2020年6月26日 2021年8月30日
こんにちは!トビタテ8期・事務局インターンの吉田梨乃です。
「トビタテ!アフリカ留学特集!」第8弾の今回は、東アフリカに位置するエチオピア🇪🇹で「エチオピアシープレザーとファッション」 をテーマに留学されていた伊藤知会さん(5期・新興国コース) です!
伊藤さんは留学後、またエチオピアに戻り、在外公館として2年間駐在されました。
一体何が、伊藤さんをここまでエチオピアに惹きつけるのでしょうか?その秘話に迫ります!
小学生から夢見た地、エチオピアへ。
伊藤さん、本日はよろしくお願いします!トビタテを使ってエチオピアに留学された方、初めてお会いしました!
早速ですが、そんな渡航者の少ないエチオピアに行かれた理由を教えてください!
私の家族は昔からワールドミュージックが好きなんだけど、1984年にエチオピアで起こった飢餓を受けて音楽家が結成したバンド・エイドというチャリティープロジェクトで作られた曲「Do They Know It’s Christmas? 」をたまたま聞いていたの。それを契機に、音楽家の一人であるボブ・ゲルドフがエチオピアの飢餓を見に現地に足を運んだ時のインタビューを読んで、「エチオピアの人は笑顔の作り方を知らない」という風に言っていて…。それって単純にどういうことなんだろう?と思って、いつか自分の目でエチオピアをみたいって感じたことがきっかけかな。
そう、実は大学受験のAO入試でもエチオピアの飢餓について書いたんだよね。海外志向だったから国際関係学科に入って、在学中も色んな場所を旅した。だけど、それで満足していた自分がいて…あっという間に3年生の就活の時期になった時に、ゼミの先生とフィールドワークをしにフィリピンに行ってね。
「私は旅行者の視点ではなくて、もっと深く現地に関わりたいんだ。」っていう根底にあった自分の思いを思い出したんだよね。就職する前に私はエチオピアに行かなければ、と使命感を抱いて、トビタテに応募して留学を決めました!
そして小学生から夢見たエチオピア行きを果たしたんですね!テーマは「エチオピアシープレザーとファッション」だと思うのですが、それにした理由はありますか?
文系で卓越した専門スキルがないと思っていたんだけど、もともとファッションが好きで、何かをプロデュースするのが好きだし得意かもって思って。エチオピアって日本では今はあまり馴染みがない「シープレザー」が産業として有名だから、それと自分が好きなファッションを組み合わせよう!と思ったんだよね。現地では国が管理してるレザー機関でインターンをして、ファッションショーを企画したり、南部諸民族州でフィールドワークしました!
めちゃくちゃ面白そうですね。念願の地、エチオピアに降り立った時の心境は覚えてますか?
行く直前は何度も飛行機が着陸するシーンを夢で見て、その度に感動して泣いていたけど、現実では感動する前に到着してしまって、気を引き締めないとスリに合うぞと思ってて(笑)ただ飛行機から降りた瞬間深く深呼吸して「あぁこれがエチオピアの空気」と噛み締めた記憶もありますね。
写真:首都・アディスアベバの街並み
緊急事態宣言発令の危機!? ファッションショー企画
シープレザーの機関でインターンをされていたんですよね!
そうそう。 エチオピアのシープレザーは最高品質といわれているんだけど、その事実を知っているのはごく少数の人たちで、どのような環境の人々がこのレザー産業に関わっているのかを知りたくて。実際に屠殺場へ行き、鞣し工場を見て、生産工場で働く人々と関わり、デザイナーたちと会ってきたり…そして行ったのがファッションショーを企画しました!
うん!現地の服飾学生を卒業した未来のエチオピア人デザイナーと、レザーデザイナーと共に、エチオピア人にも世界の人にも楽しんでもらえるファッションショーを企画したの!エチオピアでは「ファッション=お金持ちのためのもの」という考えが根付いていて、お金を持っていない人とファッションはどうしてもかけ離れてしまうんだよね。「ファッションはみんなのものだ」というメッセージを込めて、この企画を立案したの!
ファッションショー開催前に国で非常事態宣言が出て、急遽会場を変更して建物の屋上でやることになったんだけどね(笑) 非常事態宣言が出たために警察や軍からのショーの開催許可証が必要になって…その為何度も交渉を試みたり、ショーのスポンサーを集める為に何十もの企業をまわったりして。結果、なんとかショーを成功することができたんだ。
異国の地で言語や文化の壁がありながら企画をするのは想像できないほどの忍耐力や根性が必要だと思います…
そうだね、この留学ではだいぶ忍耐力ついた(笑)でも同時にエチオピア人の優しさにも救われたなあ。もちろん留学開始当初は現地語であるアムハラ語を全然話せなかったんだけど、生活していく中で徐々に身につけていったり、英語も少し通じるからそれでやり切ったかな。でもエチオピアってすごく穏やかで優しい文化があるから、困ってる人を助ける精神があるんだよね。あとは外の者への尊敬もあって、彼らの優しい人柄にとても救われたの。もちろん分かり合えないところもあったけれど、それ以上にエチオピアの温かさが好きになれたと思う!
