第84回とまりぎインタビュー:飯島春貴さん(後編)【愛とフィリピンとココナッツオイル、次の世代が活躍できる場を創る】
目次
ココナッツオイルへの挑戦、始動…!!!
福永:2019年8月よりトビタテ生としてフィリピン・サントニーニョ村での留学が始まり、念願のココナッツオイルの生産プロジェクトに着手…現地でのプロジェクトはどのように進んでいったのでしょうか?
飯島:当初の計画ではココナッツオイルの品質検査・現地生産から始まり、そのオイルを輸出して日本国内で石鹸の生産をするという計画だったのですが、紆余曲折ありまして(笑)
福永:トビタテあるあるですね(笑)
飯島:ココナッツオイルの生産プロセスは村人たちの間で共有されており、作り方もわかっている。けど、日本国内でのココナッツオイルの品質検査や米ぬか油などココナッツオイル以外で石鹸に使用する材料の調合の度合いの検査もあり、諸々検査が終わるまで8月後半から10月後半までの約2ヶ月かかりました。
8月の頭に、その検査に必要なオイルの試作品はISRのメンバーとサントニーニョの村人ともに制作しました。運搬中の道中、乗っていたバンの運転手のミスでオイルの入った瓶が破損し、急遽作り直しなどもしましたね…。(笑)その後、検査終了までは、村人と一緒に時間を過ごしたり、村人のライフスタイル調査などを行なっていました。
福永:検査結果待ちの間でもアクションを起こし続けるあたり、流石です。
飯島:11月から12月にかけては「フィリピン政府からココナッツオイル製造工場への支援を受けられるかもしれない」という情報がNGOのスタッフから入ってきたので、彼らとともに労働関係の政府機関や例のココナッツ省にも足を運んで支援を受けるための調査をしていました。
福永:フィリピン政府から支援を受けるためのハードルにはどのようなものがあったのでしょうか?
飯島:支援を受けられるか受けられないかの基準が、サントニーニョ村の中で 新しいココナッツオイルの組合をつくることができるか否かだったんです。この新しい組合のメンバーを集めるところが、本当に大変で…。
既に村には国から支援を受けている農業組合が既に存在していて、その農業組合に所属している村人は新しく作るココナッツの組合に入ることはできない。でも村のリーダー的役割を担うメンバーたちの多くはすでに農業組合に入っているという状況でした。
それで、新しい組合のメンバーを集めようと12月から動き出したのですが、フィリピンでは12月に入る前からクリスマスシーズンが始まり、新年のイベントや村のお祭りなどのイベントが立て続けに入ってきてしまい、気がついたら留学終了間近の2月になってしまっていました…という。
福永:まさかココナッツ組合を作れるか否かが大きな障壁になるなんて…。どこでどんな壁が立ちはだかっているのか、実際に挑戦してみるまでわからないですよね。
飯島:それで、「ちょっと待てよ…留学中に目指していたことは“ココナッツオイルの日本への輸出”だったけど、まだ何にも成し遂げられていないじゃん!村人たちがココナッツオイルを作れたとしても、ココナッツオイルを安定的に製造する場所もできていない、道具も揃っていない、ダメじゃん!」と。
何はともあれ、ココナッツオイルの組合を作らないことには何も始まらないということで立ち往生していたところ、トビタテ留学の最後の週に奇跡がおきまして…。
福永:トビタテ留学最後の週に何が起きたんですか!?
飯島:フィリピン留学最後の週に「留学お疲れ!」と会いに来てくれたISRの旧代表とトビタテ生の友人がきっかけで、現地でお世話になっていたNGOの方との留学期間終了の1週間前から会うことになりココナッツオイルプロジェクトの現状について相談することができました。
「実は新しい組合のメンバー集めに苦戦していて…」と相談すると、留学最後の日の夕方にNGOスタッフの方が「よし、じゃあ今から少し村に行くか」と一緒に村に出向いてくれて、サントニーニョの村人20〜30人を集めて全村人の名前をリストアップしながら農業組合に入っているかいないかを確認してくれたんですね。自分が1ヶ月以上かかっても出来なかったことをものの5分・10分でやってのけてしまう…と(笑)
挑戦の先に見えたもの
福永:嬉しいような、切ないような…。何はともあれ留学最後の日に次のステージへ一歩踏み出すための成果が生まれたんですね。
飯島:さっさとNGOの人に相談して新しい組合をつくるという事自体をお願いしてしまえばよかったな、と思いましたね(笑)もちろん村人と日本人との信頼関係も大事にはなるけれど、サントニーニョ村自体のビジネスを外の人が監督して回すべきではないと。
やっと村人と信頼関係を築き上げた頃に、自分が先頭に立ってやるのって違うなと気付きました。結局、村人たちが自分たちで主体的に動いてやっていかないと意味がないですしね。それをNGOがまとめてココナッツオイルの製造を行なって、それを日本にいる僕たちが買い取ることができると。
福永:現地のことは現地の人たちで、自分たちは日本サイドで輸入の体制を整えるという役割分担が必要だったということを最後の方で悟ったんですね。
飯島:はい、悟りましたね(笑)無理に手足を伸ばしてやるべきではないと。あともう一つは活動の母体があくまでサークルなので、日本の受け入れ態勢が整っていないということも課題でした。そもそも日本での受け入れ態勢、ビジネスサイドが整っていないと現地の人にもココナッツオイルの製造お願いできないよね、など後から考えてみればわかるようなことも結構ありましたね。
トビタテココナッツお兄さんの描く未来
福永:日本帰国後はどのようなアクションをしていく予定なのでしょうか?
飯島:やっぱりココナッツオイル石鹸ビジネスをきちんと形にしたいですね。今年四年生なので、卒業するまでには成し遂げたいと思っています。
ただ、ISRというサークルの中で実現することは難しいと思っているので、サークル活動とは別の活動としてビジネスサイドをサポートする団体を自分が作っちゃおうと思っています(笑)なので今商業簿記の勉強や輸入の勉強などをしているところですね。
あとサークルのOBOGの中には、学生の頃に想いを胸に活動していたのに社会人になった途端その活動を辞めてしまうという人が多いので、そのような人たちが社会人になった後も活動できる場を作れたらいいなと思っています。
福永:トビタテ留学後もココナッツオイルの野望は止まらない、むしろその想いがどんどん加速している。と。
飯島:はい、そうですね(笑)他にもクラフトビールをつくっているトビタテ生から「製造工程で出てしまう麦芽のカスを使って石鹸を作ろう」との話が舞い込んできて6月下旬あたりに作戦会議をしてきます。あともう一つ、製品の裏側に込められた想いを伝えることに特化したwebサイトを立ち上げたいなと考えていて、絶賛立ち上げメンバー募集中です。
福永:フィリピンをこよなく愛するトビタテココナッツお兄さんこと飯島さんのこれからの挑戦がすごく楽しみです!本日はありがとうございました。