2021年8月30日
こんにちは!トビタテ8期・事務局インターンの吉田梨乃です!
前回第5弾までお届けした「トビタテ!アフリカ留学特集!」を本日より再開します!
とは言っても、「アフリカ留学」ってあまり馴染みないですよね…
2014年に開始したトビタテ!留学JAPAN ですが、大学等コースの11期までの採用者は5,116人。
このうち、アフリカ地域を留学先として選んだトビタテ生は全体の4.6%、計238人です。
トビタテ生全体でも圧倒的マイノリティなアフリカコミュニティですが、とてもユニークで魅力溢れる方々ばかり。
「トビタテ!アフリカ留学特集!」ではそんなトビタテ生を続々と紹介させて頂きます!
第6弾の今日は「日本とアフリカが生む新たなビジネスチャンスを探る!」をテーマに、
東アフリカのケニア🇰🇪&ルワンダ🇷🇼に留学した水口あすかさん(6期・新興国コース)です!
人口3千人の宮崎の小さな町で生まれ育ち、「広い世界をみてみたい」と上京。
気付いた時にはアフリカに魅了され、留学先として1年間滞在された水口さん。
そんなアフリカと日本の架け橋となり、エネルギッシュに活動する水口さんの素顔に迫ります!
私たちと変わらないアフリカに生きる人々
最近はアフリカビジネスもとても熱い中、留学テーマである「日本とアフリカが生む新たなビジネスチャンスを知る!」はとても興味深いですね。前からアフリカに関心があったんですか?
実は私、高校3年生まで宮崎県で、幼少期は五ヶ瀬町っていう人口3千人くらいの小さな町に過ごしていて、大学進学と同時に上京したの。狭い世界にいたからこそもっと広い視野の中で世界を見たいって憧れがあって、気づいたらアフリカにいた(笑)
すごい(笑)東京ですらたくさんのチャンスがありますもんね。
そうなの!早速大学で日本ルワンダ学生会議という学生団体に出会って「同世代のルワンダ人と友達になりたい!」と思って入会したの。アメリカとか韓国、中国など学生交流が主流なところではなく、あえて自分にとって未知であったアフリカの人々と関わりたいと思ったんだよね。実際にルワンダ人に初めて1年生の時に会って、友達になって「あ、私たちと変わらない人間だ」って、今思えば当たり前のことを思ったなあ。
写真:日本ルワンダ学生会議のメンバーと
素敵ですね!団体の活動でルワンダにも実際に行かれたことはあるんですか?
うん!毎年長期休暇で2週間ルワンダに行くツアーがあって、それに参加したり個人的にも行ったりしたよ。私は「友達にまた会いに行く感覚」でルワンダに行ってたんだけど、周りからは「怖そう」「気をつけてね」という声をかけられたんだよね…
確かに、ルワンダだとジェノサイドの歴史が取り上げられることも多いので、もしかしたら「怖い」というイメージを持たれやすいのかもしれないですね。ルワンダに限らず、アフリカ全体も💦
その通りだね。当時足を運んだのは2週間だけだったから、もっと深くアフリカを探求して「日本とアフリカのビジネスの可能性」を探ろうと思って、大学を休学して1年間ルワンダとケニアに行くことにしたの!
アフリカと色んな関わり方がある中で、なぜ「ビジネス」にこだわったんですか?
ビジネスにこだわった理由は、日本で、ビジネス塾に通っていたこともあって、ありたい姿を達成するための課題解決として事業をするには、”継続性”が何よりも大事だと学んだからかな。そこで、利益を作ることに興味を持って「ビジネス」にテーマにした。
なるほど!それでケニアとルワンダに!この2ヶ国を選んだ理由はありますか?
1つ目は、英語圏だから「パートナーとして一緒に何かをやる」ことに対して言語の壁が他言語圏に比べて少ないと思ったこと。2つ目は、日系企業が多く進出していたり、日本人の起業家が多い場所だから!ケニアの首都ナイロビでは在留邦人が800人もいると言われているから、日本とアフリカのビジネスの動きを見る上でうってつけの地だと思って。
そんなに日本人の方が多く活動されているんですね!面白そう!それぞれの留学先ではどのようなことをしていたんですか?
ケニアではジョモ・ケニヤッタ農工大学(JKUAT)でJICA(国際協力機構)とケニア発の企業でインターンとして活動して、ルワンダでは日系企業でインターンシップしたよ!
アフリカらしい温かさと自由さを満喫!ケニアの大学生活
ケニアのジョモ・ケニヤッタ農工大学(JKUAT)ってどのような大学なんですか?
