ、君似てるね」というやり取りに、会場がどっと沸いたところで、いよいよ本題へ。
小さいころ病院に行くことが多く、そこからぼんやりと医師になりたいと考え始めた田井村さん。小学校の卒業文集には、自身の夢を「医者」と記していた。中学時代、友人に「いつか大人になったら私を治してね」と言われたことで、その夢がはっきりとした輪郭を持ち始める。地元の鹿屋高校に進学し、そこで学ぶ間に、どうしたら本当に医師になれるのか具体的に考えるようになったという。一つ一つ目標を設定し、努力を積み重ねることでそれを達成していく。「難しいこともたくさんあるけど、投げ出さなければ何にでもなれるよ」と、後輩たちを励ました。
田井村さんの小学校時代の卒業文集には「医者」の文字が
鹿児島大学医学部に進学すると、さらに広い世界に関心をもつようになり、在学中にはカンボジアやフィリピンでのボランティアに従事した。短期の海外渡航を繰り返し、やがて長期留学を決意。一年間休学して、インドネシアのサムラトンギ大学の医学部で、同じように医師を目指すインドネシア人の若者と共に、病院実習や調査活動を通して学んだ。この際、利用したのがトビタテの奨学金。全国の大学から集まった出願者の中見事に採用された。中学一年生にとってはスケールの大きな話でも、親戚のお姉ちゃんのような地元の先輩が話すことで、少し身近に感じることができる。インドネシアでの一年間を通して体験した、「世界は知らないことで溢れてる」、「異国で自分がマイノリティになってみよう」、「みんな違ってていい」、「世界中にたくさん友だちができる」といった言葉一つ一つに後輩たちが関心を持って耳を傾ける。そのおかげか、田井村さんの留学を支えたトビタテの制度を紹介する「高校生の留学ドキュメンタリー」動画も最後まで真剣な眼差しで視聴してくれた。
「一つでたらいいほうかもしれません」と事前に言われていた質問タイム。先生が促す間もなく次々に手が上がり、時間いっぱいまでなんと12名の生徒から質問があった。「医師としてのやりがいを感じるのはどんな時ですか?」「留学にはどれぐらいお金がかかりましたか?」「中学生の時の成績は何番でしたか?」「留学する時に親から反対されませんでしたか?」等々。具体的でいい質問が出たことに、見学された校長先生も驚いておられた。
話を聞くだけではなくたくさんの質問が飛び交う双方向の授業になった
アンケートでは、なんと参加した91名全員が授業を通して留学への関心が高まったと回答。留学への関心度を100ポイント満点で換算したところ、授業前と後では平均して約40ポイント増加した。「留学をすることで、新しい文化や人に会えたり、世界中に知り合いができたりなど、留学の良い点が見つかりました。僕は英語やコミュニケーションが苦手で、全然興味はなかったけど少し興味がわきました」「話を聞いてすごく留学してみたいって思いました。高校に入ったら絶対にしてみたいです。そのために英語をたくさん学んでいきたいです」といった、留学に対して前向きな感想が多くみられた。
最後は大きな拍手で締めくくられた今回の授業。年代のそれほど離れていない母校の先輩が、自身の留学体験やキャリアについて語ることが、大きなインパクトや意味をもつということを、田井村さんと田崎中学の一年生が証明してくれた(事後アンケートの結果も検証予定)。鹿屋市では引き続き2月に、第一鹿屋中学校で、トビタテ生OG善福さんの母校訪問が決まっている。トビタテ生の持つ情熱に、県教育庁や市教育委員会の方々の協力が合わさり、今回の活動が実現した。既にトビタテ生は8,000名を数え、目標の1万人に近づいてきた。全国に散らばるトビタテ生を通して、このような活動を他地域で水平展開することも可能なはずだ。鹿屋市での小さなアクションが波紋を広げることを期待したい。
生徒も協力して作った「渡り廊下」田井村さんの名前もはっきり残っていた