第74回:とまりぎインタビュー 二階堂 倫子さん【進路を変えたフィリピン留学】

2021年10月27日

みなさんこんにちは!トビタテ8期の吉田梨乃です。今回は小学校からの友人でもあり、同じトビタテ8期でフィリピンに留学した二階堂倫子さんにインタビューを行いました! 

トビタテ!留学JAPANでの留学 

所属:関西学院大学 総合政策学部 国際政策学科4年

コース:多様性人材コース8期生

留学:2018年04月〜2018年08月 フィリピン

テーマ:「ボランティアが身近になる日本社会を目指して」

留学のきっかけ

吉田)久しぶり!今日はよろしくね!

二階堂)よろしくね〜!!

吉田)留学から帰ってきたのは1年以上前だと思うけど、留学に至ったきっかけとなった出来事はある?

二階堂)高校2年生の時にオーストラリアの現地校に交換留学をしていたんだけど、ホストファミリーがチャリティーイベントが好きでよく連れて行ってもらっていて、ボランティアやチャリティが身近に溢れてるオーストラリア社会が日本と比べてすごく魅力的に見えたんだよね。通っていた高校でもFree Dress Dayという私服登校日があって、生徒がそれに参加して募金活動をする催しが行われていたり、ある日突然クラスメイトが持参の綿菓子機を持ってきて綿菓子の売り上げをケニアの貧困地域に寄付するとか(笑)「楽しい」「面白そう!」っていう感覚で参加しやすいボランティア活動を、日本にも取り入れたいなって思ったのが発端かな!

写真:オーストラリア現地校 Free Dress Dayの様子

吉田)なるほどね!他国はボランティアへのハードルが低いし、国民性や文化として根付いているのかもね。

二階堂)そうなの。Worlding Giving Indexというボランティアや寄付の指数を計る国際ランキングがあるんだけど、日本は144ヵ国中128位なんだよね。1995年の阪神淡路大震災がきっかけで「ボランティア」のワードが広まったから歴史としては浅くて、他国と比べるとまだ新しい概念で…

吉田)そんな中倫子は日本でもボランティア活動を積極的にやってたのが印象的!

二階堂)うん!大学で所属するHabitat for Humanityを通してフィリピン、インド、スリランカで家建設活動に参加していたよ。長期休暇の度に2週間ほど現地に渡航してボランティア活動をするんだけど、楽しい反面疑問や課題も多く感じられたし、何よりも長期間現地に入って貧困層のサポートをするボランティア活動をしたいなって思っていたんだよね。

吉田)フィリピンに留学を決めた理由はある?

二階堂)日本で気軽にボランティアに参加できる環境作りの一つとしてボランティアを紹介したりする派遣事業に取り組む大きなNGOを日本で起業したいなって考えていて、そのモデルを見るために、フィリピンのローカルNGOであるPBSP(Phillipines Bussiness Social Progress)という貧困削減プロジェクトを行っている職員1000人規模の団体でインターンを決めたの!

写真:インターン先で主催した七夕祭り

スラム街に住むある姉妹との出会い

吉田)現地団体で働いてみて気づいたことは何かあった?

二階堂)そうだね、大規模な団体であればあるほどなのかもしれないけど事務作業に追われたり、職員全員に理念が共有されていなかったりしてモチベーションのズレが垣間見えたんだよね。実際に組織で働いてみて、NGOで働くことは自分のやりたいことではないと感じたかな。

吉田)何か印象的な出来事はあった?

二階堂)インターン先の支援地であるスラム街に行く機会があったんだけど、そこで出会った姉妹が忘れられないな。お姉ちゃんの方が病気で、妹とお母さんの3人暮らしで1日100円の生活をしていて、お兄ちゃんもいるみたいなんだけどドラッグに溺れてしまったっていう話を聞いたの。支援のおかげで姉妹は学校に行けていたんだけど、タガログ語(※フィリピンの現地語)しか使わない学校の授業で英語を堪能に喋れないし、大学に進学できるのかどうかも正直危うい経済状況で…支援の限界を感じたというか全部を全部サポートすることは不可能なんだなっていう現実に直面したかな。

写真:フィリピンでの活動地・マニラのスラム街にて

吉田)現場で無力感に近いものを感じたのかな?

二階堂)そうだね。留学前は「ボランティアを身近な社会にする」と意気込んでたけど、それは結局机上の空論でしかないし、大学で知識を身につけたとはいえ、いざ支援を必要とする人を目の前にしてもたかが大学生の自分には何もできないと不甲斐なさを痛感したな…

吉田)姉妹との出会いが留学する前に持っていた考え方を変えてくれたきっかけになったんだね。

二階堂)うん、無力感を感じたからこそ現地で人々のためになるようなスキルを磨きたいと強く思った。日本でボランティアを身近にするはもちろんやりたいんだけど、それよりも今支援を必要としている人々を自分の力で「私が何かしたい」という思いが芽生えたんだよね!

帰国後の進路

吉田)留学を終えて今まで考えていた進路とは変わった?

二階堂)うん、来年秋からハンガリーにある大学の医学部に入学して医者を目指すことにした!

吉田)え!!!!!

二階堂)「途上国の人々のために何かをしたい」と思ったら一番ニーズがあるのは医者だと考えたんだよね。健康的であれば教育を受けられて仕事にも就けるし、それが結果的に貧困から脱却する大事な要素であると気づいたんだ。去年の8月末に帰国して10月から受験勉強を開始して、無事に合格できました!

吉田)すごいね。おめでとう!これからの目標とかは考えてたりする?

二階堂)まずはしっかり勉強して医者として一人前になること。でもまだ「ボランティアが身近な社会」作りは挑戦したい気持ちがあるし、医者になることは目的よりもある意味人々を助けるツールでしかないかなと思っているかな。ボランティア活動にはこれからも携わって行きたいと考えているよ!

吉田)なるほどね!最後に、倫子の考えるボランティアの魅力を教えてください!

二階堂)今年10月の台風19号によって被害が大きかった東北地方でボランティア活動を先日行ってきたんだけど、やっぱりボランティアっていいな〜って思ったな。現地の人との交流はもちろん、台風被害地域で土砂を搔き上げたりして地面が見えるまで立て直せた時の達成感や、人助けをすること自体が利害関係のない純粋な気持ちで、心の豊かさを育むものだなって。もっとボランティア活動が日本で主流になったらいいなと強く思う!

吉田)災害が多い日本だからこそ復興支援にもっと気軽に人と人が手を取り合えるようになったらいいよね!ハンガリーでの留学応援しています!

二階堂)ありがとう!人生3回目の留学、頑張ってきます!

編集後記

トビタテの創設者である船橋さんは「20代までに3回留学する!」とよくおっしゃっていますが、それをまさに体現したのが二階堂さん。なんでも積極的に挑戦するアクティブな姿勢と目標に向かって前進する姿はトビタテ生らしいパワフルさと勢いがあり、私自身も刺激になりました!