ケニアの名門大学でアフリカ中から学生が集まってきているの。もともと大学自体が1980年にJICAが建てたり、京都大学がカリキュラム作ったり、日本との関わりが深くて!
へえ!知らなかったです!その関係でJICAのインターンがあるんですね。現地ではどのようなことを?
e-Learningの導入や、現地学生への日本語授業、実際に大学の講義を受けることまで幅広くしてきた!ケニアではエイズ、コミュニケーション学、開発学の3つが必須科目なんだけど、それをe-Learningでカバーするためのカリキュラムを作ったり、学生のサポートに携わったよ。
写真:e-Learningの導入に取り組む様子
e-Learningが始まっているのすごいですね!
だよね!でも実際には試行錯誤することも多くて…JICAとしての立場でこのプロジェクトに携わってたから、本音で話してくれない学生が多くて、学食を一緒に食べたりしてなんとか本音を聞き出そうと向き合ってみたりしたの。
なるほど。日本語教育の授業をしたり、現地の授業を実際に受けたりしたのも、そのためだったんですか?
うんそれもあるかな!JICAインターン生ではなく、私も同世代の仲間として現地学生と対等な視線でいたかったんだよね。もともと日本語教師養成講座を受講していて教える経験があったから、日本語のクラスは担当することになって!現地学生は日本の農業技術や漫画やアニメに関心高くて日本が「好き」な人が本当に多くって!日系企業も協力している日本語弁論大会の東アフリカ大会に向けて、原稿作りから色んなサポートをしたよ。
写真:日本語の授業の様子
面白いよね!景品ではキャノンのいいカメラが貰えるからみんなやる気に満ち溢れてて(笑)書類審査があったんだけど、クラスの4人出した中で3人も通過してなんと1人は優勝したの!
すごい!!!! 現地学生のポテンシャル半端ないです。
写真:日本語弁論大会に出場した学生たちと
やっぱり「好き」の原動力って強いなと感じたなあ。私も本気で彼らと取り組んでいたから、感極まって泣いてしまったの。そしたら、ケニア人は感動して泣くことはないらしく、泣いている私を見て、目の調子が悪いの?体調が悪いの?…と心配してくれましたけど(笑)
生徒と近い距離で関わっておられた様子が想像できる素敵なエピソードですね。
同世代かつ同じ学生の身分だし友好関係を築けたなあ。実は、せっかく大学にいるから講義を受けてみたいなと思って学事にお願いしたら、学生じゃないけど即学生証作ってくれて…所属学部はなぜかJICAになってた(笑)
本当(笑)もう学生証もらったからには現地の学生になりきるぞ!と思って色んな授業受けて友達が増えて、同世代の学生同士の関係性を築けたな。ケニアには学祭の文化はないと知って、JAPAN CULTURAL DAYというイベントを現地学生と一緒に企画したりもしたんだ。
AKB48のダンスパフォーマンスステージとか、カラオケ大会とか、折り紙体験、浴衣体験、お箸体験とかありとあらゆる日本文化に触れるイベントで、唯一の日本人学生だったからもうあちこちのブース移動して色んなことを体験してもらうために教えたりして、めっちゃ大変だった(笑)あとは資金集めが大変だったなあ。
写真:JAPAN CULTURAL DAYの企画メンバーと🇯🇵
なるほど。本当にいろんな角度から大学にかかわったんですね!
アフリカらしい温かさと自由さを満喫したケニアでの大学生活でした!☺
ビジネスで繋がる!日本とアフリカ
ケニアでは現地企業でもインターンをしていたんですよね?
そうなの!JKAUTはJICAも深く関わる大学だったから、日本との結びつきが強くて。せっかくケニアに来たからには、日本的なやり方ではなく、本当に現地に根ざしたケニア人しかいないところで働きたい!と思って、ケニアで就活したの!
だよね(笑)実はたまたま出会った企業の社長の方がABEイニシアティブで私の地元・宮崎大学に留学していた経験があって、宮崎が大好きな方だったの。だから私が「宮崎出身です」って言ったら即雇ってくれたんだよね〜!
まさかケニア人とジモトークできると思わなかった(笑)自分は地元・宮崎の小さな世界から逃げるように世界に出たけど、こんな遠い果ての地でまさか宮崎を共通項に繋がれるとは思わなかったからすごく嬉しかったな。
素敵です。実際にローカルな企業に入ってみてどう感じましたか?