それは知らなかったです!エチオピア行ってみたくなります…
でしょ(笑)実は日本人にも似てるところがあって親近感も勝手に感じててね。例えば大勢の前で「質問ある方」ってスピーカーが言ってもなかなか人前で手あげて質問する人少ないと思うんだけど、エチオピア人も実はそうで…シャイな人が多いの。個別では質問するのにね(笑)あとは席がいっぱいある中で前からは座らないで、後ろから詰めがちなところとか、結構似てるところ多いの!
確かに、親しみ湧きます(笑)レザー機関のインターンシップではショー以外にされたことはありましたか?
うん!JICA(国際協力機構)の方々と協力してAll African Leather Fairというイベントにエチオピアシープレザーのブースを設置させてもらって、様々な国の大使やバイヤーにアピールする機会をもらえた!ディスプレイ方法にもこだわって、日本からプロのディスプレイデザイナーさんにも来ていただいてブースを作ったの。「やはり日本のブースはすごいわね」と言って興味を抱いて立ち寄ってくれる人もいて嬉しかったな。エチオピア人も本当にこれは自分たちの国の物かと驚いていたのも印象的。
写真:シープレザーのブース
多種多様な文化を持つエチオピアに魅了
伊藤さんが着られてるエチオピアの伝統衣装、すごく素敵です。アフリカ布って日本でもだんだん流行ってきていますけど、エチオピア特有の柄は割と落ち着いたデザインで日本人向きかもしれないですね。
ありがとう!これはエチオピア正教会の十字架が刺繍されてる伝統衣装なの。 エチオピアは80以上の民族からなる国で、それぞれの民族がそれぞれの文化を持っていて、多種多様なんだよね。
エチオピアは人口の半々くらいでエチオピア正教徒とムスリムの人がいるんだけど、エチオピア正教会はエチオピア独自の宗教なの。キリスト教だからイエス様を信じているんだけど、エチオピア暦に基づいて祝日が決まっているの。エチオピア暦では今エチオピアは2011年で、エチオピアの新年は9月なんだよね。
だからクリスマスは新暦(グレゴリウス暦)で1月、イースターもカトリック教会とは1週間くらいずれてて。これは旧暦(ユリウス暦)で祝っているロシア正教会とかと同じなんだけど。キリスト教だけど豚は食べることを禁じられていたり、毎週水曜と金曜はファスティングと言って、動物性のタンパク質を取らないの。
イースターやクリスマス前は1ヶ月以上ファスティングしたりする式たりがあるんだよね。1年の200日以上はファスティングしていると聞いた!このファスティングが始まる前や、ファスティング後は街中結婚式だらけで。みんなお祝いにはお肉とかのご馳走食べたいからね。私も結婚式沢山行ったなぁ。ウェディングケーキではなく、牛一頭の開かれた肉が壁にかけられ、新郎新婦でナイフを持って十地を切ってたよ。そしてそのお肉は生のまま食べるの!エチオピア人は生肉大好きなの。
写真:少数民族の人たちの祝い方とエチオピア正教会の祝い方を両方やっている友人の結婚式
写真:エチオピア正教のイベント(ティムカット)
写真:参加したエチオピア正教会のイベント(ティムカット)
独自の宗教を信仰していること知りませんでした。他のアフリカの国々のようにエチオピアも多民族国家ですよね。多様性が過ぎて興味深いです。
そうそう!実は南部諸民族州という少数民族の方々が多くいる土地へ行って、彼らの伝統的衣装や、レザーのあり方を調べるためフィールドワークにも行ってきたりした!
