第66回とまりぎインタビュー:仲野 由貴子さん【カカオを追いかけてミャンマーへ】

2021年10月27日

こんにちは!トビタテ6期の遠藤恵子です!私は国際協力や国際開発をアカデミックに学んでいた人や、現場でゴリゴリ活動していた人またはビジネスの視点から活動していた人を中心にインタビューしていきたいと思います!

まずは私が住んでいるトビタテハウスの住民であるゆっこ(ハウスでの愛称)にミャンマーでの活動などをインタビューしました!

トビタテ!留学JAPANでの留学

留学先:ミャンマー/ヤンゴン大学
期間:10ヶ月
仲野 由貴子さんの留学大図鑑はこちら

 

 

ミャンマー!カカオ!!チョコレート!!!

遠藤)一緒に住んでるけど、ゆっこのことは「ミャンマー、カカオ、チョコレート」っていうイメージしかない(笑)改めて詳しくトビタテの留学内容を教えてもらっていい?

仲野)本当にチョコレートをひたすら食べてミャンマーのチョコレート市場がどうなのかを調べてた!後はカカオ農園と児童労働の現状も調査してたよ!

遠藤)なんでそのテーマで留学しようと思ったの?

仲野)東京外国語大学に通っていてもともとビルマ語専攻だからミャンマーに留学をすることは決まっていたんだよね。留学前からカカオと児童労働について調べていたけど、全然文献やデータがなくて。情報持っていそうな団体に問い合わせのメールをしてみたけど返事が全く返ってこなくて(笑)。将来的にミャンマーで働きたいという気持ちがあったし、チョコと児童労働の現状を知るためにも現地に行って自分でデータ集めるしかないな!って思った。私にとって留学はチョコやカカオと児童労働の現状を知ることが目的だったんだよ。「こういうことしていたから留学します」というよりかはむしろ「こういうことがしたいから留学したい」って感じだった!トビタテに受けようと思った理由は、先輩が受けていたからかな!

 

 

現在の活動

遠藤)今現在何やっているか教えて!

仲野)4月から慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科で公衆衛生を学んでいるよ。

遠藤)公衆衛生って聞くと理系の分野というイメージがあるけど、、

仲野)そうそう!医学部の人が勉強する学問のひとつで、大学院で教えている先生はお医者さんが多いんだよ。日本ではあまり聞かないけど、英語ではPublic Health、ビルマ語では「ピットゥー チャンマーイェー」(人々の健康)という意味だよ。生活習慣、ガン、感染症、メンタルヘルス等を扱うのが公衆衛生で、例えば喫煙とガンの関係性も公衆衛生の範囲なんだよ。

遠藤)そうなんだ!学部の時はビルマ語専攻だったけどなぜ公衆衛生を学ぼうと思ったの?

仲野)ミャンマーでは仕事があっても、健康上の理由により働くことができない人も多い。普通に健康的に働ける状態が100%だとしたら、体調が悪くて80%の状態で働いた結果、さらに体調を崩してしまって最終的には働けなくなるという現状は改善すべきだと思う。だから仕事だけではなくて健康面も学ぶ必要があると思ったんだ。大学院では公衆衛生の研究、一方でメーカーズの活動では雇用創出という実践の両方やりたいんだよね。

*メーカーズ……Makers Universityの略。NPO法人ETICが主催するプログラム

仲野)大学院は研究の手法や知識をアカデミックに学ぶ場。日本国内での実習はあるけれども、ミャンマーで調査をするには自分で行かなければならないんだよね。メーカーズでは仕事を作るということをやっているんだけど、その場所を研究対象として公衆衛生を見ることができる。まず1年目は統計学などを学んで、分析手法を身につけて、2年生の春学期からミャンマーで研究ができたらいいなって思ってる。

 

 

もうひとつの活動

遠藤)私の知り合いのトビタテ生にもメーカーズの人が数人いるし、留学が終わった後にメーカーズ考える人は少なくないと思うんだけど、メーカーズを受けようと思ったのはどうして?

仲野)トビタテは教えてもらう場ではなく主体性を持って活動計画を練ったり留学中も活動したりするけど、それだと次の段階に行くには限界を感じたんだよね。途上国を扱いたい私にとって、自分勝手な行動によって誰かを危険な目にあわせてしまったり、他の人が死んでしまったり、他の人が不幸になってしまう可能性だってある。だからその先を知っている人たちに学びながら動きたかったんだよね。メーカーズには国際協力という分野があったし、それに同じ国際協力という分野に入ったトビタテ生もいたことから、メーカーズで何かヒントが見えるのかと思ったから応募したんだ。

遠藤)いまメーカーズでやっている、またはやろうと思っていることは?

仲野)実はどういう手段で何をやるかはまだ模索中なんだよね。だけどミャンマーの子どもの貧困に対してアプローチしたいと思ってるよ。

遠藤)そう思ったのはどうして?

仲野)留学中に目にした光景が衝撃的だったからかな。大学の近くの路上に物乞いの子供たちや、大学の食堂で働いている子供たちがいるの。子供たちは朝になるとどこからともなく現れて、日暮れとともにどこかへ消えていく。警察は道路の反対側にいる。ある日、路上で子供が亡くなっているのを見かけたんだけど、次の日にはまた違う子供が現れていた。彼らのために色々な団体が支援しているにも関わらず、今も子供が亡くなっていくというのも事実。だったら私は供給源となるところをなんとかしたいと思った。

遠藤)じゃあ、メーカーズが終わってもミャンマーと関わり続けていくことには変わりないってことだね!

 

 

今後の展望

遠藤)今後どうしていきたい?

仲野)「支援する」っていう言い方は好きじゃなくて、、、。一緒に幸せになるということを大事にしたい。親しくしてくれて助けてくれたミャンマーの人たちと一緒に彼らの暮らしがもうちょっと良くなったら嬉しい。いずれはその人たちのさらに周りの人たちもちょっとずつ良くなっていってほしい。

遠藤)というと???

仲野)例えば、1人に1000万円稼いで欲しいんじゃなくて、1人から連鎖して10人が100万円ずつ稼ぐことができることの方が理想。

遠藤)誰かに優しくしてもらった経験がある人は、他の人にも優しくできるみたいな!

仲野)社会で一番下の層の人たちの生活や収入が少しずつ改善していくだけで、ミャンマーは変わっていくと思う!現地の人たちが、薬がほしい時に買える、誰かの誕生日にちょっといいものを食べる、学校が始まる時にノートが買えるとかができるくらいのお金でいいと思ってる。ちょっとずつでもいいから幸せな人が増えていってほしい。

遠藤)すごいゆっこらしい!インタビューありがとうございました!

(3.000人規模の瞑想センターの見学最終日、水上にある仏塔に案内してもらった時の様子)

 

編集後記

同じシェアハウスに住んでいるゆっこですが、改めて聞くと意外と知らない一面を知ることができました。インタビュー中、ミャンマーやカカオに対する愛がにじみ出ていたゆっこ(笑)そんなゆっこだからできる「ミャンマー、カカオ、チョコレート」で貧困に立ち向かう社会を実現してほしいと思いました。ちょっとした幸せが広がっていけば、きっとみんな幸せになるはず!!!