実はこのインターンシップは有給だったんだよね。学生っていう立場関係なくしっかり成果を認めてくれて、それに対する対価を払うっていうスタンスが素敵だなって思った。アフリカンタイムとか言われるように、時間にもルーズだったり、日本の当たり前が当たり前じゃないことももちろんあった。だけど、本質的には一緒だなって感じたな。
写真:インターン先の社長さんと
ローカルに溶け込んでいくあすかさんのポテンシャルに圧倒されます。隣国ルワンダでは日系企業でインターンをしたんですよね!
うん!マカダミアナッツの日系企業でインターンしていて、栽培の現場から製品生産、プロモーションまで現地スタッフのルワンダ人と同じ目線で経験することができたよ!私は主に、マネージメントを経験したんだけど、多くの失敗を得て、事前に細かくタスクを細分化した状態で「誰が、何のために、何を、どうやって、どこで、いつまでに…」と5W3Hで抜け漏れなくメンバーに伝えることが大事だと学んだなあ。
起業→挫折。でもまだアフリカと関わり続けたい。
ケニアとルワンダで様々なことに挑戦された留学後、どのような進路に進まれたんですか?
帰国後は、アフリカでマイクロクレジット(小規模融資)のフィンテック事業をするスタートアップに設立前から携わって、設立後もCo-Founder兼COOとして事業に関わっていたよ。具体的には日本で余った農機具をアフリカの農家さんに貸す事業だったんだけど、なかなか思うように事業が進まず…結局、その会社が事業をピボットしたタイミングで私はその会社から離れたんだよね。
起業は成功しなかったけれど、その後ご縁がありAAICというアフリカのスタートアップに投資とコンサルタントをやっている会社でインターンする機会をいただいて!ANZAというサイトを立ち上げて、日本企業のアフリカ進出支援をするプラットフォームを作ったりしたの!よかったら見てみて!現在は、3人のインターン生に引き継いだんだけど、実は全員トビタテ生なんだよ~ とても素敵なサイトですね!紆余曲折を経て、現在は就職されたのでしょうか?
そう、リクルートに就職しました!実はルワンダでインターンしていた会社の女性起業家の方がリクルート出身ということもあって、それに憧れて。営業や企画を一通り、リーダーとしてリードできるレベルまでになっていたいと思って、就職を決めました。
あとは、兼業がOKな会社なので、5月に日本語教育の法人を立ち上げたの!日本語非母語話者と母語話者とを繋いで「言語や宗教、社会経済的背景の差異にかかわらず誰もが豊かな人生を築くことができる日本社会の実現」や「世界における日本ファン増加に貢献すること」を目指して事業を行っていく予定!
素敵ですね!ケニアで日本語教育に携わった経験がそのきっかけだったのですか?
そう!日本語を通じて、海外の人と関わるのはやっぱり面白いなと思って!加えて、今後も増え続ける外国人(非日本語母語話者)が、日本語や日本の生活に少しでも不安を軽減できるようなサポートを、自分の専門である「日本語教育や多文化共生に関する知見」を生かして関わりたいと思ってる!
なるほどぉ!これから増え続ける様々なルーツを持つ方々にとっても、すごくニーズがありそうな事業で面白そうです。アフリカとはこれからも関わり続けていこうと思っていますか?
もちろん!ゆくゆくはアフリカに行きたいし、JAPAN CULTURAL DAYや日本語弁論大会で仲良くなったケニアの友達とはまだ連絡も取ってて、今後一緒に何かやりたいなと思ってるんだよね。でもまずは自分がスキルアップして、彼らの苦手な部分を補えるくらいの実力をつけたいと思ってる。
現地で起業するとなるとまず信頼出来る人を探すの大変ですもんね。あすかさんはすでにケニアやルワンダと深い関わりがあると思うので「現地でいつでも何かできる準備をする」という発想、とても素敵です!
ありがとう!人との出会いや関係構築がこの留学で得られた最大の財産だと思ってるし、今仕事で美容系に携わってるから、アフリカで熱い美容系の事業を現地で将来的に立ち上げられたらいいな〜と思ってる!まだ具体的に何をするかははっきりと決まってないけど、これからもアフリカと関わり続けたいという思いに嘘はないです!
感染症が収まってまた現地に行ける日が早く来るといいですよね。大変な時期ですが、アフリカへの思いを胸に一緒に乗り越えましょう✊ 本日はありがとうございました!
本当にそうだね!こちらこそありがとうございました〜!
過去のトビタテ!アフリカ留学特集記事
エネルギッシュでアフリカへの思いを胸に奮闘し続ける水口さんとのお話、とても刺激的でした。過去に特集したトビタテ生のアフリカ留学が気になる方は、ぜひ下記から覗いてみてくださいね👀
こんな面白い人たちと繋がりたい!というトビタテ生はぜひトビタテ!アフリカ会へ!