写真:南部諸民族州にて
面白いよねー!「アフリカ」ってどうしても一括りにされがちなんだけど、一国だけ見てもこんな多様性がありすぎるからぜひエチオピアに来て、文化の多様性を肌で感じてほしいな!彼らが自然界といかに共存しているかっていうのをフィールドワークを通して見させてもらって、今後のエチオピア産業の可能性や、私自身がどのようにしてエチオピアと寄り添って活動していけるか考えさせられる経験だったなあ。
再びエチオピアへ!2年間の駐在。
帰国後は大学を卒業して、外務省の在外公館派遣員としてまたエチオピアに渡り、2018年から2年間駐在しました!アフリカ連合日本政府代表という新設公館に派遣されて、立ち上げ作業を中心に派遣員の立場で働いていたよ。
本当に溢れ出ちゃってるよね(笑)エチオピアって日本企業があんまり進出していないから、現地に来ているのはJICA海外協力隊や職員、大使館の邦人がほとんどなんだよね。週末はトビタテ留学中に仲良くなったエチオピア人たちとどっぷりと遊び、平日は仕事という毎日で。
仕事内容も新規公館だったから立ち上げ作業がメインで。公館や公邸に必要な家具や文具等、街に出て物資調達や営繕管理していたね。街のことわかっていて、現地語分かって良かったぁと思ったよ。あとは便宜供与と呼ばれている、閣僚から出張者まで様々なお客様の空港送迎やホテル留保等行っていたね。日本社会での働き方もこのような時に沢山学んだよ。
エチオピアで日本式の働き方を学ぶって聞いたことないので新鮮な気持ちです(笑)
そうだよね(笑)何よりもエチオピア生活できることが幸せで、辛いなぁと思った時も頑張れちゃった!アムハラ語が身近に聞こえて、エチオピア人の笑い声が聞こえて、エチオピア料理食べれれば幸せ。愛が重いかな😂
私が惹かれるエチオピアの魅力
うん!ちょうど任期を終えて帰国しました。でも、これからもエチオピアとはもちろん関わり続けたいし、現地で起業したい気持ちもあったりするよ。エチオピアって閉鎖的な国だから外の世界との接点が少なくて…日本の魅力も伝えていきたいし、日本でも大好きなエチオピアの魅力を伝えて行きたいな!プロデュースするの好きだから、日本に異文化でかっこいいものを伝える空間が作れたらいいなとも思う。
まさに日本とエチオピアの架け橋ですね。素敵です!エチオピアって遠い未知の地に見えますけど、コーヒーの原産国としては日本では有名ですよね。
そうそう!エチオピアは実はコーヒーの発祥の地って言われていて、説話なんだけど、エチオピアのヤギ使いのカルディ少年がある日ヤギたちが赤い実を食べて飛び跳ねているのを見たの。それでカルディ少年も食べてみたら活力が湧いてきて、夜も眠れないほど元気になったの。そのことを修道院に伝え、夜のお祈りも眠らず夜通し行える魔法の薬として広まったと言われていて。輸入食品店のKALDIはこのカルディ少年からきてるんだよ!
本場のエチオピアコーヒーは格別☕
そんな話が!実は私たちの当たり前にエチオピアが溶け込んでるっていうことですよね。知らない人が多いだけで!
本当に未知だらけだよね。エチオピアの音楽も演歌風のものがあったり、実は音楽でも日本やアジアとの繋がりがあったりもするんだよね実は!エチオピアの歌謡曲が演歌のように聞こえる曲調だったり、日本人女性に恋をしたことについて歌っている歌があったり。この曲はエチオピアでは誰もが知っているヒットソングなんだよ。
歴史的な繋がりもあったんですねぇ!「アフリカ」と一括りでは表現できかねない色んな文化的要素があって、すごく素敵。
エチオピアはリベリアと並んで植民地化されなかった国だから、「アフリカ人」というよりも「エチオピア人」というアイデンティティというか、誇りを高く持っているんだよね。自分たちの独特な食文化や民族、言語、宗教なども誇りに感じているし、聖書の中に出てくる「エデンの園」という神聖な場所がエチオピアという人もいるから「私たちは特別な土地に生きている」という意識も国民の中にあるみたい。
私たちが想像する 「アフリカ」のイメージとはかけ離れてるのかもしれませんね。いい意味で!
そうだね。サファリはないし、エチオピアは特に独特すぎる。それが魅力的なんだけどね!アフリカって暑いイメージ持たれるけど、日本の5月のような適度に涼しく心地よい気候が一年中続くし、首都のアディスアベバや高地であればマラリアの心配もないんだよね。あとはアフリカの人って背高いイメージあったんだけど、意外とエチオピア人は平均的に低かったのも驚いた!私170cmあるから、全然こっちの方が高かったわ(笑)
聞いてるだけで魅力が伝わってくるし、行きたくてソワソワします。実は赤坂でエチオピア料理屋さんをこないだ見つけて、なかなか日本で珍しいので驚きました(笑)
そうそう、最近出てきてるんだよね!エチオピア料理といえば「インジェラ」という、テフという穀物の粉を水で溶いて発酵させた通称「酸っぱいクレープ」って呼ばれる料理が代表的。現地ではNOインジェラNO LIFEくらい、毎日インジェラ生活だった(笑)香辛料がいっぱいあったり、食文化にこだわりがあるから面白いんだよね。エチオピア料理食べたことない人は挑戦してみて欲しいです!
写真:エチオピアの代表的料理・インジェラ
ぜひ今度行きましょう!またエチオピアの魅力たくさん教えてください!
是非是非!まだまだたくさんあるので飽きずに聞いてね(笑)
こちらこそありがとう!アムセグナッロウ! (アムハラ語:ありがとう ኣመሰግናለሁ። )
伊藤さんのエチオピア冒険記はまだまだ続く!
過去のトビタテ!アフリカ留学特集記事はこちら
こんな素敵な方々と繋がりたい!という
トビタテ生はぜひトビタテ!アフリカ会 へ!